白クマ
日医白クマ通信 No.1479
2011年11月17日(木)


定例記者会見
特定看護師(仮称)問題についての日医の見解
―藤川常任理事

定例記者会見


 藤川謙二常任理事は、11月16日の定例記者会見で、特定看護師(仮称)問題に対する日医の見解について説明した。

 初めに、同常任理事は、「チーム医療の推進は、国民がより安全で質の高い医療を受けられるよう、全ての医療関係職種が質の向上に取り組み、連携・協働していくこと」との認識を示し、その上で、現在議論となっている特定看護師(仮称)問題については、医師不足を補うために看護師に医師の代わりをさせたいという一部の医師と、“看護の自律、キャリアアップ”のために必要と主張する一部の看護師に端を発するものであると指摘した上で、業務範囲の拡大によって医療安全が損なわれることがあってはならないとして、慎重な議論を求めた。

 さらに、現在行われている、「特定看護師(仮称)養成調査試行事業(平成22年度開始)」と「特定看護師(仮称)業務試行事業(平成23年度開始)」は、「特定行為」とは何かを大学院等がそれぞれ考え、自らが決めた内容を教育し、国としては何ら担保することなく、現場で実践することを認めるというもので、2年間教育を受けた者はまだおらず、進行中の事業であると説明。まず、この試行事業の結果について検証を行い、その結果を踏まえて、必要かどうかを議論していくべきとした。

 また、7日に開催された「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」に「看護師特定能力認証制度骨子案」が示され、厚生労働省が十分な議論を経ないまま、保健師助産師看護師法の改正に向け、12月の社会保障審議会医療部会に諮ろうとしていることを問題視。「関係者や国民の合意なきままに、社会保障・税一体改革ありきで法制化を急ぐことは許されない」として、「特定看護師(仮称)の創設は、国民の生命にかかわる重大な問題であり、時間をかけて慎重に検討することを求める」と強調した。

 その後、同常任理事は、(1)国民や患者が望む制度なのか、(2)侵襲性の高い医行為及び難しい判断を伴う医行為は医師が行うべきである、(3)「ミニ医師」ではなく、看護師にしか出来ない業務を究めるべきである、(4)看護師が安全に実施可能な診療の補助行為の整理について、(5)看護職以外の医療関係職との関係について、(6)具体的指示と包括的指示について、(7)法制化による影響等について―の7項目にわたる特定看護師(仮称)制度の問題点に関する資料について説明。同資料を18日開催予定のチーム医療推進会議に提出し、都道府県医師会にも送付する予定であることを明らかにした。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
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