白クマ
日医白クマ通信 No.1508
2012年2月20日(月)


定例記者会見
「産業保健委員会答申について」
―今村聡常任理事

定例記者会見


 今村聡常任理事は、産業保健委員会が2年間の審議を経て取りまとめた答申 を、2月15日の定例記者会見で報告した。本答申は、原中勝征会長からの諮問 「地域産業保健センターと産業保健推進センター並びにメンタルヘルス対策支 援センターの再構築と医師会のかかわり方」を受けて、2月3日に高田勗委員 長(労働者健康福祉機構医監・北里大学名誉教授)から原中会長に提出したも のである。

 内容は、(1)日本医師会としての産業保健に関する基本的な考え方、(2)近年 の労働衛生政策の変更事項に対応するための当面の方策、(3)これからの産業 保健サービスのあり方に関する提案―から構成され、巻末には資料として、「 認定産業医 診療科目別人数」を収載している。

 (1)では、わが国において、従業員数が50人未満の小規模事業場数が全体の97 %を占め、その従業者数が全労働者の約61%であることから、労働安全衛生法 の適用が除外されている事項が多く、産業保健活動の認識と普及を阻害する要 因となっていると指摘した上で、1.すべての労働者に産業保健活動が提供され るようにすること、2.就業適正の判断は産業医が医学的な知識に基づいて行う 行為であることの認識を普及させること、3.健康診断結果に基づく就業上の措 置に関する意見の聴取の実施率を向上させること、4.働く人々すべてが少なく とも年に一回は健康診断と医師の面接を受けられる制度を確立すること、5.職 場環境の測定や作業条件の調査の結果を産業医に通知する制度を確立すること、 6.労働衛生分野のリスクアセスメントの普及とそれに基づく職場環境や作業条 件の改善を推進する専門職として産業医を位置付けること、7.職場における労 働者の健康情報は医療職が取り扱うこと―が重要だとしている。

 (2)では、最近の労働衛生に関係する政策の急激な変化を踏まえ、将来的には、 地域産業保健センター・産業保健推進センター・メンタルヘルス対策支援セン ターの3センターを一体的に推進することを検討するよう、日医が都道府県医 師会に対して働き掛けをすべきと提言している。

 また、平成22年12月の、労働政策審議会から厚生労働大臣宛の建議に、メン タルヘルス対策の新たな枠組みとして、いわゆる外部専門機関方式が記されて いることについて、日医は、今後、この方式の具体的な検討過程を注視し、事 業場を熟知する医師が産業医として選任される現行の制度を堅持していくべき としている。

 (3)では、平成24年1月末現在、認定産業医の養成数は83,426人になり、労働 者数が30人以上の事業場すべてにおいて選任しても十分対応出来る数になって いることを説明した上で、将来は、すべての労働者に産業保健サービスを提供 することをめざして、認定産業医が活躍出来る場所を確保するための方策を推 進するよう求めている。

 また、郡市区医師会が、地区ごとに、産業医及び保健師や労働衛生技術の専 門職等によって構成された「産業保健支援グループ」(仮称)を構築し、産業医 を選任していない事業場への産業保健活動を実践して、産業医が選任されるよ うに指導することを提案している。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第二課 TEL:03-3946-2121(代)
◇関連資料はこちら⇒PDF(388KB)


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.