白クマ
日医白クマ通信 No.1599
2012年9月26日(水)


定例記者会見
「中医協における有床診療所の入院基本料検討に関する要望」について
―藤川常任理事

定例記者会見


 藤川謙二常任理事は、9月26日の定例記者会見で、会内の有床診療所に関する検討委員会より、横倉義武会長宛てに、「中医協における有床診療所の入院基本料検討に関する要望」という要望書が提出されたことを報告した。

 1990年に約24,000施設(27万床)あった有床診療所は減少の一途をたどり、本年6月現在では約9,800施設(12.8万床)と、22年の間に半減した。これに対し、同常任理事は、「計り知れないほどの医療資源の消失であり、実際、有床診療所の無床化が、地域の救急医療体制等にも大きく影響を与えたと言われている」と述べ、その最大の原因は、有床診療所の入院基本料が著しく低いため、経営出来ない状況に陥っていることだとした。

 その上で、日医としても、平成24年の診療報酬改定に際し、「医師や看護職員が医学的管理を行い、密度の濃い医療を提供していながら、評価が低いことは不合理である」として是正を求めてきたが実現に至っていないとして、「有床診療所の無床化は、単なる一医療機関の問題にとどまらず、地域の医療提供体制、すなわち地域医療に及ぼす影響が非常に大きい」と重ねて主張。厚労省も、ようやく有床診療所の役割を理解しつつあり、地域包括ケアシステムの中での役割なども期待されているが、病床を維持出来るような経営基盤が整えられなければ、役割を果たすことは出来ないとした。

 中医協では、既に次回改定に向けた検討スケジュール等が示され、病院の入院基本料については、「入院医療費等の調査・評価分科会」において検討されることになっているが、残念ながら有床診療所に関する文言は一言も出ていないと指摘。このままでは有床診療所の入院基本料に関して、中医協において十分な検討がなされないのではないかと危惧されることから、今回の要望書が提出されたとした。

 要望書では、中医協において、有床診療所の入院基本料の在り方に関し、別途場を設けて検討するよう、日医から厚労省へ強く申し入れるよう求めており、同常任理事は、これには、診療科や地域の医療提供体制によって非常に多様性のある有床診療所のことをきちんと理解している関係者が議論する場を設けて欲しいという意味が含まれているとし、横倉会長からは、本要望書の趣旨を踏まえて、中医協の基本問題小委員会等で担当役員より発言していく旨の考えが示されていることから、今後、厚労省や中医協の関係者にも理解してもらえるよう、丁寧に説明していくことになるとした。

 最後に、同常任理事は、記者からの質問に答えて、有床診療所の入院基本料を大幅に見直さなければ、有床診療所の減少を止めることは出来ず、また、新規に有床診療所を開設する医師も出てこないと指摘。「有床診療所は全国各地で必要とされており、経営的に厳しいながらも社会的使命で頑張っている現状があるが、そのような所を日医としてバックアップし、厚労省にも要望していきたい」と述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
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