白クマ
日医白クマ通信 No.1636
2013年1月31日(木)


定例記者会見
「医師養成についての日本医師会の提案 第3版」について
−中川副会長

定例記者会見


 中川俊男副会長は1月30日の定例記者会見で、「医師養成についての日本医師会の提案 第3版」として、「学生医(仮称)」の資格認定や「都道府県地域医療対策センター(仮称)」の創設を盛り込んだ医学部教育と臨床研修制度の改革案を公表した。

 日医では、これまでグランドデザイン、医師の臨床研修についての検討委員会(プロジェクト)報告や日医総研の調査などを通じて、医師養成についての検討を重ね、平成23年1月には、同改革案の第2版を取りまとめている。第3版となる本案は、医師の偏在解消に重点を置き、改訂されたものである。

 医学部教育に関しては、1年生から基礎・臨床・社会医学の履修を積極的に取り入れ、臨床医学教育の一環として地域医療連携を体験出来る演習や実習、ボランティア活動を実施するとしている。また、4年生終了時のCBT(Computer Based Testing:医学的知識を問う試験)及びOSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)に合格した学生には、「学生医(仮称)」の資格を与え、5〜6年生で診療参加型臨床実習を行うことを提案している。

 診療参加型臨床実習を支援するため、日医としては、(1)「学生医(仮称)」に対する国民の理解と協力を求める、(2)学生教育研究災害傷害保険(学研災)、学研災付帯賠償責任保険(付帯賠責)等の加入を推進する、(3) 医学生のためにさまざまな情報提供を行う、(4) 指導教員の教員数確保と指導力向上のため、国に対して十分な財源の手当てと対策を要請する―ことなどを行っていくとした。

 更に、医学部5〜6年生の診療参加型臨床実習2年間と臨床研修2年間のトータル4年間で、プライマリ・ケア能力の獲得を目指すとし、到達目標として、「自立して患者を全人的に診ることができるよう、適切な初期対応能力を身につけることとする。初期対応能力には、地域の医療、介護、福祉資源を把握し、それらと連携をとりつつ、患者を適切な医療機関に紹介できる能力を含む」ことを掲げている。特に臨床研修の2年間は、臨床研修医が地元出身大学に軸足を置きつつ、より実践的な地域医療を身につけられるよう、医師会、行政、住民などが協力して養成することを明記している。

 医師養成と偏在解消のためには、現行の「都道府県地域医療対策協議会」と「地域医療支援センター」に、日医が新設を提案している「大学臨床研修センター(仮称)」と「都道府県医師研修機構(仮称)」を加えた四者を将来的に再編し、「都道府県地域医療対策センター(仮称)」を構築することを提案。「都道府県地域医療対策センター(仮称)」については、臨床研修修了後の医師の異動や配置について把握し、医師確保及び偏在解消を推進するとともに、医師の生涯におけるキャリア形成支援を行っていく機関として位置付けている。まず、都道府県ごとの整備を進め、その情報を全国単位で統合することも目指している。

 同副会長は、改訂箇所を説明した上で、「第2版においては、医師の偏在解消についての案が薄かったので、今回は偏在解消に有効な仕組みを提案した。医師不足に対しては、この5年間で約1,400人の医学部増員という数の手当てが行われ、後は偏在の解消だと申し上げてきたが、その第一歩をここにお示ししたつもりである」と述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
◇関連資料はこちら⇒PDF(169KB)


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.