白クマ
日医白クマ通信 No.1649
2013年3月8日(金)


定例記者会見
「地域医療支援病院制度に関するアンケート調査結果を報告」
―中川副会長

定例記者会見


 中川俊男副会長は、3月7日の定例記者会見で、「厚生労働省の検討会では、特定機能病院と地域医療支援病院の承認要件の見直しが進められているが、日医がこのほど実施した『地域医療支援病院制度についての都道府県医師会アンケート調査』の結果がまとまったのでご報告する」と述べ、以下のとおり説明した。

 本調査は、地域医療の現場で、地域医療支援病院がどのように評価されているかを把握することを目的として、都道府県医師会を対象に行った。

 調査の内容は、(1)「都道府県医師会で一つの回答を依頼」(有効回答100%)として、1.地域医療支援病院制度の存続2.経済的インセンティブの要否3.承認数のあり方4.都道府県医師会の承認への関与5.都道府県から都道府県医師会への情報提供―の5項目、(2)「都道府県医師会に地域医療支援病院ごとの回答を依頼」(有効回答75%)として、個別地域医療支援病院の評価についての1.紹介率・逆紹介率2.共同利用3.委員会4.救急医療5.在宅医療の支援―の5項目となっている。

 結果は、(1)「都道府県医師会で一つの回答を依頼」では、1.地域医療支援病院の制度の存続に関する設問については、地域医療支援病院制度を見直すべき及び制度を廃止すべきとの回答が約7割(72.3%)、2.地域医療支援病院に対する経済的インセンティブに関する設問については、現行の診療報酬を見直すべき(診療報酬の見直し、補助金にすべき)及び必要ではないとの回答が半数以上(54.5%)、1.と2.の設問への回答を合わせて集計すると、制度または経済的インセンティブのどちらかを見直すべきとの回答が85.4%であった。

 3.地域医療支援病院数については、二次医療圏または人口で制限すべきとの回答が合計36.4%である一方、二次医療圏に複数あってもよいとの回答も45.5%あった。ただし、これを地域別にみると、地域医療支援病院が多い九州地方では、二次医療圏または人口で制限すべきとの回答が多く、今後承認数が増加すれば制限すべきとの回答が増える可能性がある。

 4.承認に当たって「医師会の意見があまり反映されていない」「意見を述べる機会があまりない」との回答が合計44.7%、5.地域医療支援病院の承認後、都道府県から都道府県医師会に対し、「特に情報提供されていない」が53.2%と半数以上にのぼった。

 (2)「都道府県医師会に地域医療支援病院ごとの回答を依頼」では、個別の地域医療支援病院の評価について、1.紹介率・逆紹介率と4.救急医療については「評価出来る」が約7割であったが、2.病床の共同利用と5.在宅医療の支援は「課題がある」が3割近くあった。

 特に、1.紹介率・逆紹介率の高さについて「評価出来る」病院は、公設医師会運営等の病院を含む医師会病院が85.7%と、ほとんどの病院で高く評価されていた。

 その他、地域医療連携に積極的な病院は、「『顔の見える関係』がよく出来ている」「地域医療情報ネットワークに積極的に参加している」「病診連携の要として、医師会員の診療の支援、開放型病院として紹介医師との共同指導を行うことにより、入院医療から退院後の在宅医療の継続性が保たれている」など高く評価されていた。しかし、急性期病院が共同利用や在宅医療の支援を進めることは困難ではないかとの指摘もあった。

 最後に同副会長は、これらの結果を踏まえ、日医としての今後の対応について、(1)地域医療支援病院の承認や承認後の検証について、地域の医師会が強く関与出来るように働き掛けを行っていく、(2)地域医療支援病院制度については、承認のあり方や経済的インセンティブを見直すべきとの意見が多く、日医としては、地域医療支援病院の本来の姿を踏まえつつ、必要な見直しを行うこと、経済的なインセンティブについては、地域医療支援病院入院診療加算やDPC機能評価係数Iのように地域医療支援病院自体に付与するのではなく、紹介・逆紹介など個々の診療内容を評価するような仕組みとすることなどを提案していきたい、(3)地域医療支援病院では2007年に在宅医療の支援が義務化されたが、2008年に診療報酬上に創設された在宅療養支援病院との機能分担が明確ではないため、こうした整合性も含め医療提供体制全体の中での位置づけの再整理も必要である―との考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
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