白クマ
日医白クマ通信 No.1832
2014年12月19日(金)


定例記者会見
「薬局等で行う薬剤師の業務に関する日医と日本薬剤師会の協議について」
―横倉会長

定例記者会見


 横倉義武会長は12月17日、山本信夫日本薬剤師会長と共に記者会見を行い、薬局等で行う薬剤師の業務に関し、平成26年度にスタートし27年度も同様の計画がされている「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点の推進」モデル事業の内容について、日医と日本薬剤師会(以下、日薬)との間で、医師法と薬剤師法に基づくことを確認するための協議を行い、(1)検査は、原則医療機関で行う、(2)薬局等で自己採血検査を行う場合にも、検体測定室に関するガイドラインを遵守する、(3)地域住民の健康は、かかりつけ医を中心に多職種が連携して支えていく、(4)今回の健康情報拠点の推進事業も、地域医師会・かかりつけ医の十分な理解と適切な指導のもとに行う―ということで合意したことを明らかにした。

 平成25年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」では、関連する産業の創出に取り組み、その一環として、近年民間事業者により実施されている、利用者自らが採取した血液により血糖値や中性脂肪などの生化学的検査を行うサービスについて、告示改正を行い、都道府県知事ヘの衛生検査所の登録が不要とされた他、平成26年度には、厚労省の事業として「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点の推進」が都道府県に委託され、都道府県のモデル事業として検体測定を実施する薬局が出てきた。

 これに対し、日医は、薬局等を中心とした検体測定室の開設・運営については、血液を扱うことのリスク等の懸念から、基本的には容認できるものではないと主張。現在運営している事業所に対して厳格な運営が行われるよう、厚労省に申し入れ、平成26年4月9日付で、「検体測定室に関するガイドライン」が策定されている。

 しかし、ガイドラインを遵守(じゅんしゅ)していない事例も認められることから、日医では厚労省に対し、検体測定室における衛生管理等の徹底を強く求めた結果、10月21日付で、厚労省医政局地域医療計画課長から「衛生管理等の徹底及び同ガイドラインの遵守状況に関する自己点検報告を求める通知」が発出され、併せて、民間事業者が行う検体測定事業に類似する事業として、薬局等で採取された検体を衛生検査所において実施している場合についても、ガイドラインに準じて衛生管理の徹底等を図るよう述べられている。

 横倉会長は、「日医は、国民の健康を守る立場から、侵襲性を伴う自己採血については、病原性ウイルス等への感染のおそれがあるため規制が必要であると考えており、慎重な対応を求めている」と強調、健診を受けられない、または受けない人への対応は公衆衛生上の課題であり、医師によるフォローアップができる健診事業を進めていくべきで、個人任せのセルフケアのみで解決すべきではないとの考えを示した。

 その上で、同会長は、「日医は、乳幼児期から高齢期に至るまで、一次予防から三次予防までの保健事業を、国民のライフサイクルに応じた『生涯保健事業』として体系化し、科学的根拠に基づく、必要な健診項目を網羅した保健事業が展開され、蓄積されたデータが国民の健康管理に適切に反映されるような仕組みを提言していく」と結んだ。

 一方、山本信夫日薬会長は、「薬局、薬剤師の担う本来の役割は医薬品等の供給を通じて医療に参画し国民の健康を守ることである」との考えを表明。2025年に向けた「地域包括ケアシステム」の枠組みの中で、それぞれの業務範囲や役割を確認した上で、「かかりつけ医」を中心とする多職種による医療提供体制に参加し、簡易検査に関わる場合にも、地域医師会・かかりつけ医の十分な理解と適切な指導を受けながら進めていくとした。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課・地域医療第一課薬務対策室
 TEL:03-3946-2121(代)

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