白クマ
日医白クマ通信 No.656
2007年5月18日(金)


定例記者会見
「厚労省の質向上・効率化プログラムの問題点を指摘」

中川俊男常任理事


 中川俊男常任理事は、5月16日の定例記者会見で、柳澤伯夫厚生労働大臣が前日に開催された経済財政諮問会議に提示した「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」について、具体的な問題点を挙げて、その内容を批判した。

 このプログラムには、必要なサービスの確保と質の維持向上を図りつつ、効率化等によって供給コストを低減するための具体的な取り組みが、数値目標とそれを実現するための政策手段とともに示されている。

 具体的な問題点として、同常任理事は、まず、平均在院日数の短縮化に言及。平均在院日数が一定以上になれば入院医療費との間に相関関係は見られなくなることを指摘して、平均在院日数を短縮しさえすれば、医療費が抑制されるとする厚労省の考えに疑問を投げかけた。

 開業医の役割の明確化に関しては、「勤務医の負担を減らし、開業医がもっと働けというのは安易な発想だ」と指摘。開業医はすでにボランティア的な活動も多く行っており、それに加えて休日・時間外診療などを強制することは開業医自体の疲弊にもつながりかねないと批判した。

 DPC対象病院の拡大に関しては、そもそもDPCは特定機能病院を対象に導入されたもので、前年度の実績を下回ることのないように調整係数が設定されている。それが、民間病院にまで拡大された場合、現在行っている経済的なインセンティブが続けられる保証はないと警告。調整係数の操作によって実質的に医療費が管理される危険もあり、安易な拡大には反対するとした。

 レセプトのオンライン化については、機械的な審査によって医療の平均化が生じ、個々の患者の特性に応じた診療ができなくなる恐れがあると指摘。保険者の強化についても、医療費支出の抑制ではなく、本来は被保険者の健康確保をその目的とすべきであると主張した。

 また、同常任理事は、「今回示された施策を含めて、厚労省が行ってきた改革はあらかじめ限定した財源のなかで行われているために、医療に混乱をもたらしているだけだ」と批判。日医としては、今後も医療のあるべき姿を取り戻すための施策を提案し、必要な財源を求めていくとの考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)

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