白クマ
日医白クマ通信 No.804
2007年11月29日(木)


中医協総会(11月28日)
次期診療報酬改定「更なるマイナス改定を行う状況にない」で意見一致

 中医協総会が、11月28日に厚生労働省で開催され、中医協としての意見「平成20年度診療報酬改定について」が取りまとめられ、舛添要一厚生労働大臣に提出された。

 当日は、11月21日に診療・支払両側から診療報酬改定に対する意見が提出され、議論したことを踏まえて、公益側委員が作成した素案が示された。最終的には公益側が診療側・支払側双方から個別に意見聴取を行ったうえで取りまとめが行われ、今後はこの考えを踏まえて検討を進めていくこととなった。

 意見のなかでは、「基本的な認識として、現下の勤務医の過酷な業務実態、とりわけ産科・小児科や救急医療等の実情等に照らして、次期診療報酬改定においては勤務医対策を重点課題として診療報酬の評価を行うべき」とし、「本体部分についてはさらなるマイナス改定を行う状況にはないことで意見の一致を見た」と明記。さらに、厚労省に対しては、平成20年度予算編成に当たっては財源の確保に努めつつ、平成20年度診療報酬改定に係る改定率の設定について、本意見の趣旨を十分に踏まえて対応することを求めるとともに、診療報酬のみならず、幅広い医療政策を講ずることを望むとした。

 議論のなかでは、竹嶋康弘委員(日医副会長)が、素案に「診療側は、診療報酬の大幅な引き上げの実現を行うべきとの意見であった」との記述があることについて、これでは国民に誤解を与えかねないと指摘。「地域医療を守るために」との文言を付け加えるべきと主張し、最終案に反映されることになった。

 中川俊男委員(日医常任理事)は、「質の高い医療を効率的に提供する」という記述があることに関して、「効率化を追及したために、現在の勤務医の疲弊が生じている」と述べ、「効率的に」との文言の削除を要求。しかし、支払側がその文言は残すよう主張し、最終的には「地域医療の確保を含め質の高い医療を効率的に提供する」との文言になった。

 総会では、そのほか、(1)平成19年4から8月の医療費の動向、(2)医薬品価格調査および特定保険医療材料価格調査の速報値−などについての説明があった。

 (1)によると、医療費の伸び率は3.0%であり、制度改正や診療報酬改定の影響のない平成17年度の伸び率(対前年度比)と同程度の伸び率となっていた。病床規模別に医科病院の1施設当たり医療費の伸び率を見てみると、200床未満が3.5%、200床以上が3.4%となっていた。また、医科診療所1施設当たり医療費の伸び率を見ると、有床診療所で5.4%、無床診療所で1.3%となっていたが、有床診療所の伸びは、中医協事務局によると施設数が減少したことによる影響もあるとのことであった。

 (2)では、平均乖離率が、医薬品では約6.5%、特定保険医療材料では約8.9%にそれぞれなっているとの報告があった。

 同日、日医会館で記者会見を行った中川常任理事は、今回の意見取りまとめについて、「公益側や支払側の一部には診療報酬の引き上げに同意する意見もあったという文言を入れたかったが、財源の確保に努めつつという部分に診療側の考えは盛り込めたのではないか」との考えを示した。また、今後は診療報酬の引き上げに向けた活動をさらに活発化させていきたいと述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会保険医療課 TEL:03-3946-2121(代)


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