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2005年の活動

1.第170回世界医師会中間理事会

(1)概要

標記理事会が5月13日(金)から15日(日)にかけてフランスのディボンヌで開催され、WMA理事として宮崎副会長、橋本常任理事が出席した。この会議では、役員選挙で橋本常任理事が全会一致で理事会副議長に選出されたこと、およびWMAの運営体制の見直しが行われたことが主な事項である。この他「WHOタバコ規制枠組み条約」の推進、および台湾のWHOオブザーバー資格に対する支持に関する理事会決議等が採択された。

この理事会は、2004年12月に実施された地域理事選挙に伴い、2005年から2007年を任期とする新しい理事により構成される初めての会合であった。理事会役員の選挙では、議長にイスラエル医師会長Dr. Blachar(再選)、副議長に橋本常任理事(新任)、財務担当役員にドイツ医師会長Dr. Hoppe(新任)がそれぞれ選出された。また、常設委員会の各委員長には、医の倫理委員会は、スウェーデン医師会長Dr. Bagenholm(新任)、社会医学委員会はカナダ医師会元会長Dr. Haddad(再選)、財務企画委員会はアメリカ医師会長Dr. Nelson(再選)が選出された。宮崎副会長は医の倫理委員会と財務企画委員会の委員に任命された。なお、新事務総長のDr. Kloiber(ドイツ医師会)がその職を務めた最初のWMA会議であった。


(2)審議内容と決議事項

 1)WMA議事運営体制の改革

WMAの議事運営の円滑化を図るための検討が行われ理事会に諮られた結果、下記項目を含む合意がなされた。

(1)理事会議長、副議長、財務担当役員、三常設委員会委員長で構成する事務総長の諮問委員会を設置し、理事会および総会で審議する議案の準備を円滑にする。
(2)理事会での議事は、主に世界の医療界に影響を与えるような戦略的問題への対応に焦点を当てる。

 2)理事会決議

事の緊急性に鑑み、理事会決議文書として採択された主なものは以下のとおりである。

(1)台湾のWHOにおけるオブザーバー資格に関する決議
(2)WHO「たばこ規制枠組み条約」の推進に関する決議
(3)途上国からの医療従事者の流出に関する決議

 3)常設委員会の主な審議結果

(1)医の倫理委員会・社会医学委員会関係
WMA既存文書の見直し作業が行われ、大幅修正、小規模修正、廃止・保存等の対応が図られることとなった。新規文書では「アルコールが健康と社会に与える世界的悪影響に関する声明案」がコメントを求めるため各国医師会に送付されることとなった。
(2)財務企画委員会関係
2005年10月12日〜15日WMAチリ総会、2006年10月11日〜14日WMA南ア総会の開催を承認。


2.2005年世界医師会サンティアゴ総会

(1)概要

標記総会が、2005年10月12日(水)から15日(土)まで南米チリの首都サンティアゴで開催された。総会には、宮崎副会長(WMA理事)、雪下、橋本(WMA副議長)、藤村各常任理事が出席した。また、84加盟医師会のうち42の医師会から代表が参加したほか、医療関連の国際機関の代表、随行者を含め約200名が参加、日本からは総勢21名が出席した。

10月11日は事前会議が開催され、橋本WMA副議長を含むWMA執行部が集まり、WMAの財政問題等の検討が行われた。12日は、3つの常設委員会(医の倫理、財務企画、社会医学)が開催された。翌13日は、準会員会議開催後、学術集会が「Health Care System Reform」、「Access to Medicines」をテーマとして行われた。日医から宮崎副会長が日本の医療制度改革について講演し、講演後には活発な質疑応答が行われた。14日は理事会が開催されたのち総会式典が行われ、来賓としてチリ保健大臣の挨拶があり、その後、新会長の就任式が行われた。この式典で、第57代WMA会長に南アフリカ医師会長のDr. K. Letlapeが就任した。

15日は総会全体会議が行われ、新規案件の検討ならびに既存文書の修正、統廃合の作業が行われた。またこの全体会議で、マレーシア医師会のDr. N.Arumugamが次期WMA会長に選出された。さらに、新規加盟医師会としてシンガポール医師会が承認され、WMAの加盟医師会数は85となった。


(2)主な決議事項

 1)医の倫理委員会関係

(1)採択された声明
・遺伝学と医療に関する声明
・「患者の権利に関するリスボン宣言」の修正
(2)古文書化して保存する文書
・メディカルグループ・プラクティスに関する決議
・化学・生物兵器に関する宣言
・医師の独立性とプロフェッショナルフリーダムに関する宣言
・人権に関する決議
(3)作業部会にてさらに検討・修正を続ける案件(以下を含め13件)
・「医の国際倫理綱領」の修正


 2)社会医学委員会関係

(1)採択された文書
・代替調剤に関する声明
・医療責任をめぐる改革に関する声明
・アルコールが健康と社会に与える世界的影響に関する声明
(2)古文書化して保存する文書(以下を含め12件)
・サンパウロ宣言−環境汚染についての声明
・医学における人的資源に関する声明
・幼児保健に関する政策声明
・ジェネリック医薬品に関する決議
(3)作業部会にてさらに検討・修正を続ける案件(以下を含め4件)
・「医学教育に関する声明案」(既存の2つの声明の合併案)
・「青少年の自殺に関する声明」の修正

 3)財務企画委員会関係

(1)会費について
・2005年以前の未納会費を免除すること
・より多くの国が加盟できるよう各国の経済状況を踏まえた会費制度を検討し施行すること
(2)2006年総会について
・場所:サンシティ(南アフリカ)
・学術集会テーマ:“Leadership-(1) Advocacy and (2) Health as an Investment”
(3)今後の総会開催予定地
2007年 コペンハーゲン(デンマーク)
2008年 ソウル(韓国)
2009年 未定
2010年 バンクーバー(カナダ)
(4)新規加盟の承認
シンガポール医師会(加盟85医師会)


(3)学術集会

10月13日、「Health Care System Reform」と「Access to Medicines」をテーマとした学術集会が開催され、11名の演者が講演した。日本医師会からは宮崎副会長が、「日本における医療制度改革」と題して講演を行なった。そのなかで宮崎副会長は、現在日本政府が打ち出している医療費抑制策の問題点を指摘するとともに、日本医師会が医療制度改革の基本方針として、少子高齢社会に対応する新たな高齢者医療保険制度の創設と国民皆保険制度の堅持を主張していることを説明し、その後、質疑応答が行われた。


(4)準会員会議での採択事項

 1)旅客機飛行中の医療補助に関する決議

 2)旅客機飛行中の小児の安全に関する決議


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