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(1)概要
第179回世界医師会中間理事会が平成20年5月15日(木)から17日(土)にかけてフランスのディボンヌで開催され、32医師会、オブザーバー3団体より約140名が参加した。本会からは、岩砂和雄副会長、石井正三常任理事ならびに畔柳達雄参与が出席した。
日医の参加役員は会期中にアメリカ、フィンランド、韓国、台湾、南アフリカ各医師会と医療制度などについて意見交換を行なった。
(2)審議内容と決議内容
1)医の倫理関係
2)財務企画関係
3)社会医学関係
(1)概要
世界医師会(WMA)ソウル総会が2008年10月15日(水)から18日(土)まで韓国のソウルで開催された。本会からは、唐澤人会長(WMA理事)、岩砂和雄副会長(WMA副議長)、鈴木聰男理事、羽生田俊・飯沼雅朗・石井正三(WMA理事)各常任理事、大西雄太郎監事、米盛學副議長、畔柳達雄・手塚一男両参与の10名が出席した。41加盟医師会の代表および国際機関から総勢373名が参加、このうち日本からは30名であった。
会議前日の10月14日には、岩砂WMA副議長を含むWMA執行部の事前会議が行われた。15日は理事会と常設委員会(医の倫理、財務企画、社会医学)、16日は準会員会議と学術集会が開催された。17日は理事本会議と総会式典が行われ、この式典においてブレイシャー氏(イスラエル医師会)が第60代WMA会長に就任した。18日は総会全体会議が行われ、次期会長選挙においてハンソン氏(カナダ医師会)が選出された。
会期中には、CMAAO(アジア大洋州医師会連合)加盟医師会ならびに、韓国医師会と個別に意見交換した。また、総会閉会時にWMA事務総長より、総会の内容を充実する上で、本会を含むいくつかの医師会に対し、その努力を讃える発言があった。
(2)総会での主な決議事項
1)医の倫理関係
2)社会医学関係
3)財務企画関係
4)緊急動議
世界経済の停滞に鑑み、医療分野に関連した経済危機に関する宣言が緊急動議され、採択された。
(3)学術集会
学術集会は16日、「健康と人権」をテーマに開催され、基調講演と3つのトピック(社会的見地から、環境の見地から、医の倫理と人権擁護について)について、計10名の演者による講演が行われ活発な議論が行われた。本会からは、手塚参与が「社会的見地から」のトピックのなかで、「複合大気汚染と人権」を題材に講演を行った。
(4)準会員会議
石井常任理事は、準会員会議の内容の活性化をはかるために、本来この会議の目的であるWMA個人会員の声を聞き、交流を促進し、必要に応じて準会員の合意による文書をWMA総会に送り採択されるという機能を持たすべく、準会員会議の改革案を提出した。これに対し、大西監事を含む多くの準会員から、その趣旨に賛同するコメントが表明された。その結果、石井常任理事をはじめとする各国の準会員によって作業部会を設立し、2009年5月に開催される中間理事会に向けてより具体的な改革実施案を作成することとなった。この件は、総会にも付託され合意された。その他の案件について、かねてより提出されている日本の旧陸軍731部隊に関わる決議案などは否決され、今後3年間は討議されないこととなった。
(1) 各国医師会にコメントを求めるため回付する文書
「幹細胞研究に関するWMA声明案」(2) 総会へ付託する文書
「プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性に関するWMA宣言案」(3) 作業部会で検討する文書
「医師主導の職業規範に関する宣言案およびコメント」
日医は、上記宣言案作成のための作業部会に加わることとなった。(4) 「ヘルシンキ宣言(DoH)」の改訂について
医の倫理委員会で提起された論点を日本医師会を含む作業部会で再検討し、それを反映させたDoH改訂案を各国医師会に回付しコメントを求めることとなった。また、利害関係者からの意見も集め、最終案は10月のソウル総会に送ることとなる。「小児を対象とする医学研究の倫理的原則に関する声明案」については、DoHとは個別の文書とはせずに声明案の適切な条項をDoHに包含するべく作業部会にて検討することとなった。(5) 既存文書の整理
10年前に採択された3件の決議、宣言を見直し「子どものヘルスケアへのアクセスに関するオタワ宣言」を大幅に修正することとなった。(6) 新規文書
「死刑に関する決議」はアメリカとフランス医師会が共同で文書内容の修正を行うこととなった。
(1) 今後の総会・中間理事会開催地について、主催医師会からの報告ならびに2009,2010年総会の学術集会テーマが承認された。
2008年総会(ソウル、韓国)
2009年中間理事会(テルアビブ、イスラエル)
2009年総会(ムンバイ、インド)
学術集会テーマ:「多剤耐性結核菌(MDR-TB)と感染対策から得られた教訓について」
2010年中間理事会(ディボンヌ、フランス)
2010年総会(バンクーバー、カナダ)
学術集会テーマ:「医療と環境」(2) 新規加盟申請
ウクライナ、コートジボワール、セネガル、マリ、キプロス各医師会の加盟申請を受理し、総会に付託することとした。(3) 準会員会議の改革
準会員会議を大幅に見直すことが提起され、アメリカのJohnson元会長と日本医師会が中心となって改革案を作成することとなった。
(1) 各国医師会にコメントを求めるため回付する文書
「ヘルスケアにおける質の持続的改善のためのガイドラインに関する宣言修正案およびコメント」
「家族計画および避妊に関する女性の権利に関するWMA声明修正案」(2) 総会へ付託する文書
「抗微生物薬の耐性に関するWMA声明修正案」
「アフガニスタンにおける女性のヘルスケアへのアクセス禁止および女医の職業活動禁止に関する決議修正案およびコメント」
「食事からのナトリウム摂取量の削減に関するWMA声明案」
「世界的な水銀負荷の縮小に関するWMA声明案およびコメント」
「アフガニスタンに対する医療プロジェクト用のケシに関するWMA決議案およびコメント」
(3) 既存文書の整理
10年前に採択された「核実験に関する宣言」をはじめとする6件の宣言、決議については修正すべきものとアーカイブ化するものとの分類を行った。(4) 新規文書
「健康と環境に関する声明」はカナダ医師会が主導して文書化することとした。その作業には日本医師会も加わることとなった。
「医薬品の処方に関する声明」は作業部会を設置して提示された文書を見直すこととなった。
プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性に関するWMAソウル宣言
(1)ヘルシンキ宣言
過去1年の間に3回の作業部会を開催し、さらにWMA以外にも多くの関連分野の専門家から意見を集めた。プラセボの使用については、南米の医師会を中心として反対意見が表明されたが、WMA東京総会(2004年)で、この宣言に付記されていた29項への注釈(プラセボの使用に関するもの)と第30項への注釈(被験者の人権の擁護)を本文に組み入れることを中心とした修正案が4分の3以上の票決で採択された。ただし、プラセボの使用に関する事項について、理事会議長から作業部会設置の必要性に関する言及がなされた。この総会をもって、東京総会から懸案となっていた事項が一応決着した形となった。
(2)死刑執行への医師の関与に関するWMA決議
(1)医師主導の職業規範に関するWMA宣言案。作業部会で作成した案を作業部会に差戻すこととなった。なお、この作業部会は本会が議長となっている。
(2)小児の健康に関する世界憲章となるWMAオタワ宣言修正案。作業部会は、今回の総会における議論を反映した文書を加盟医師会に回付することとなった。
(1)幹細胞研究に関するWMA声明案
(2)利害の対立に関するWMA声明案
(1)SIrUS計画に関するWMA決議
(2)コソヴォ地方における人権に関わるヘルスの侵害報告についてのWMA決議
(1)食事からのナトリウム摂取量の削減に関するWMA声明
(2)世界的な水銀負荷の縮小に関するWMA声明
(3)アフガニスタンに対する医療プロジェクト用のケシに関するWMA決議
(4)オタワ条約(対人地雷の移動、生産、貯蔵、使用の禁止およびその廃絶についての協定)を支持するWMA決議
(5)人間医学および獣医学の連携に関するWMA決議
(1)抗微生物薬の耐性に関するWMA声明
(2)女性と子どものヘルスケアへのアクセス及び医療専門職における女性の役割に関するWMA決議
(3)核兵器に関するWMA声明
(1)ヘルスケアにおける質の継続的改善のためのガイドラインに関するWMA宣言修正案
修正案を作業部会に差戻すこととなった。
(2)医師のための遠隔医療の原則/ガイドライン
(1)医師の業務範囲と分担(タスクシフト)に関するWMA決議案
(2)医療従事者に関するWMA決議修正案
WMAは、上記(1)、(2)の問題を討議するために、2009年3月にアイスランドにて会議を開催する予定である。
(3)公衆衛生の投資改善に関するより良い成果をもたらすためのWMA決議修正案
(4)医薬品処方に関するWMA決議案
(5)医療方法特許に関するWMA声明修正案
(1)ハーグ平和アピールに関する決議は、アーカイブ化された。
(2)難民および国内避難民の医療に関するWMA決議修正案は、微修正を要する文書として分類された。
WMJ編集長であるアピニス氏より、各国医師会が発信する情報について投稿を受け付けると同時に、倫理ならびに公衆衛生に関する記事を充実させ、来年のWMJ発行回数を4回から6回に増やしたい旨の報告があった。
2009年10月:インド・ニューデリー
2010年 :カナダ・バンクーバー
2011年 :ウルグアイ
2012年 :タイ
2009年5月:イスラエル・テルアビブ
ウクライナ、コートジボワール、セネガル、マリ、キプロス、アルバニア、アンゴラ、ポーランド各医師会の加盟を承認した。(WMAの加盟医師会数は94となった)
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