日本医科学生総合体育大会 西医体

西医体の中止について

第72回西医体中止を受けて

第72回西医体運営委員長
鳥取大学医学部医学科4年 牧田 大瑚

この度、第72回西医体は、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、中止となることが評議会と理事会で決議されました。

私たち運営委員会一同は、約2年かけ準備を進めてきました。

いざこれからというときに、この未曾有の事態に見舞われました。大会を開催できないことは大変無念ではありますが、これを乗り越えていければと思います。

毎年引き継がれてきたこの歴史ある大会を途絶えさせることなく、確実に次年度につなげていきたいと考えております。

これまで医師会をはじめ、各方面の方々から多大なるご支援を賜り、心より感謝申し上げます。

これからも変わらぬご支援・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

よもやの西医体の中止に思うこと

第72回西日本医科学生体育連盟理事長
鳥取大学医学部医学科長 呼吸器・乳腺内分泌外科学分野 教授 中村 廣繁

西日本医科学生総合体育大会(通称西医体)は、西日本の44医科大学が参加して、21競技に20,000人以上が集う、国体に次ぐ規模の由緒あるスポーツの祭典です。今年は第72回となり、鳥取大学は1980年の第32回大会以来40年ぶりの主管という栄誉を頂き、学生、教職員、同窓会、関連病院や自治体が一丸となり、開催の準備を進めてきました。特に今年は鳥取大学医学部創立75周年の節目にあたり、ぜひとも記念に残る大会にしようと意気込んでおりました。

本学医学科の現4年生である運営委員会のメンバーは2年前から準備を始め、2019年6月には全員でキックオフミーティングを行った後に焼肉を食べて気勢を上げました。委員はそれぞれの役割において、日程の決定、競技場の確保、パンフレットの作成、安全対策、宿泊、保険などたくさんの仕事を分担し、連携しながら着実に準備を進めました。大会のスローガンは“色とりどり(鳥取)の西医体2020”と決定し、まさに個性豊かな医学生が様々な夢をのせて、素晴らしい思い出を作る舞台は目前のところまできておりました。

しかしながら、もはや言うに及ばず、新型コロナウイルスの感染は100年に1度とも呼ばれる世界的パンデミックに拡大しました。2月、3月と事態は重苦しい雰囲気に包まれ、卒業式、入学式などすべての公式行事は中止となり、新学期も通常授業が開催できないという状況を誰が予測できたでしょうか?オリンピックをはじめとした多くのスポーツイベントも中止となり、本学には西医体は開催するのかという問い合わせも来ました。苦渋の決断を迫られるなかで、4月11日にWeb理事会を開催しました。「医学生には将来の医師として感染管理に関する高い見識が求められ、社会への不利益は絶対に生じさせない」という決断を全理事一致で行い、評議員会に中止勧告をいたしました。西医体は学生が自主性を持って運営し、教員がそれをサポートするという良さがあります。学生も現状を真摯に受け止めて、立派な判断をした結果、西医体の中止は決定しました。

幻の大会と化した第72回西医体ですが、この大きな試練は問題解決力を磨き、私たち鳥取大学の校風である“人間力”を培う貴重な機会となったと思います。今回の経験が将来立派な医師になるための糧となると確信しております。

おわりに、ご協力を頂いた関係各位に心より感謝の気持ちを申し上げるとともに、今後の西医体のますますの発展を祈念いたします。

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