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第1221号(平成24年7月20日) |
中医協(6月20・27日)
医療における消費税のあり方に関する議論がスタート
中医協診療報酬調査専門組織の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」の初会合が六月二十日,厚生労働省で開催された.
本分科会は,(一)「社会保障・税一体改革大綱」において,医療機関等の消費税負担については,厚労省において定期的に検証する場を設けるとされた,(二)平成二十四年度診療報酬改定に係る答申書の附帯意見に,新規検討項目の一つとして「診療報酬における消費税の取り扱い」が挙げられた―こと等を踏まえて新設されたものであり,日医からは,今村聡副会長,鈴木邦彦常任理事が出席した.
当日は,田中滋慶大大学院教授を座長に互選した後,厚労省事務局から,社会保険診療に関する消費税の取り扱い等について説明が行われた.
議論の中で,今村副会長は,「現状の仕組みは消費税の取り扱いの仕方が不明確で,医療機関も患者も分からない状態にあり,問題だ」とした上で,「今回は徹底的に議論し,解決策をまとめたい」と述べた.更に,同副会長は,次回以降の議論に向けて,厚労省事務局に対し,「諸外国における医療の消費税の実態」「消費税導入時や税率五%への引き上げ時に,診療報酬上の対応をした際の医科,歯科,調剤への財源配分」等の資料を提出するよう要求.日医からも,これまでに行った調査結果を提出する意向を示した.
鈴木常任理事は,「消費税問題は,これまでの対応の検証が重要だ」として,分科会の目的に「検証」という文言を入れ込むよう要求し,修正されることになった.
当日は,支払側の多くの委員からも現行の仕組みの問題点が指摘され,現状を改善すべきとの認識で,診療,支払両側の意見が一致した.
今後は,今年度後半に「中間整理」を取りまとめることを目指して,消費税課税の実態調査も行いながら,検討を続けていくことになっている.
費用対効果導入は慎重であるべき─鈴木常任理事
二十七日には,総会と費用対効果評価専門部会等が行われた.
総会では,慢性期入院医療の包括評価分科会を発展的に解消し,「入院医療等の調査・評価分科会」を設置することが承認された.承認に当たって,安達秀樹委員は,「調査項目の設定,調査結果の分析が重要になるため,総会に諮った上で実施して欲しい」と要求した.
本分科会では,今後,平成二十四年度診療報酬改定における中医協答申の附帯意見に示された,(1)病院機能に合わせた効率的な入院医療の推進(2)医療提供体制が十分ではなく,医療機関の機能分化を進めることが困難な地域に配慮した評価(3)入院医療や外来診療の機能分化の推進や適正化(4)診療報酬点数表における簡素化(5)医療機関における褥瘡の発生等の状況―について調査を行った上で,検討を進めていくことになっている.
費用対効果評価専門部会では,前回,鈴木常任理事始め多くの委員から,拙速な議論は避けるべきとの意見が出されたことを踏まえて,厚労省事務局は制度の基本的な考え方を確認した上で,具体的な運用方法に係る必要最小限の項目について整理を行うとする案を提示し,段階的に検討を進める考えを示した.
鈴木常任理事は,費用対効果導入の条件に,「有効性・安全性が確立していること」を入れるべきだと主張.更に,厚労省事務局が具体的な技術例として粒子線治療を取り上げていることに関しても,「粒子線治療の導入ありきのようだが,そもそも粒子線治療は有効性が確立されているのか.費用対効果の導入に関して,現状で粒子線治療しか検討が出来ないのであれば,導入の検討自体が時期尚早なのではないか」として,改めて慎重な議論を求めた.
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