医師のみなさまへ

2022年6月23日

ウクライナへの医療支援について

 日本医師会はウクライナの医療支援について世界医師会と引き続き強く連携し、全国の都道府県医師会、郡市区医師会とともに、ウクライナやウクライナの方々、日本に避難された方々への支援を継続、強化していきます。
 また、皆様からのご支援につきましてもお待ちしておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 お寄せいただいた支援金は、世界医師会等を通じ、このたびのロシアによる軍事侵攻により被害を受けられたウクライナの皆さんへの医療支援のために用いさせていただきます。


【6月23日 ウクライナ医療支援活動最新状況報告】

ミコライウ産科病院からの支援要請


タスクフォース・ウクライナは、ウクライナ南部の戦闘地域のひとつであるミコライウ市の産科病院からの要請に基づき支援プロジェクトに携わっています。ミコライウ市には21の病院と診療所があり、市の人口は約50万人ですが、激しい攻撃を受けているため、人口のほぼ半数が市外に避難しています。ミコライウ市は、オデーサに通じる陸路であり、ロシア軍に対する戦略的拠点でもあります。ミコライウ市を含む近隣地区にも婦人科及び産科医療を提供している産科病院の医師は、住民の減少に伴い、例年2,000件以上の出産数が今年は1,000回に減少すると予想しています。そして、ストレスの結果として、早産が多いのではないかと見ています。

クリニックでは、産褥椅子、分娩用ベッド、未熟児用の設備(酸素テント)、及び蘇生装置が失われています。また、集中治療用の医療用消耗品(輸液製剤)をチェルカースイ州に届ける予定です。同地域は戦争地帯ではありませんが、避難してきた多くの患者に医療を提供しています。そして、オデーサから止血帯の追加要請があり、これに応えるべく対応しています。


【6月22日 ウクライナ医療支援活動最新状況報告】

Freedom To Ukraineからタスクフォース・ウクライナへ
医療物資搬送に対する感謝のビデオメッセージ



タスクフォース・ウクライナの第2プロジェクトとして、"Freedom to Ukraine" との協力により、医薬品に加え、外傷治療用途の応急処置キット、止血帯、微孔性応急処置テープ、胸部シール、耐熱ブランケットなど約50万ユーロ相当分医療物資が、6月5日、リビウに搬送され国内の医療拠点に届けられました。"Freedom to Ukraine"は医療物資が搬送された状況をビデオに収め、感謝の意を表しております。

ビデオメッセージ(要約)
「タスクフォース・ウクライナの支援活動に感謝します。8トンを超える医薬品及び医療物資は、ウクライナの多くの人々にとって貴重な支援と受け止めています。我々にとってタスクフォース・ウクライナと共に活動ができることは非常に名誉なことです。我々を信頼していただきありがとうございます。」


【5月31日 ウクライナ医療支援活動最新状況報告】

1.利用可能な資金

 ウクライナ医療支援基金には、これまで約270万ユーロ( 約3億7,000万円)の寄附金が寄せられ、そのうち約100万ユーロ(1億3,600万円)が医療支援物資の購入と搬送に係る3つのプロジェクトに費やされました。日本医師会からは3月9日に1億円、4月1日と22日には皆さまからお寄せいただいた寄附金からそれぞれ1億円、計3億円を送金しています。

2.第2プロジェクト "Freedom to Ukraine"との協力

 タスクフォース・ウクライナによる約50万ユーロの医療支援物資は、第1プロジェクトと同じくイスラエルにおいて調達された後、"Freedom to Ukraine"の協力を得て、ポーランドへ空輸され、通関手続きを待っている状況です。
"Freedom To Ukraine"は2つの慈善団体"Fenyx Group"と"Ariel Charity Foundation"のコラボレーションであり、以前は孤児や低所得家庭の子供たちの発育、教育、治療、サポートにあらゆる方法で携わっていました。2月24日、ロシアの軍事侵攻が始まって以来、自由のために奮闘しているウクライナとその国民への強力な支援を行うことを活動の目的としています。

3.第3プロジェクト "Hope for Ukraine"及びザクセン州医師会との協力

 タスクフォース・ウクライナは、ドイツのザクセン州医師会及びNGO "Hope for Ukraine"と協力することに合意しました。ウクライナ中部のチェルカースイ地域における医療支援要望リストに従って、約30万ユーロの医療支援物資の調達と搬送を行います。ザクセン州医師会では、このリストは単一の病院ではなく、前線の負傷者のケアを担うチェルカースイ州全体を対象としていることを明らかにしました。さらに、ドイツのヘッセン州医師会が別の医療支援物資の調達を検討することに関心を示していることから、タスクフォース・ウクライナでは、いくつかの情報提供をしました。
"HOPE FOR UKRAINE"は、ウクライナで最も貧しいコミュニティの個人や家族への支援を目的とした慈善団体です。ロシアの軍事侵攻後は、取り残された家族に食糧、医療、避難所、教育を提供する活動を行っています。



【5月17日、ウクライナ医療支援活動 最新状況報告】



左:中川俊男 日本医師会会長
右:葛西 健 WHO西太平洋地域事務局長
世界医師会Twitter:医療物資の搬送に感謝するリビウ市長(左)
とエイデルマン世界医師会元会長(右)

WHO西太平洋地域事務局(WPRO)の葛西健地域事務局長が、4月26日、日本医師会中川会長を訪問されました。同会長と同事務局長は、定期的に新型コロナウイルス感染症の国内状況、WPRO域内及びWHOの見解についてWebを介して情報共有をしてきました。面談で、同会長は、日本医師会による世界医師会の活動を通じたウクライナ医療支援基金への寄附、及びタスクフォース・ウクライナへの参画を通じたウクライナへの医療支援活動を寄附金募集活動の成果と共に同事務局長に紹介しました。同事務局長は、本会の活動を高く評価し、感銘を受けたとして、5月16日、世界医師会のTweetに次のようにコメントを寄せられました。

5月16日 葛西健WHO西太平洋地域事務局長によるリツイート ※1
「この危機の時期に、我々の地域における医師の同僚が世界医師会のウクライナ医療支援に連帯して活動していることを称賛します。」

5月6日 世界医師会ツイート ※2
「欧州医師常設委員会、欧州医師会フォーラム、および世界医師会によって開始されたウクライナ医療支援基金は現在260万ユーロ(約3億5千万円)を超え、その大部分は日本医師会始め加盟各国医師会から寄せられたものです。」

【5月10日、ウクライナ医療支援活動 最新状況報告】

オトマー・クロイバー
WMA事務総長
ウクライナ医師会による必要医療物資リスト(部分)
世界医師会(WMA)のオトマー・クロイバー事務総長からの情報では、タスクフォース・ウクライナがウクライナ医師会と共に作成したリストに掲載された外傷治療用応急処置キット、止血帯、耐熱ブランケットなどの医療物資は、現在、イスラエルにおいて調達が進められており、間もなく完了する予定です。さらに、キーウの国立医療臨床センター脳神経外科への開頭手術器械の導入は、ドイツ医師会の支援を受けてドイツの医療機器会社との交渉を進めています。ウクライナへのこれら医療物資の搬送については、エイデルマン元世界医師会長がイスラエル政府から紹介を受け、ウクライナ全土への物資搬送に実績のあるウクライナの人道支援団体「FREEDOM TO UKRAINE」に託すことを検討しています。

【都道府県宛て通知】

◇介護保険課
R4.6.10 「ウクライナから避難を目的として入国した外国人に係る介護保険の適用について(その2)」の送付について
◇地域医療課
R4.4.26 来日したウクライナ避難民の患者受入れ環境整備支援等及び国民健康保険の適用について
R4.4.6 【日本医師会におけるウクライナ支援策】日本医師会医賠責保険付帯医療通訳サービスの拡充について

【日医on-lineより抜粋】

【外国人医療関連】

・外国人医療関連

※ウクライナからの避難民支援の一環として、日本医師会医師賠償責任保険医療通訳サービスにウクライナ語を追加しました。
なお、「ウクライナから避難された患者やその親族」における医療通訳サービスにつきましては、対象言語に関わらず、年間20回の回数制限を廃止して対応いたします。

・日本医師会医師賠償責任保険 医療通訳サービス

【支援金のご報告】

4月21日現在(寄附金)NEW

日本医師会は、全国から寄せられた寄附金から、新たに1億円を同基金に送金いたしました。これまでと併せて日本医師会から3億円の寄附金となります。

4月13日現在(寄附金)

ウクライナ医療支援基金への寄附金は、4月13日現在、約2億7千万円(約200万ユーロ)に達しました。しかし戦況はより深刻になっています。日本医師会は、近日中に寄付金から追加の1億円を送金する予定です。

4月1日現在(寄附金)

皆様からお寄せいただきました寄附金は、2022年4月1日現在、お陰様で1億円を超えました。同日、日本医師会はその中から1億円を世界医師会に送金いたしました。この寄附金は、同年3月9日に日本医師会が行った1億円の寄附金に続くものであり、ウクライナへの医療支援に即座に役立つものとして、大いに感謝されております。先の1億円の寄附金は、ウクライナで必要とされる医薬品、医療物資の調達及び搬送に充当されました。それらの物資は、同年3月26日にイスラエルからポーランドを経てリビウのウクライナ医師会役員に届けられ、そこから全土の医師に配布されております。今回の寄附金は同様の支援に加え、近隣の各国医師会によるウクライナからの避難民の方々の医療支援にも振り向けられる予定です。

3月9日(寄附金)

日本医師会は世界医師会の呼びかけに応じ、2022年3月9日、ウクライナへの医療支援のために、1億円の寄附を緊急で行いました。

【支援金について】

銀 行 名:三井住友銀行 神田支店
口座番号:普通預金 3549308
口 座 名:公益社団法人 日本医師会 ウクライナ医療支援金
フリガナ名:シヤ)ニホンイシカイ ウクライナイリヨウシエンキン

* 手数料は各自ご負担願います。
* 領収書が必要な方は、支援金領収書発行申込書を下記よりダウンロードして、本会経理課までお送りください。
 ⇒支援金領収書発行申込書 [PDF版][Word版]

※支援金(寄附金)の税制上の取扱
日本医師会への寄附は「特定公益増進法人に対する寄附金」に該当いたします。個人の方は寄附金の控除(所得控除又は税額控除)、法人の方は「一般の寄附金」とは別枠で損金算入ができます。詳しくは、国税庁のホームページ、又はお近くの税務署にお問合せ下さい。

【日本医師会によるウクライナへの医療支援 】

世界医師会(115カ国医師会加盟)を通じた日本医師会によるウクライナへの医療支援活動についてご報告いたします。


1.日本医師会からの1億円の寄附

日本医師会では、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、ウクライナ国民に大きな被害が出ている現状を憂慮し、世界医師会によるウクライナ国民の医療支援を目的とした寄附金の募集に呼応し、3月9日、1億円の寄附を行いました。

2.ウクライナ医療支援基金の設立

ウクライナ医師会から医療支援要請を受けた世界医師会は、欧州医師会フォーラム、欧州常設委員会と共に医療支援体制を確立し、その活動資金となる「ウクライナ医療支援基金」を設立しました。 本会からの寄附金1億円は、「ウクライナ医療支援基金」の原資となり、元世界医師会長、元イスラエル医師会長であるレオニード・エイデルマン教授を議長とする運営委員会が管理することになりました。

3.タスクフォース・ウクライナの構成

世界医師会、欧州医師会フォーラム、欧州医師常設委員会及びポーランド、スロベキア、ハンガリー、ルーマニア、フランスの各国医師会により「タスクフォース・ウクライナ」が構成され、ウクライナ医療支援基金の運用を担うことになりました。日本医師会は世界医師会オトマー・クロイバー事務総長の要請により、タスクフォース・ウクライナに参加し、提言を行っていくことになりました。
 
世界医師会
オトマー・クロイバー事務総長 

4.医薬品・医療物資の調達

ウクライナ医師会の要望リストに掲載された医薬品・医療物資は、エイデルマン教授により、イスラエルの政府系病院への供給会社を通じて調達されました。費用は輸送費と併せ約7,700万円になりました。
レア・ワプナーイスラエル医師会事務総長
欧州医師会フォーラム事務総長
レオニード・エイデルマン教授
世界医師会元会長、イスラエル医師会元会長

5.医薬品・医療物資の輸送

医薬品・医療物資は、在イスラエルのウクライナ大使館の支援を受け、エイデルマン教授が帯同して、空路テルアビブからポーランドのワルシャワへ輸送されました。(3月25日)
左:コンスタント・ラジヴィウ知事
右:レオニード・エイデルマン世界医師会元会長、イスラエル医師会元会長
医薬品・医療物資は通関後、ポーランドの元保健大臣で医師のマゾフシェ県コンスタント・ラジヴィウ知事及びポーランド医師会の支援によりウクライナとの国境に搬送されました。国境では、ウクライナ医師会理事のアンドリー・バジレビッチ教授がウクライナ医師会の同僚と物資を受け取り、その後、ウクライナ保健省と協力して最も重要なニーズのある地域に確実に配送されました。(3月26日)
リビウのアンドレイ・バジレビッジ教授(ウクライナ医師会理事)へ物資を搬送
リビウ市長からの感謝状
リビウ市内野戦病院
リビウ市野戦病院内

6.ウクライナ医師会との連絡

現在、世界医師会では、リビウのウクライナ医師会理事との間で連絡が取れていますが、キーウとの連絡はますます困難になっていましたが、イーロン・マスク氏がウクライナに提供した衛星インターネットサービスシステム「スターリンク」を利用して接触を試みています。

7.日本医師会からの寄附金の位置づけ

日本医師会による1億円の寄附に対し、世界医師会のハイジ・ステンスミレン会長(スウェーデン医師会前会長)から、お礼状が寄せられました。
欧州から遠く離れた日本医師会から1億円の寄附金が即座に送られたことは金額以上の価値のあるものと受け止められました。世界の同僚がこの痛ましい戦況に着目し、医療支援の手を差し伸べている現実にウクライナを支援する近隣諸国の医師会は勇気づけられ、励まされ、取り残されていないことが実感されたのです。
 
世界医師会ハイジ・ステンスミレン会長
日本医師会では、今回の寄附金の意義を改めて実感し、47都道府県医師会を通じた全国の医師会及び会員に引き続き寄附を呼び掛けた結果、新たに集まった1億円の寄附金を世界医師会に送金しました。(4月1日)

4月7日、WHOは、ロシア軍によるウクライナの医療施設、輸送手段等への攻撃が2月24日以降100件を超えたことを公表しました。これを受け、世界医師会は同日、「ウクライナの医療施設への爆撃に衝撃を受けた医師のリーダー」と題したプレスリリースを公表しました。そこでは、紛争の当事者が、関連する人道法を尊重し、医療機関、労働者および車両を標的にしたり、負傷者や患者の医療へのアクセスを制限したり、医療施設を軍事施設として使用したりしないこと、医療へのアクセスは、市民または軍に関わらず、全ての被害者に保障されていること、医師及び全ての医療従事者は、いかなる状況においても揺るぎない義務の行使を妨げられてはならないことなどを訴えています。
4月14日、タスクフォース・ウクライナは、ウクライナ医師会と共に進行中のニーズを評価し、必要な医薬品の最新リストを作成しました。リストには、主に外傷治療用の応急処置キット、止血帯、包帯、止血ガーゼ、胸腔脱気ニードル、胸部シール、外傷バサミ、鼻咽頭エアウェイ、耐熱ブランケットなどの医療器具・消耗品が列記され、搬送も含め、約6,900万円(約50万ユーロ)相当の費用が見込まれています。

4月18日、世界医師会は、ウクライナ東部ドンバスに対するロシア軍の大規模攻撃が開始されたことにより、更に多くの被害者が出ることを懸念し、一層の医療支援の必要性を強調しました。また、ウクライナ西部のリビウへの攻撃は、「タスクフォース・ウクライナ」の医薬品・医療物資を含め、物資配送の主要なハブであり、更に、避難民にとってのハブでもあることから、非常に心配しているとしています。

世界医師会「ウクライナ医療支援基金」への寄附金は、4月13日に約2億7千万円(約200万ユーロ)に達しました。

4月21日、日本医師会は、全国から寄せられた寄附金から、新たに1億円を同基金に送金いたしました。これまでと併せて日本医師会から3億円の寄附金となります。世界医師会からは、ウクライナへの医療支援を支える日本医師会の多大なる貢献及びリーダーシップに対して改めて感謝の意とともに敬意が示されました。

戦況はより深刻になっていることから、さらなる被害者の増加や医療物資の不足が懸念されます。今後も引き続き皆さまからの寄附金をお願いいたします。

日本医師会はウクライナの医療支援について世界医師会と引き続き強く連携し、全国の都道府県医師会、郡市区医師会とともに、ウクライナやウクライナの方々、日本に避難された方々への支援を継続、強化してまいります。

【問い合わせ先】

◆支援金:日本医師会 経理課
 〒113-8621 東京都文京区本駒込2-28-16
 FAX:03-3942-6504
 E-mail:keiri@po.med.or.jp

◆外国人医療関連:日本医師会 地域医療課 代表TEL:03-3946-2121

◆世界医師会を通じた医療支援:日本医師会 国際課 代表TEL:03-3946-2121