指導:東京慈恵会医科大学健康医学センター健康医学科教授
   池田 義雄

心あたりはありませんか?
  忙しい毎日…。太っている、食べ過ぎ・飲み過ぎが多い、運動不足が続いている、疲れやすく甘いものが食べたくなるなど、「もしや?」と心配。でも、会社の定期健康診断では尿糖はマイナスでホッとひと安心。こんな経験をお持ちの中高年の方はいませんか。
しかし尿糖が陰性でも、糖尿病の可能性は否定できません。そこで早期発見のためには血糖検査が欠かせません。

現代は糖尿病になりやすい環境
 ブドウ糖はインスリンというホルモンの働きによって、エネルギー源として利用されます。食べ過ぎや運動不足でエネルギーが過剰になるとそれに応じてインスリン分泌はなされますが、限度を超すと分泌が間に合わなくなります。また肥満してくると筋肉や肝臓などでのインスリンの働きが悪くなり、次第に血中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなってきます。空腹時血糖値が110mg/dl以上は要注意です。そして従来の140mg/dl以上ではなく、126mg/dl以上を糖尿病と診断する考え方が主流になってきています。この場合、中高年ではそのほとんどが2型糖尿病(インスリン非依存型)です。
 現代社会には食べ過ぎ、運動不足、これによる肥満、そしてストレスなど、2型糖尿病をひきおこしやすい条件が満ちあふれています。つまり日本人の大多数は大変糖尿病になりやすい環境の中で生活しているというわけです。

検査の先延ばしは危険
 厚生省によれば糖尿病の方は40歳以上の10%で、糖尿病予備軍あるいは境界型といわれる方を加えるとその倍になると推計されています。
 20代前半に比較して1割以上の体重増加がある、血縁者に糖尿病がある、などの気になることがあったら、「忙しいから」などと先延ばしせず、まずは検査を受けましょう。糖尿病も他の生活習慣病と同様に、早期発見、早期治療、そして早期からの自己管理が重要です。そのためのポイントは肥満の是正と生活習慣の改善にあります。


 

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