なるほど診療報酬(しんりょうほうしゅう)

新聞やテレビなどで
医療に関する報道の際に使われている
「診療報酬」という言葉があります。
このコーナーでは、「診療報酬」について
分かりやすく解説します。

「診療報酬」とは?

日本では全国民に加入が義務付けられている公的医療保険制度があるため、病気やけがなどの際に保険証を提示すれば、誰でも必要な医療行為(診察、治療、処方など)を受けることができます。
[詳細は「世界に誇れる日本の医療保険制度」
https://www.med.or.jp/people/info/kaifo/)をご覧下さい]

医療機関に、その対価として支払われる費用は「診療報酬」と呼ばれ、厚生労働大臣が定めた医療行為1つひとつの点数を足し合わせて算出した金額となります。
そのうち、自己負担分(原則3割※年齢や所得に応じて異なる)は患者さんが、残りは加入している医療保険者が、医療機関に支払うことになります。

「診療報酬」の図

「診療報酬」≠医師の収入

「報酬」という言葉のイメージから、「診療報酬」は全てが医師の収入と誤解されている方も多いのではないでしょうか?

医療機関では医師、看護師その他さまざまな医療スタッフが働いています。
そのスタッフに係る人件費の他、医薬品・医療材料の購入費、医療機器・機材に係る費用、施設維持・管理費用は主に「診療報酬」から賄っているのです。

「診療報酬」≠医師の収入の図

病院や診療所のいろんなところに使われているんだね!

「医療行為ごとに公定価格【点数】が決められている

診療報酬の点数は、1つひとつの医療行為ごとに厚生労働大臣が細かく決めています。
皆さんが受けた医療行為に対する価格は、医療行為ごとに決められた点数を基に「1点=10円」として計算されます。(例えば、初診料288点ですと2880円になります)。
この医療行為ごとの点数「1点=10円」という金額は、全国どこでも変わりありません。

1点 = 10円

具体的な支払い例を見てみよう!

下のようなケースの場合の支払い例を見てみましょう。
(右図)
医療行為ごとに点数が細かく決められているのが分かります。

■とある患者さんの診療明細書

インフルエンザの流行により、発熱があったため、かかりつけの診療所を受診し、インフルエンザの検査を受け、処方箋を発行してもらった。

医療費合計 731点 × 10円 = 7,310円 / 患者一部負担料金(3割負担の方の場合) 2,190円 ※10円未満の金額は四捨五入

■とある患者さんの診療明細書

クリックで大きく見れるよ!

とある患者さんの診療明細書

「○○料」「○○加算」とは?

診療報酬には「○○料」や「○○加算」といったものがあり、決められた要件を満たすことにより、点数を加算することができるようになっています。

初診料
病気やけがなどで初めて医療機関を受診した際に請求される費用
ただし、治療中に患者さんが自己判断で受診を中止し、1カ月以上経過した場合、同じ保険医療機関において治療を受ける場合には、その病名や症状が前回と同じものであっても初診料が請求されます
再診料
治療が一度で終わらず、同じ病気やけがで継続して医療機関を受診した際に請求される費用
乳幼児加算
6歳未満の子どもが受診した際に請求される費用
時間外加算
医療機関が表示する診療時間以外の時間に受診した際に
請求される費用

1点 = 10円

点数はどうやって決まっているの?

診療報酬の点数は、医療の進歩や日本の経済状況などを踏まえて、
通常2年に一度見直しが行われています。これを「診療報酬改定」と呼んでいます。
まず、年末に政府が国の予算編成をする際に診療報酬全体の「改定率」を決定し、それを基に、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(以下、中医協)に意見を求めます。

中医協は、公益委員(学者など)、診療側委員(医師の代表など)、支払側委員(健康保険組合の代表など)の三者構成となっており、日本医師会も診療側委員として議論に参加しています。
中医協では、前回改定の影響を検証するなど議論を重ね、その上で厚生労働大臣からの諮問に対して、厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会並びに医療部会で決められた改定方針に従って、個々の医療行為に対する点数の見直し内容を決めています。

「診療報酬改定」の図

みんなから意見を聞いて決めるんだね!

必要かつ適切な「診療報酬」の確保が不可欠!

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、身近に医療機関があることの重要性を感じている方も多いのではないでしょうか。

保険医療機関の経営は主に「診療報酬」で成り立っています。
皆様に安心で安全な医療を提供するためには、適正な診療報酬による健全な医療機関経営が必要です。

日本医師会は、今後も皆様の生命と健康を守っていくために、必要かつ適切な「診療報酬」の確保を国に求めていきます。

今後も皆様の生命と健康を守っていくために、必要かつ適切な「診療報酬」の確保を国に求めていきます。