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平成28年(2016年)11月20日(日) / 日医ニュース

産業保健をめぐる諸課題について協議

産業保健をめぐる諸課題について協議

産業保健をめぐる諸課題について協議

 第38回産業保健活動推進全国会議が10月13日、日医会館大講堂で開催された。
 冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、「勤務医を始めとする医療従事者の健康管理や作業環境管理など、環境の変化に対応できるような医療機関における産業保健の推進が不可欠になっている」と指摘。
 また、労働安全衛生法が改正され、昨年12月より労働者に対してストレスチェックが義務づけられたことにより、業務量の増大とともに訴訟リスクに対する負担感を持つ産業医の先生方がいることから、日医では本年7月から、産業医や学校医等の活動に伴う日医医師賠償責任保険の補償を拡充したとした。
 更に、近年では、治療を受けながら就労を続ける労働者も増加しており、労働者に対する治療と職業生活の両立支援が新たな課題となっていることにも言及。日医認定産業医や産業保健活動総合支援事業に期待される役割はますます増大することから、都道府県・郡市区等医師会が安心して主体的に取り組める環境づくりのために、今後も厚生労働省との折衝を重ねていくとした。
 続いて、塩崎恭久厚労大臣(田中誠二厚労省労働基準局安全衛生部長代読)並びに、有賀徹労働者健康安全機構理事長、櫻井治彦産業医学振興財団理事長より、それぞれあいさつが行われた。
 その後、活動事例報告として、小松満茨城産業保健総合支援センター所長並びに浅井俊夫酒田地域産業保健センターコーディネーターから、おのおののセンターの取り組みが紹介され、質疑応答が行われた。
 説明・報告では、武田康久厚労省労働基準局安全衛生部労働衛生課長が、「最近の労働衛生行政の動向について」と題して講演を行った。
 同課長は、まず、昨年12月に施行されたストレスチェック制度及び「産業医制度の在り方に関する検討会」での検討項目について説明した。
 また、「両立支援を行うための環境整備」と「個別の両立支援の進め方」を2本の柱に具体的な取り組み方法等を取りまとめた『治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』について、その概要を解説した。

産業保健の推進をテーマにシンポジウム

 続いて、松本吉郎常任理事の司会の下、「医療機関における産業保健の推進」をテーマとしたシンポジウムが行われた。
 相澤好治北里大学名誉教授は、「体制作り―産業医の役割を中心に―」と題し、多くの危険有害要因が存在する医療機関での働き方の問題や労働衛生管理体制について説明。医療機関での産業保健活動は、医療従事者の健康と安全を守り、より良い医療を患者に提供する基盤になるとして、産業医が職務を適切に行うための環境整備が重要であるとした。
 中嶋義文三井記念病院精神科部長の「メンタルヘルス対策」についての講演では、日医の「勤務医の健康支援に関する検討委員会」が平成27年に実施した「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査」の結果を報告。また、自身が勤務している病院のメンタルヘルス支援のための取り組みを紹介するとともに、精神科を専門とする産業医の立場から、「医療機関におけるメンタルヘルスケア対策は、産業医だけではなく、複数の人間が関わることが大切である」と述べた。
 吉川徹労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所過労死等調査研究センター長代理は、「勤務医の健康支援」と題して、医療勤務環境の改善がなぜ必要なのか、医師(勤務医)の過重労働を中心に解説した。
 また、「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査」の結果を紹介しながら、勤務医の健康支援としては、「自助」「共助」「互助」の3つの視点が重要であると指摘した。
 和田耕治国立国際医療研究センター国際医療協力局は、「労働衛生のリスク対策―感染症を中心に―」と題して講演を行い、(1)ワクチンで予防可能な疾患の対策強化、(2)院内感染担当部署との更なる連携、(3)血液媒介感染症の感染患者への医療従事者の差別偏見対策―について説明。「今後、医療従事者における産業保健をどのように推進していくべきかを考える時にきている」とした上で、産業医の役割の重要性を改めて強調した。
 協議では、相澤日医産業保健委員会委員長の司会の下、武田労働衛生課長、亀澤典子労働者健康福祉機構理事、及川桂産業医学振興財団事務局長、松本(吉)常任理事が、事前に寄せられた6件の質問・要望及びフロアからの質問にそれぞれ回答を行った。

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