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平成29年(2017年)10月20日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

衆議院解散と第48回衆議院議員総選挙を受けて

日医定例記者会見 平成29年9月27日

 横倉義武会長は、安倍晋三内閣総理大臣が9月25日の会見において、消費税率10%への引き上げを予定どおり行う中で、増税分の使い道を見直し、教育の無償化等、全世代型社会保障の実現を目指すことなどを国民に問うため、28日召集の臨時国会冒頭で衆議院を解散し、第48回衆議院議員総選挙を行うとの考えを示したことを受けて、日医の見解を示した。
 同会長は、今回の解散・総選挙について、「日医としては、主に健康寿命の延伸、必要な財源の確保、かかりつけ医を中心とした地域における必要な医療の確保、受動喫煙の防止対策の推進、控除対象外消費税問題の抜本的解決等を求めていく」と強調。その上で、「日医では、これまでも社会保障の充実により国民不安を解消することが経済の好循環につながると主張してきた。受益と負担の関係を明確にしつつ、増税の結果として安心して社会保障を受けられるようになったという成功体験を持てることも重要である」との考えを示すとともに、「消費税収の使途を債務増の軽減から社会保障の充実に変更することも一つの方法である」と述べた。
 今回の消費税増収分の使途の変更については、「債務増の軽減ではなく、他の財源に活用できるのであれば、教育のみではなく、医療を始めとする社会保障の充実に充てるという考え方は当然あり、そうなれば望ましい」とする一方、「社会保障と税の一体改革」においてもその実現は困難であったと指摘。「人づくりも国の礎であり、教育の無償化や子ども・子育て支援など、全世代型社会保障の実現を目指すことは、結果として社会の中の格差が是正され、社会の安定につながる」として、理解を示した。
 また、安倍総理の発言については、「現在の消費税8%では、増収分のうち国の債務増の軽減に3・3兆円を充てているが、これを10%に引き上げると7・3兆円に増加するというのが『社会保障と税の一体改革』であり、この増加分(約4兆円)の一部を後代への負担のつけ回しの軽減から子ども・子育て支援や教育の無償化等に充てるという主張だと理解している」と説明。
 「10%満額時の社会保障の充実分2・8兆円については、子ども・子育て支援の財源に更に充てることなく、当然、社会保障の充実財源として引き続き確保されるものと考えている」と改めて主張した。
 更に、同会長は、前回の8%への増税について、「それまで給付が先行していた状況を見直すために増税したため、社会保障が充実したという実感が乏しく、国民の間に痛税感があり、このことも消費回復に影響したのではないか」と分析。「10%引き上げ時には、社会保障の充実に加えて、債務増の軽減に充てる額の増収分(満年度約4兆円)の一部を子ども・子育て支援や教育の無償化等に使い、全世代型社会保障を実現することにより、税負担があっても安心して社会保障が受けられるようになったという成功体験を経験できれば、今後、受益と負担の関係を明確にしつつ、消費税やその他の税の増税への国民の抵抗も少なくなり、消費も増え、経済が活性化し、税収も増えることで、結果的に財政再建にもつながるのではないか」とした。
 その上で、同会長は、「政府全体の支出が増加することにより、今後『骨太の方針』等で支出にシーリングが掛けられるのではないかとの懸念もあり、今後も政局を注視しながら、国民皆保険を堅持し、国民の間で医療・介護の享受に格差が生じないよう、国民医療・介護の更なる充実・強化を政府に対して強く求めていく」と述べた。

 

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