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平成30年(2018年)2月5日(月) / 日医ニュース

「地域医療構想」をテーマに関係者間で問題意識を共有

「地域医療構想」をテーマに関係者間で問題意識を共有

「地域医療構想」をテーマに関係者間で問題意識を共有

 平成29年度都道府県医師会地域医療構想担当理事連絡協議会が昨年12月22日、平成28年度末までに策定され、現在、各地の地域医療構想調整会議(以下、調整会議)において協議が進められている地域医療構想について、関係者間での問題意識の共有・協議を行い、各地の調整会議の機能を更に向上させることを目的として、日医会館大講堂で開催された。

 当日は、釜萢敏常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、「地域医療構想は、都道府県医師会と郡市区医師会が中心となり、地域の医療関係者が一体となってつくり上げ、自主的に実行に移していくことが大きな趣旨であるが、その際には、医療と行政、医療と介護との連携が必須である」と強調。地域の住民が安心して医療を受けられるよう、将来の医療提供体制は、全国画一的な方向性を目指すのではなく、地域の実情に応じて構築されていくべきであるとの考えを示した上で、「日医では、これからも各医療機関や地域の自主的な取り組みを支援していく」として、理解と協力を求めた。
 また、本連絡協議会には、これまでにない取り組みとして、医師会と車の両輪となって地域医療構想を進めている都道府県庁など地方行政の担当者が出席していることにも言及。「2025年に向けて、各地域の行政と医師会とが共通理解の下で課題解決に向けて活動を推進していくためにも、行政と医師会が共に参加した本日の担当理事連絡協議会が、お互いの連携や各地域での取り組みを深めていく良い機会となることを期待する」と述べた。

地域医療構想について(日医の立場から)

 中川俊男副会長は、「地域医療構想について」と題して講演を行った。
 同副会長は、まず、病床機能報告制度について、各医療機関が病棟単位で自主的に定性的に報告する病床機能報告と、一定の仮定の下に推計した参考値を示した病床の必要量は性質が異なり、単純に比較することはできないことを改めて説明し、正しい理解を求めた。
 続いて、「回復期機能が不足している」との見解については、前述の単純比較といった誤解による誤りであると指摘。その上で、平成29年9月29日付で厚生労働省医政局地域医療計画課から発出された事務連絡「地域医療構想・病床機能報告における回復期機能について」では、「現時点では、全国的に回復期を担う病床が大幅に不足し、必要な回復期医療を受けられない患者が多数生じている状況ではないと考えている」とする見解が明確に示されていると説明した。
 更に、「新公立病院改革ガイドライン」「公的医療機関等2025プラン」について解説するとともに、「策定状況及び策定したプランについては、調整会議において、しっかりとした議論を進めて欲しい」と述べた。

地域医療構想の進め方について(厚労省の立場から)

 続いて、佐々木健厚労省医政局地域医療計画課長が、行政の立場から「地域医療構想の進め方」について解説を行った。
 佐々木課長は、地域医療構想の目的は、地域における役割分担の明確化と将来の方向性の共有について調整会議で協議し、地域医療介護総合確保基金を活用することでその実現を支援していくことにあると説明。調整会議において議論することが要請されている「新公立病院改革ガイドライン」及び「公的医療機関等2025プラン」については、「調整会議でしっかりと議論してもらいたい」と強調。その上で、「策定したプランについては、修正を求めることができる。まずは、議論の俎上(そじょう)に載せることが重要であるが、それでも議論の場に上がらない場合には、ぜひ厚労省に相談して欲しい」と呼び掛けた。

協議

 協議では、まず、静岡・福岡両県医師会及び福岡県による事例報告が行われた。
 静岡県医師会:小林利彦静岡県医師会理事は、「静岡県の現況報告」として、静岡県地域医療構想調整会議の開催状況について説明し、調整会議における課題として、病床機能報告データの理解不足・活用不足、次期診療報酬・介護報酬改定の動き等を挙げた。
 その上で、「策定したプランは、大きな方向性(ビジョン)として捉え、次期診療報酬改定への動きなども注視しながら、最終的に地域の意思決定につなげていくことが重要である」と述べた他、「調整会議のまとめ役は医師会が担うのが望ましく、診療所と病院と行政との橋渡しに積極的に関与すべきである」と強調した。
 福岡県医師会:戸次鎮史福岡県医師会常任理事は、「福岡県における地域医療構想の取組」について、「福岡県では、産業医科大学と県医師会が協力して13の医療圏(=構想区域)ごとに素案を作成、13構想区域それぞれで調整会議を開催して協議を行ってきた。その後、各郡市医師会理事会で素案を協議頂いた後、病院、有床診療所等の医療機関を対象とした意見交換会を開催し、その意見を反映させて福岡県地域医療構想を策定した」と、その経緯を京築医療圏の事例を紹介しながら説明した。
 また、「病床削減が目的ではなく、地域の医療介護ニーズに対応するためにどのような医療提供体制が望ましいのかを考えることを念頭に、医師会で策定した素案と『福岡県地域医療構想(案)』の記述の整合性の確認を各項目ごとに実施し、記載内容に矛盾点や過不足がないか、各施設の将来構想を考えるための指針となっているか等の確認を行ってきたことが特徴である」と述べた。
 福岡県:白垣幸助福岡県保健医療介護部医療指導課医療計画係長は、これまで県医師会と共に行ってきた地域医療構想の取り組みを紹介。
 策定段階においては、(1)地域の医療提供体制の現状と目指すべき姿の関係者間での認識共有、(2)地域医療構想を実現するための課題の抽出、(3)課題に対する対応策について検討、構想案への記載―の三つのステップの下で協議を行ってきたことを改めて説明した。
 また、策定後の実現に向けて、県医師会の協力の下、病床機能転換予定状況調査を実施したことや、調整会議において出された主な意見について、さまざまな通知を出して対応してきたこと、病床機能転換等にかかる今後の対応方針を定めたことなどを、独自の取り組みとして説明した。
 続いて、埼玉・愛知・長崎・島根各県医師会から事前に寄せられた質問に対して、中川副会長、佐々木課長がそれぞれ回答を行った。
 最後に、中川副会長が総括し、連絡協議会は閉会となった。

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