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令和3年(2021年)11月5日(金) / 日医ニュース

心筋炎関連事象の報告を踏まえ10代、20代男性に対するワクチン接種の対応を変更

 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議が、新型コロナワクチン接種後の心筋炎関連事象に焦点を絞った審議を行うため、10月15日に厚生労働省で緊急開催され、日本医師会からは宮川政昭常任理事が出席した。
 当日の合同会議で厚労省は、ファイザー製とモデルナ製、アストラゼネカ製のワクチン接種後の心筋炎のデータだけでなく、新型コロナウイルス感染症の発症に伴う心筋炎のデータなどを提示。10代、20代男性でファイザー製に比べ、モデルナ製接種後の報告頻度が高い傾向が継続・顕著となっているとして、ファイザー製ワクチンを推奨することを提案した。
 これに対して、宮川常任理事は、被接種者に対する十分なリスクコミュニケーションと正しい理解に基づく自由選択が前提にあるべきと指摘するとともに、そのための体制並びに環境を、現場の医療従事者、自治体、国、また報道機関も含めた全関係者で協力して整備していくことが重要だと主張した。
 その他の委員からも、「ファイザー製でも接種後の心筋炎関連事象が報告されている」「mRNAワクチン接種後の心筋炎・心膜炎発症はまれであり、発症しても軽症である」「mRNAワクチン接種による心筋炎・心膜炎発症の機序は不明である」こと等を理由として、否定的な意見が出されたことから、「ファイザー社ワクチンの接種を推奨」との文言は、「十分な情報提供の上、ファイザー社ワクチンの接種を選択できる」と変更することで了承された。
 これにより、先般認められた「交互接種」の枠組みで、10代・20代男性は1回目がモデルナ製であっても、2回目にファイザー製を選択することが可能となった。
 なお、当日は、ファイザー製とモデルナ製のどちらのワクチンも新型コロナウイルス感染症に感染したことによって発生する心筋炎・心膜炎の発生率と比較して、接種によるベネフィットはリスクを上回ることが資料として示され、宮川常任理事始め多くの委員から、この点に関する国民向けの情報提供が重要になるとの意見が出された。
 今回の対応の見直しを受けて、厚労省は同日に事務連絡「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会における審議を受けた対応について」を発出。本人がモデルナ製のワクチン接種を希望する場合はモデルナ製のワクチン接種を可能とする一方、ファイザー製のワクチンを希望する場合は予約を振り替えるなどして、ファイザー製のワクチンを接種できるよう適切な対応を求めた。

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