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令和4年(2022年)1月5日(水) / 日医ニュース

「院内感染と医事紛争」をテーマに開催

 令和3年度都道府県医師会医事紛争担当理事連絡協議会が昨年12月9日、日本医師会館でWEB会議で開催された。
 担当の城守国斗常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで中川俊男会長は、医事紛争への対応や医師賠償責任保険(以下、医賠責保険)の運営、新型コロナウイルスワクチン接種推進に対する協力に謝辞を述べた。
 その上で、コロナ医療とコロナ以外の通常医療の両立が求められる中で行った対応が医事紛争になってしまう不安や、医療訴訟等の紛争処理に対し、日本医師会と都道府県医師会が連携を取りながら、会員の安全・安心をサポートしていくのが日本医師会医賠責保険制度の重要な役割でもあると強調。今後も各医師会から寄せられた意見を基に、本制度を効果的に運営していく考えを示した。
 続いて、城守常任理事が、今年度の協議会のテーマとして取り上げられた「院内感染と医事紛争」について、院内感染全般における留意点と、新型コロナウイルス感染症への対応に関する説明を行った。

「標準予防策」の徹底が重要なポイント

 城守常任理事はまず、一般的な院内感染において問題となる注意義務の類型として、(1)感染防止義務違反、(2)治療義務違反―があるとし、(1)においては、院内で「標準予防策」が徹底されていたか否かが、医療機関の責任が問われる上で重要なポイントになることを指摘。感染患者が確認された後に取られた感染拡大防止策について、原因菌によっては感染経路別予防策が取られていたか、保健所への届け出に問題はなかったかなども判断のポイントになることを説明した。
 その中で、新型コロナに限らず、院内感染は不可抗力事象であることを念頭に調査を尽くすとともに、医療水準にかなった感染防止策を講じていること等を説明し、安易な過失認定を避けること、速やかに医師会に相談すること等を求め、「懸命に未知の感染症の治療に当たっている先生方を全力でサポートするのが医賠責保険の役割」と強調した。
 都道府県医師会からは、日本医師会医賠責保険に付託するタイミングや日本医師会付託事案で「無責」判定を受けた場合の解決方法、新型コロナに係る自宅療養サポート医の責任に関する質問や、ホテル療養患者死亡に対する県和解金支払いへの日本医師会による対応の要望が寄せられ、城守常任理事がそれぞれ回答した。
 なお、当日は、事務局が「日本医師会医賠責保険の運営に関する経過報告」について概説。緊急事態宣言の影響を受け、令和2年度の付託事案件数は令和元年度より減少したものの、平成21年度から令和2年度までの審査会・付託件数はおおむね年間260件前後で推移していることの他、令和2年度は226件の事案が解決に至り、訴訟によらず、交渉による解決が増加したこと等を報告した。
 最後に、松原謙二副会長が閉会のあいさつを行い、医事紛争の当事者となった時、医療従事者にとって医賠責保険は大変重要なものとの認識を示す一方、医療提供体制において改めるべき点は改め、患者の安全・安心のための医療安全推進を図る必要性を強調し、引き続き、日本医師会と都道府県医師会との間で医事紛争事例を共有していくことを求めた。

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