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令和4年(2022年)1月20日(木) / 日医ニュース

学校保健推進活動における課題と対応を共有

学校保健推進活動における課題と対応を共有

学校保健推進活動における課題と対応を共有

 令和3年度都道府県医師会学校保健担当理事連絡協議会が昨年12月12日にWEB会議により開催された。
 渡辺弘司常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで中川俊男会長は、昨今の働き方改革に伴い、教員の働き方への関与を始め、学校保健分野においても多様な問題が発生していると指摘。新型コロナウイルス感染症対策の動向を含めた学校保健活動のあり方に対する情報共有を図ることを目的に開催した本協議会が、今後の学校保健活動に対する更なる知見を深め、各種の問題解決のための一助となることに期待を寄せた。

学校保健に関する国の動きを報告―文部科学省

 議事ではまず、三木忠一文部科学省健康教育・食育課長から、学校保健全般として、(1)新型コロナウイルス感染症への対応、(2)令和4年度概算要求―について説明が行われた。
 (1)では、令和2年6月1日から令和3年11月30日までに文科省に報告された、学校関係者における感染状況や新学期に向けた感染症対策の徹底に関する事務連絡の内容を説明するとともに、学校で新型コロナ感染者が発生した場合に備えて、濃厚接触者等の特定に関するガイドラインを作成したことを紹介した。
 (2)では、各学校における保健衛生用品の整備等に係る経費の支援事業について、「前倒しに令和3年度補正予算に計上している」とした上で、令和4年度予算では、前年度に引き続き、学校等欠席者・感染症情報システムの充実や学校健康診断情報のPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)への活用に関する調査研究事業、近視実態調査、がん教育総合支援事業等の要望を行うとともに、脊柱側弯(せきちゅうそくわん)症検診に関する調査研究事業を新規に盛り込んでいることを報告した。
 続いて、山田泰造文科省特別支援教育課長が、特別支援教育の充実として、特別支援学校と小中学校に設置されている特別支援学級及び通級による指導について、特別支援教育を受ける児童生徒数の概況とその増加状況を報告するとともに、特別支援の対象となる子どもの割合に関する国際比較を概説。「今後、特別支援教育を受ける児童生徒数が増えることにより、特別支援が当たり前の社会になっていく」との見方を示した。
 また、最近の動向として、令和3年9月に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」に触れ、学校における医療的ケアの実施体制の充実に向けた取り組みと体制整備のための令和4年度の予算要望について報告。併せて、主治医から学校医等への情報提供に基づく医療的ケアの流れを日本医師会と厚生労働省と共に検討していることを明らかにした。
 次に、「学校保健分野における課題と対応」と題して、弓倉整日本学校保健会専務理事が、学校保健の現状を説明。主な課題として、「アレルギー疾患児童生徒」「いじめ」「不登校」「自殺」の増加状況等を挙げた他、学校生活管理指導表が改訂されたことにも触れ、「学校心臓検診の実際」と「学校検尿のすべて」について、その内容を紹介した。
 また、感染症対策として、日本学校保健会が運営している「学校等欠席者・感染症情報システム」の概要とその課題について解説し、学校保健会としても、常に新しい情報提供に努めていく意向を示した。
 その後の協議では、事前に寄せられたアンケートを基に、学校医の不足・偏在・業務内容拡大の問題、学校健診の項目と健診のあり方、新型コロナウイルス関連やオンライン授業に関する課題、包括的性教育等の学校教育に対する提案など、多岐にわたる質問・要望に対して、渡辺常任理事、文科省、日本学校保健会から回答した。
 総括を行った今村聡副会長は、学校保健に関して、「今後、医療界と教育界との緊密な連携が重要になる」とした上で、こども家庭庁の創設に向けた議論に言及。都道府県医師会に対しては、教育委員会と連携した学校保健分野の体制構築とともに、医療的ケア児への医療、福祉、教育が連携して対応する環境整備が必要であるとして、積極的な関与を求めた。
 更に、日本医師会としても都道府県医師会と共に、各都道府県の学校保健会と協同して、児童生徒が学校生活の場を通じて健やかな成長ができるよう協力していく意向を示した。

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