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令和4年(2022年)3月17日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

新型コロナウイルス感染症の現況等について

 中川俊男会長は3月16日の定例記者会見で、3月21日までのまん延防止等重点措置が全面的に解除される見込みであることに理解を示すとともに、解除後も感染防止対策の継続とワクチン接種の推進が重要であることを改めて訴えた。

【感染状況について】
 18都道府県が対象とされているまん延防止等重点措置は、3月21日に全面解除の見通しであるが、それに先立ち、3月11日に開催された新型コロナウイルス感染症対策分科会では、これまでの解除の判断基準を緩和する方針が承認されたことに触れ、「今回の考え方は大幅な方針転換である」と指摘。

 政府が、オミクロン株主体の第6波において、コロナとの共存に大きく舵を切ろうとしていることに一定の理解を示した上で、「ただし、オミクロン株の下位系統であるBA.1からBA.2への置き換わりが急速に進み、感染が再拡大した場合には、速やかな重点措置などの対策をとって頂きたい」と要望した。

 また、諸外国のように制限を一気に廃止するのではなく、感染拡大につながりにくいと分かったものから徐々に制限を緩和すべきだとし、経済活動を両立させることが求められつつある中で、これからも感染防止対策が必要であることを強調した。

【ワクチン接種について】
 3回目の追加接種については、1日約100万回を超え、接種率は全体で3割、高齢者で7割を超えたことを報告する一方、集団接種会場でかなりの空きが見られていることを憂慮。「オミクロン株は、たとえかかっても軽症で済むのではないかと、ワクチン接種の意義が実感しにくいことなどが考えられるが、オミクロン株でも重症化し、死亡者数も多くなっている」とし、ワクチン接種を更に推進していく必要があるとの考えを示した。

 4回目の接種に関しては、これまでの経験を踏まえ、ワクチン供給量を十分に確保する道筋をつけた上で、3回目接種との間隔などエビデンスのあるデータが出揃った段階で、政府が判断するよう求めた。

 中川会長は、これから、卒業、入学、就職、花見といった人の移動や交流の機会が増える季節を迎えることを踏まえ、「無症状や症状が軽い方からも感染は広がるので、感染対策を徹底して、日常生活を送って頂き、まだワクチン接種を受けていない方は、新生活が始まる前に接種を受けて頂きたい」と述べるとともに、疑問や不安がある場合には、かかりつけ医に相談するよう促した。

【後発医薬品を始めとした医薬品供給不足について】
 この他中川会長は、昨年、後発医薬品を製造する企業のうち8社が、国から承認された内容と異なる手順で医薬品を製造するなど、組織的なコンプライアンス欠如により、医薬品医療機器等法に基づく業務停止命令を受けたことを取り上げ、「この影響で、通常どおりの出荷ができていない医薬品が昨年12月時点で約3000品目あり、医療現場では、他の医薬品への処方変更や、医薬品卸との頻回な納入交渉など、医療提供に支障を来している」と強調。

 本問題は、後発医薬品の製造や出荷の長期間停止・縮小したことが発端ではあるが、その影響を受けて、同じ成分規格や類薬を製造販売する先発品及び後発品メーカーにおいても、在庫が激減するのを防ぐために出荷を控えたり、新規の受注を断ったりすることも原因となっていると指摘した。

 その上で、業界に対しては、供給停止になっている医薬品の早期の供給再開を求めるとともに、供給量が増加するよう、日本製薬工業協会、日本製薬団体連合会がリーダーシップを発揮して業界全体で早急に対処することを要望。更に、日本医薬品卸売業連合会にも協力を求め、「このような非常事態においては、先発・後発に関係なく、業界全体による国民の医療を守るための真剣な取り組みを期待する」と述べた。

 一方、患者に向けては、「医薬品の供給不足により、今まで処方されていた薬が処方してもらえず、不安に感じている方もおられると思うが、治療を継続するために医師が責任をもって適切な別の薬に変更するので、安心して薬物治療を受けて欲しい」と呼び掛けた。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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