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令和4年(2022年)4月5日(火) / 日医ニュース

臨床検査機関の精度管理向上を目指して

臨床検査機関の精度管理向上を目指して

臨床検査機関の精度管理向上を目指して

 第55回臨床検査精度管理調査報告会の動画収録が3月11日、日本医師会館小講堂で行われた。
 本報告会は、従来、参加施設が一堂に会して行われてきたが、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、前年度に引き続き、動画の配信等で対応することになった。
 当日は、3215施設が参加した第55回臨床検査精度管理調査に関する、(1)臨床化学一般検査、(2)臨床化学一般・糖代謝・尿検査、(3)臨床化学一般検査、(4)酵素検査、(5)脂質検査、(6)甲状腺マーカー・感染症マーカー・リウマトイド因子、(7)腫瘍マーカー、(8)血液学的検査、(9)測定装置利用の動向、(10)総括―について、日本医師会臨床検査精度管理検討委員会委員による講評が行われた。
 総括では、高木康委員長(写真)が集計作業上の問題点として、試料検査項目の誤記入が見られたことを報告。各検査室に対して、「誤記入を防ぐためにも、自施設の測定試薬のメーカー名、測定原理、基質、緩衝液、標準物質を知っておいて欲しい」と要望した。
 また、今回の結果については、(1)トレーサビリティ確認は90・2~95・2(92・4±1・3)%の施設で実施されており、年々増加している、(2)臨床化学一般項目、酵素項目では結果のバラツキが小さく、施設間互換性が確保できている状態と考える、(3)酵素項目はJSCC勧告法、日本・常用酵素標準物質(JC・ERM)の普及で収束が進んでいる、(4)腫瘍マーカーのばらつきは改善されておらず、装置・試薬間の差が大きい、(5)血球検査(CBC)はほぼ満足できる収束であった、(6)プロトロンビン時間国際標準比(PT―INR)は治療上重要な指標であり、全体評価が可能な改善が必要、(7)免疫学的測定法は試薬・装置間差が大きく、今後の改善が必要―などを説明。
 今後は、同一施設内の複数機器・試薬(緊急検査用や装置)に対する調査の実施も検討していきたいとした。
 その上で、高木委員長は、コロナ禍にあって、臨床検査の重要性と同時に、精度管理の重要性が国民に認識されたと指摘。国民の健康増進のためには、適切に精度管理された精確な検査結果を国民に返却する必要があるとし、「今後もわが国の臨床検査機関の精度管理の向上のために、日本医師会臨床検査精度管理検討委員会は活動を続けていく」との決意を示した。
 なお、今回収録した動画は調査に参加した施設が見られるように、4月5日より日本医師会臨床検査報告管理調査の専用ホームページに掲載することになっている。

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