

渡辺弘司常任理事は5月20日の定例記者会見で、母子保健検討委員会が取りまとめた答申について説明した。
本答申は、会長諮問「出産から育児までの健康管理(産後ケアと乳幼児健診の在り方)」を受けて検討を重ね取りまとめられたもので、4月8日に福田稠委員長(熊本県医師会長、日本医師会副会長)より松本吉郎会長に手交された。
その内容は「はじめに」「妊産婦の心と体の健康 妊産婦健診から産後ケアまで」「妊産婦から乳幼児までの切れ目ない母子の健康管理体制」「おわりに」の四つの章で構成されている。
「はじめに」では、かつての子育てや性教育が大家族や地域社会の強固なつながりの中で行われていたことに触れるとともに、現代はSNSの普及等で性が身近になる一方、中高生の妊娠や妊産婦の孤立が顕在化していることが述べられている。
「妊産婦の心と体の健康 妊産婦健診から産後ケアまで」では、日本の周産期医療は世界トップクラスの安全性を達成しており、身体的な管理が高度化しているものの、産後うつ等の精神疾患に伴う妊産婦の自殺や、児童虐待が深刻な社会課題となっていることを指摘。こうした状況を踏まえ、産婦健診にメンタルヘルス評価が導入されていることに言及している。さらに、妊産婦健診は母子の孤立を防ぎ、地域社会全体で安全を担保するための重要な起点であることを強調するとともに、産科から小児科、そして行政へと情報を確実に橋渡しする仕組みの定着が不可欠であると述べている。
産後ケアでの支援の在り方については、山梨県・兵庫県における産後ケア事業を紹介。その中で浮き彫りになった課題として、施設数や助産師等の専門人材の不足、事務・情報共有のDX化の推進などを挙げている。
また、産後ケア事業における産科と小児科の連携に関して、妊娠から子育て期に係る切れ目の無い支援を行うためには、日頃から地域の医師会等を通じた連携体制を構築することが必要であるとしている。
「妊産婦から乳幼児までの切れ目ない母子の健康管理体制」では、産婦人科から小児科への情報の連携の在り方として、小児科医による出生前保健指導事業(プレネイタル・ビジット)を一つの方法として提示。また、医師の本来業務の多忙さや個人情報管理の難しさ、母親から得られる情報や現状の母子健康手帳の記載には限界があることから、多職種間の関係性の構築については、地域の事情に合わせて行うことが望ましいと提案している。
さらに、5歳児健診の今後の方向性に関して、乳幼児健診は小児保健の根幹であることから、医療、保健、教育、福祉の連携による地域の子育て力の向上が期待されるとしている。
「おわりに」では、母子保健は産婦人科や小児科を始めとする医療関係者のみならず、行政、保健、福祉など、多くの関係者が協力して支える分野であると説明。日本医師会としても、地域の医師会や関係団体と連携しながら、親子の健康を守る体制の充実に引き続き取り組んでいく必要があると述べている。
関連資料
問い合わせ先
日本医師会健康医療第二課 TEL:03-3946-2121(代)



