日医ニュース 第916号(平成11年11月5日)

第51回世界医師会総会開催
坪井会長,世界医師会次期会長に就任

 第五十一回世界医師会(WMA)総会が,十月十三日から十七日まで,イスラエル・テルアビブ市内のホテルで開催され,坪井栄孝会長が満場一致で次期会長に選出された.また,四月の中間理事会で内定していた二〇〇四年の第五十六回総会開催地が,「東京」に正式決定した.(関連記事)

 総会には,七十一加盟医師会のうち三十七医師会からの代表のほか,医療関連の国際機関からのオブザーバーを含め,約二百二十名が参加して盛会に執り行われた.日医からは,坪井栄孝会長をはじめ,石川高明副会長,佐々木健雄・宇野義知両理事,小池麒一郎・竹内輝博・山田統正各常任理事,林幹三議長,坂上正道・畔柳達雄両参与が代表出席した.
 開会式典では,アメリカ医師会前会長であるジョンソン世界医師会長の開会宣言,イスラエル保健大臣代理,ブラヒャー・イスラエル医師会長による歓迎の辞が述べられ,チェコ医師会長のブラホス氏が第五十一代会長に就任した.
 今回の総会で特筆すべきは,坪井会長が世界医師会の次期会長選に立候補し,満場一致で選出されたことがあげられる.これにより坪井会長は,来年十月にイギリスで開催される第五十二回世界医師会エジンバラ総会において,二〇〇〇年−二〇〇一年を任期とする第五十二代世界医師会長に就任することが決定した.会長職としての任期は,次期会長(一九九九−二〇〇〇年),会長(前述),前会長(二〇〇一−二〇〇二年)をそれぞれ総会から次の総会まで一年間務め,あわせて三年間となっている.
 次期会長に選出された坪井会長は,「世界医師会の活動がより広く認知され,多くの成果がもたらされるよう今後とも努力することをお誓い申しあげます」とあいさつをした.
 各委員会から提出され,理事会を通して総会で審議された議事の結果は,以下のとおりである.

財務企画関係

 スロバキア,フィジー,ブラジル医師会が加盟し,一方でシリア,ウガンダが会費滞納により脱会したため,総会終了時点で加盟医師会数は七十二となった.
 また,二〇〇四年の第五十六回東京総会,二〇〇五年の第五十七回総会のラテンアメリカ(詳細未定)開催が決定した.二〇〇〇年の第百五十六回理事会は五月にフランスのディボンヌで,第五十二回総会は十月三日〜七日にイギリスのエジンバラで開催されることが確認された.
 さらに,世界医師会の事務局を現在のフランスのフェルネ・ボルテア事務所の近くに新規に購入し,移転することが決定した.

社会医学関係

採択された文書
(1)スポーツ医学のためのヘルスケアの原則に関するWMA宣言
(2)医師と薬剤師との業務上の関係に関するWMA声明
(3)医学校のカリキュラムに医の倫理と人権を含めることに関するWMA決議

各国医師会にコメントを求めるため回付される文書
(1)医師の臨床上の独立性と専門職としての完全性に関するWMA声明案
(2)医療供給者と受療者の間の倫理的対立の予防と解決に関するWMA声明案
(3)刑務所の医療に関するWMA声明案

医の倫理関係

採択された文書
(1)遠隔医療実施にあたっての説明義務・責任・倫理上のガイドラインに関するWMA声明
(2)医療プロセス特許に関するWMA声明

再起草される文書
(1)ヒト臓器と組織の移植に関するWMA声明案

その他の文書の議決結果
(1)ヘルシンキ宣言
 本年四月に開催されたチリの中間理事会で設置された作業部会による報告が行われ,その後の検討の結果,現状の構成と内容の根幹を極力維持しながら,文言修正に留める方針が打ち出され,以下に掲げる方法で,この作業部会により修正作業を継続することとなった.

 学術集会は,「ヒトの生命とヒトゲノム」を主題として開催され,八名の講師による講演が行われた.
 その他,準会員会議では,総会への代表として,小池常任理事とドイツ医師会のクロイバー氏が選出された.


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