日医ニュース 第992号(平成15年1月5日)

四師会「患者負担増反対!」国民運動
坪井会長を先頭にチラシ配り

 昨年十二月十一日に発表した「四師会共同声明」(関連記事)では,今後,四師会(日本医師会,日本歯科医師会,日本薬剤師会,日本看護協会)が共闘体制を組んで,「被用者保険三割自己負担の実施凍結」等の国民運動を展開していくことを決めた.その国民運動の第一弾として,十二月二十四日午前十一時半から,都内二カ所で,「街頭チラシ配布運動」を実施した.

 当日は,おのおの四団体から,会長をはじめとする役員と事務局合わせて約百名が集合し,東京銀座数寄屋橋交差点および旧そごうデパート東京国際フォーラム側路上の二つのグループに分かれて,街頭に立った.
 数寄屋橋の交差点では,四師会の会長が顔を揃え,報道陣のフラッシュのなか,道行く人々にチラシを配り,直接,「患者負担増に反対しましょう!」と呼びかけた.なかには,立ち止まって役員からの説明に耳を傾ける人もいたが,寒さをこらえて足早に駆けていく姿もみられた.それでも,役員の熱意が伝わったためか,一時間で約四千枚のチラシを配り終えた.
 なお,日医では,街頭チラシ配布の他に,次のような活動を実施している.
(一)ポスター作成(日医ニュース一月五日号折り込み,待合室に掲示をお願いする)
(二)チラシ作成(窓口で患者さんに配布をお願いする.(1)A1会員に現物を五十枚送付(2)チラシのデータを日医および都道府県医師会のホームページからダウンロード・印刷して活用(3)原稿をFAXで郡市区医師会まで送信―の三方法で送り,協力をお願いする)
(三)地方紙を利用しての意見広告等(都道府県医師会への広報活動費の助成.意見広告,チラシ,テレビ,ラジオ等使用方法は自由)
(四)都道府県議会決議要請(すでに,日医連から要請済み)

>>>ポスター、チラシはこちらでご覧いただけます。

四師会で小泉総理等に要望書を提出

 これに先立つ十二月二十日,四師会役員は,首相官邸,厚生労働省,自民党本部を訪れ,四師会会長連名の要望書を手渡し,四月からの健康保険法本人三割負担実施の凍結を要請した.
 当日は,日医から糸氏英吉・石川高明両副会長と羽生田俊常任理事,日歯から塚本亨常務理事,日薬から漆畑稔常務理事,日看協から岡谷恵子専務理事らが参加.福田康夫官房長官,坂口力厚生労働大臣,綿貫民輔衆議院議長,倉田寛之参議院議長,山崎拓幹事長,麻生太郎政務調査会長,堀内光雄総務会長を訪ね,現在,医療現場がおかれている状況を説明し,被用者保険の三割自己負担の凍結を強く訴えた.

要 望 書

 現在,政府においては,二十一世紀の少子高齢社会に対応する医療制度の構築に向けて,聖域なき構造改革を断行している.
 改革の柱は患者および国民の負担増,医療への株式会社参入,混合診療の導入等であり,財政対策と市場原理の考え方に終始している.これらの政策が強行されれば,患者は受診を抑制され,国民が等しく医療の恩恵に浴せない事態となり,わが国の誇る国民皆保険制度は,まさに形骸化の一途をたどることは明白である.
 すでにその兆候は,中医協における政府提出の資料からも明らかである.受診行動が大幅に抑制された結果として,総医療費の支出は政府見込みを大幅に下廻り,日医の緊急実態調査では予測値との乖離が更に拡大している.同時に患者負担増による受診抑制は,疾病の早期発見・病状の悪化防止を阻害し,国民の健康にとって計り知れない悪影響を及ぼし,最終的には医療費支出増をもたらすものである.
 よって,政府においては国民の健康を守るため,平成十五年四月一日付の健康保険法本人三割負担実施を凍結するように強く要請する.

平成十四年十二月二十日

 日本医師会
  会長 坪井 栄孝
 日本歯科医師会
  会長 臼田 貞夫
 日本薬剤師会
  会長 中西 敏夫
 日本看護協会
  会長 南  裕子

内閣総理大臣
 小泉純一郎殿


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