 |
第1046号(平成17年4月5日) |
第112回日本医師会定例代議員会
国民皆保険制度堅持を再確認

第112回日本医師会定例代議員会が,3月27日に日医会館で開催され,平成17年度日医事業計画,一般会計予算などを審議,可決成立した.
午前九時三十分,内藤哲夫代議員会議長の開会宣言,あいさつの後,議席の指定,定足数の確認(定数三百四十二,欠席一,出席三百四十一),議事録署名人指名,ブロック選出の議事運営委員会委員八名の紹介など,所定の手続きが行われた.
冒頭,植松治雄会長が別掲(別記事参照)の所信を表明し,つづいて,櫻井秀也副会長が,平成十六年度会務の概要を報告.まず,全員起立して,平成十六年度(二月末日現在)に物故された会員千四百五十八名の霊に対して黙祷を捧げ,議事に入った.
はじめに,第一号議案「平成十六年度日本医師会会費減免申請の件」が上程され,伯井俊明常任理事の説明後,賛成多数で可決した.
次いで,第二号議案「平成十七年度日本医師会事業計画の件」,第三号議案「平成十七年度日本医師会一般会計予算の件」,第四号議案「平成十七年度医賠責事業特別会計予算の件」,第五号議案「平成十七年度日医総研事業特別会計予算の件」,第六号議案「平成十七年度治験促進センター事業特別会計予算の件」を一括上程,櫻井副会長および伯井常任理事が提案理由を説明し,その後,詳細な審議を行うため,予算委員会(二十五名で構成)に付託され,代表質問と個人質問に入った(後掲).
午後二時十八分,役員会議室において予算委員会が開催され,一方,大講堂では質問が継続された.
午後三時五十二分,議事を再開し,予算委員長(末長敦氏 岡山県)から付託された議案の審議結果が報告され,第二号議案から第六号議案は賛成多数で可決された.
再び個人質問が行われ,午後四時三十分終了.
引き続いて,第六十三回日本医師会定例総会を開催.(一)庶務及び会計の概況に関する事項,(二)事業の概況に関する事項,(三)代議員会において議決した主要な決議に関する事項について,植松会長の報告があり,総会は閉会となった.
代表質問
ブロック代表質問は七件で,執行部の回答は以下のとおりである.
宝住与一代議員(関東甲信越ブロック)の「医療材料・薬品の値段の適正化について」の質問には,宮崎秀樹副会長が回答し,「中医協総会で,『クレストール錠』十ミリグラムの価格が,諸外国に比べて高くなっていることに,日医出席委員が異議を申し立て,薬価収載は保留になった」と成果報告等をした.
「社会保障・医療制度改革についての日医の基本構想を問う」との合馬紘代議員(九州ブロック)からの質問に,植松会長は,「日医執行部の基本理念は,社会保障の中核である国民皆保険制度の堅持である」と述べ,それには,国民と共に行動することが重要であると強調した.
竹政順三郎代議員(近畿ブロック)は,「医療制度改革に対する日医の対応について」質問.植松会長は,「医療費を経済に合わせるのではなく,経済を医療費に合わせるべきである」と述べ,医療費財源の確保に努めるとの決意を語った.
「日医の医師需給に対する方針について」の藤原淳代議員(中国四国ブロック)の質問に,寺岡暉副会長は,「質の高い医師の養成・確保という観点からの検討が重要.また,特定分野(地域・診療科・時間帯)の医師不足については早急に改善しなければならない」との認識を示した. 中嶋 代議員(中部ブロック)は,「日医の地球環境問題への対応」について質問.宮崎副会長は,「国内,会内的活動とともに,世界医師会活動を通じて,参加医師会に環境問題の重要性を働きかけていきたい」と述べた.
「政管健保の都道府県単位化について」上埜光紀代議員(北海道ブロック)が質問し,櫻井副会長は,「国民皆保険制度の意義からして,保険料率は全国同一であるべき」との考えを示し,都道府県医師会の考え方を参考に医療保険部会等で主張していくとの意向を示した.
鈴木聰男代議員(東京ブロック)は,「新医師臨床研修指導医として活躍する会員への待遇問題」について質問し,橋本信也常任理事は,「金銭的報酬だけでなく,会員が研修医の指導をしているという立派な行いを,社会や国民が評価してくれるようなことを考えたい」と回答した.
個人質問
午後一時二十分,個人質問に入る.質問件数は十四件.
(1)立入克敏代議員(京都府)「日医総研について」
(2)池田 哉代議員(鹿児島県)「電子カルテ導入に対する日医の今後の施策と対応について」
(3)竹内輝博代議員(山形県)「認定医療法人制度について」
(4)木下敬介代議員(山口県)「保険指導について」
(5)嶋田丞代議員(大分県)「有床診療所への対応について」
(6)長内宏代議員(北海道)「看護職員の養成について」
(7)山英昭代議員(北海道)「改正薬事法の全面施行について」
(8)大手信重代議員(奈良県)「児童・生徒の健康に関する現代的課題への取り組みについて」
(9)倉西久雄代議員(石川県)「医薬品の適応外使用に関する司法判断について」 (10)平野 茂代議員(岡山県)「『個人情報保護法』に関連して」
(11)鈴木満代議員(千葉県)「国民負担率について」
(12)今井三男代議員(神奈川県)「裁判員制度について」
(13)矢島暎夫代議員(東京都)「介護保険法改正を踏まえた,高齢者の介護予防やリハビリテーションにおけるかかりつけ医のあり方についての日医の見解」
(14)山内英通代議員(岐阜県)「外国人看護師・介護福祉士の就労について」
なお,詳細については,「日医白クマ通信」ならびに「日医雑誌」五月号の別冊をご覧いただきたい.
|