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第1147号(平成21年6月20日) |

特別入院基本料(その3)

五月初めのある全国紙に「医療費削減で民間病院崩壊」と題した投稿が載っていた.民間小病院の院長が,三十年続けた病棟を閉鎖する心境を述べていて,とても他人事(ひとごと)とは思えなかった.
地域医療,ことに民間の入院部門は風前の灯(ともしび)であるが,政府は二〇〇九年度補正予算において地域医療再生のための基金[地域医療再生基金(仮称)]を都道府県単位で設置し,各都道府県独自の「地域医療再生計画」に基づく医療圏単位の取り組みを支援するものとして,三千百億円を計上している.
しかし,その内容をみると,地域医療再生に本当に役立つか疑わしい.民間の小病院や療養病床などは,またしてもその恩恵には与(あずか)れないようだ.
地域医療において,基幹病院と在宅をつなぐ慢性期病院は必要な存在である.しかし,厚生労働省は,平均在院日数短縮などのために療養病床削減計画を立て,特別入院基本料を設定した.
これらの計画により,予想されたように医療難民,介護難民が発生し,社会問題化している.
この欄での提言は最後にするが(別記事1・別記事2参照),看護師が規定の数に達しないと,入院基本料が四〇%削減される「特別入院基本料」は撤廃してもらいたい.
(北)
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