日医ニュース
日医ニュース目次 第1155号(平成21年10月20日)

プリズム

アカショウビン

 本紙第一一四一号(平成二十一年三月二十日号)のプリズム「カワセミ」では,日本のカワセミ類について,その一端を記した.今回,懸案であったアカショウビンの撮影が出来たので報告する.
 以前,アカショウビンは,北海道,東北でもよく観察され,今よりは少なくなかったようだ.昨年,「キュロロロロ,キュロロロロ」という独特の鳴き声を聞いた白神山地の麓に点在する十二湖に,アカショウビンを求めて再び出掛けた.
 鶏頭場(けとば)の池の湖岸にある,桂の大木の虚(うろ)に営巣しているという.いつのまにか巣の近くの枝に止まる赤い鳥,これがアカショウビンか.森の緑とオレンジ色の鳥,そのコントラストが緊張感を高め,それが初対面であった.
 その後,何カ所かポイントを巡るが,止まる枝は決まって,木の下の暗い所.用意していた機材では,どうにもならず断念.一カ月後,高感度フィルムをさらに増感,そしてやっと捉えることが出来た.
 ヤマセミより一回り小さく,全身オレンジの毛で覆われ,腹部は淡いオレンジ,咽元には白い紋がある.嘴(くちばし)は鮮紅色,眼は黒と,なかなか独特な雰囲気がある.枝に止まって獲物をねらう様は他のカワセミ,ヤマセミに似ている.魚を捕ることもあるが,カニやカエルを捕ることが多いようだ.今回,私が観察した中にヘビが含まれていた.四十〜五十センチでオレンジ色の細いヘビであり,若いヤマカガシが疑われている.宮城県の船形山の登山道で同じ色のヘビを目撃した.現在,この報告をアカショウビンの専門家に送っているが,その食性から,生態はあまり穏やかとは言えないだろう.
 幼鳥の巣立ちを願いながら十二湖を後にした.

(駒)

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