 |
第1157号(平成21年11月20日) |
第62回日本医師会設立記念医学大会
医学・医療の功労者を表彰

日本医師会表彰規程が,平成二十一年四月一日に改正されてから初の「第六十二回日本医師会設立記念医学大会」が,秋晴れの十一月一日,日医会館大講堂で盛大に開催された.式典では,日本医師会最高優功賞,優功賞,医学賞,医学研究助成費の授与と,併せて長寿会員慶祝者の紹介が行われた.
冒頭,あいさつに立った唐澤 人会長は,「長年にわたり,保健・医療・福祉にご尽力くださった方々,医学の発展にご功績のあった方々,本会の事業に多大な貢献をされた方々に対し,ささやかではあるが顕彰をもって報いたい」と表彰の趣旨を説明.そのうえで,「医療を取り巻く環境は,大変厳しい状況であるが,国民が安心できる最善の医療を目指して,今後とも,会員とともに尽力したいと考えている.会員各位のご健勝を祈念する」と述べた.
つづいて,来賓を代表して,長妻昭厚生労働大臣(阿曽沼慎司厚労省医政局長代読)が祝辞を述べた.
この後,表彰式が行われ,受賞者が登壇.唐澤会長から,表彰状と記念品目録を授与された.
なお,今回の受賞者は,日本医師会最高優功賞三団体と二十一名(在任六年都道府県医師会長十二名,「医学,医術の研究により医学,医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し,特に功績顕著なる功労者」三団体と九名),日本医師会優功賞三十五名(在任十年日本医師会代議員十名,在任十年日本医師会委員会委員二十五名),日本医師会医学賞三名,日本医師会医学研究助成費十五名となっている(別記事参照).
受賞者を代表して,嶋津義久大分県医師会長が,「本日の受賞を契機に,国民のために良質な医療の確保と地域医療の充実に向けて,一層の研鑽,努力をしていく覚悟である」と謝辞を述べた.
表彰式終了後には,日本医師会医学賞を受賞した三氏による講演「核─細胞質間蛋白質輸送機構の解明と高次生命機能研究への展開」(米田悦啓大阪大学大学院生命機能研究科/医学系研究科教授)「環境リスクによる潜在的な健康障害の解明─特に次世代影響に関する研究(岸玲子北海道大学大学院医学研究科教授)「マイクロサージャリーによる血管柄付き遊離組織移植術(波利井清紀杏林大学医学部教授)が行われた.
なお,白寿会員三十六名,米寿会員七百七十一名の受賞者には,さらなる長寿を祈念して,銀盃が贈呈されることになっている.
日本医師会表彰規程の改正について
日本医師会表彰規程については,平成十八・十九年度の日本医師会定款・諸規程検討委員会の答申に基づき,本年四月より改正されている.
これにより,最高優功賞の対象者は,従来の「通算して在任十年に達した本会役員,代議員会議長,副議長,都道府県医師会長」「通算して在任十五年に達した本会代議員,委員会委員」から「通算して在任六年に達した本会役員,代議員会議長,副議長,都道府県医師会長」「本会会長を退任したもの」に改められた.優功賞については,従来の「通算して在任十年に達した本会代議員,委員会委員」に加え,「都道府県医師会長を退任したもの」も新たに対象となった.また,「最高優功賞,優功賞の再度の受賞」「最高優功賞を受けたものの優功賞の受賞」は出来ないことになっている.
(詳細は,『日医雑誌』平成二十二年一月号別冊参照)
受賞者一覧
日本医師会最高優功賞
◇在任六年都道府県医師会長
佐々木義樓(青 森)(八年)
嶋津 義久(大 分)(八年)
米盛 學(鹿児島)(八年)
有海 躬行(山 形)
原中 勝征(茨 城)
吉原 忠男(埼 玉)
酒井 國男(大 阪)
碓井 静照(広 島)
森下 立昭(香 川)
久野 梧郎(愛 媛)
沖田 信光(佐 賀)
北野 邦俊(熊 本)
◇医学,医術の研究により医学,医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し,特に功績顕著なる功労者(都道府県医師会長推薦)
【団体の部】
●生涯教育活動の推進に貢献した団体
旭川市医師会医学会(北海道)
●在宅医療支援体制の整備・充実に貢献した医師会
伏見医師会(京 都)
●小児救急医療体制の確立に貢献した医師会
筑紫医師会(福 岡)
【個人の部】
●医療政策の提言を通じて国民医療の推進に貢献した功労者
佐藤 怜(茨 城)
●救急医療体制の確立に貢献した功労者
宮川 政久(神奈川)
●地域医療体制の整備・充実に貢献した功労者
古橋貞二郎(岐 阜)
●小児救急医療体制の確立に貢献した功労者
佐々木皓一(兵 庫)
●地域の保健・医療・福祉の向上に貢献した功労者
永山 克巳(岡 山)
●地域医療体制の整備・充実に貢献した功労者
岸 明宏(広 島)
●地域住民への糖尿病対策に貢献した功労者
島 健二(徳 島)
●有床診療所の活用の推進に貢献した功労者
海江田 健(鹿児島)
●がん検診活動に貢献した功労者
幸地 昭二(沖 縄)
日本医師会優功賞
◇在任十年日本医師会代議員
内藤 裕郎(東 京)
熊谷 豊一(岐 阜)
鈴木 勝彦(静 岡)
細川 孝(愛 知)
上原 春男(京 都)
服部 吉幸(大 阪)
山中 弘光(兵 庫)
多田 昌弘(香 川)
松田 孝一(福 岡)
地後井泰弘(熊 本)
◇在任十年日本医師会委員会委員
大坂 國通(宮 城)
佐藤 家隆(秋 田)
佐藤 泰司(山 形)
大井 利夫(栃 木)
金井 忠男(埼 玉)
飯島 正文(東 京)
牛山 允(東 京)
江口 研二(東 京)
衞藤 (東 京)
児玉 安司(東 京)
櫻井 治彦(東 京)
高木 康(東 京)
谷口 正幸(東 京)
長尾 立子(東 京)
長瀬 輝諠(東 京)
出井 昭(神奈川)
谷野 亮爾(富 山)
島田 和哉(山 梨)
篠原 彰(静 岡)
角田 均(三 重)
塩見 俊次(奈 良)
堤 康博(福 岡)
堀江 正知(福 岡)
藤川 謙二(佐 賀)
富田 雄二(宮 崎)
日本医師会医学賞
●核―細胞質間蛋白質輸送機構の解明と高次生命機能研究への展開
米田 悦啓(阪大・生化学・分子生物学)
●環境リスクによる潜在的な健康障害の解明─特に次世代影響に関する研究
岸 玲子(北大・公衆衛生学)
●マイクロサージャリーによる血管柄付き遊離組織移植術
波利井清紀(杏林大・形成外科学)
日本医師会医学研究助成費
●神経細胞死を抑制するアルツハイマー病の第三世代治療法
松岡 正明(東京医大・薬理学)
●がんの自然免疫療法─確立に向けての基礎研究─
瀬谷 司(北大・免疫学)
●心筋転写制御因子HOPの会合分子同定ならびにHOP変異が心筋症を惹起する機序の解明
森田 啓行(東大・健康医科学創造講座)
●心不全におけるスプライシング機構の役割解明
朝倉 正紀(国立循環器病センター・臨床研究開発部)
●膵β細胞オートファジーと膵島アミロイド形成
綿田 裕孝(順天堂大・代謝内分泌学)
●神経堤細胞の運命決定と発達緑内障の分子メカニズムの解明
稲谷 大(熊本大・眼科学)
●メタボリックシンドロームにおける骨代謝と糖代謝の相互影響
森田 明美(国立健康・栄養研究所・栄養疫学プログラム)
●チェルノブイリ周辺にみられる甲状腺結節は,がん発症のリスクなのか?
高村 昇(長崎大・放射線疫学)
●地域住民を対象にした慢性腎臓病(CKD)の実態調査研究
井関 邦敏(琉球大・血液浄化療法部)
●I型インターフェロン制御を目的としたトロンボモジュリンの抗炎症作用機序の解明
伊藤 量基(関西医大・内科学)
●膵β細胞量調節機構の解明と新規糖尿病治療法の開発
寺内 康夫(横浜市大・分子内分泌・糖尿病内科学)
●酸素/エネルギーハンドリングにおける心血管ホルモンの意義とメタボリックシンドローム包括的医療への応用
伊藤 裕(慶大・腎臓内分泌代謝内科学)
●トランスレーショナルゲノミクスに基づいた難治性小児固形腫瘍における疾患特異的な新規治療法の開発
滝田 順子(東大・無菌治療部)
●網膜色素変性の治療適応決定と予後予測に有用な網膜微細形態計測法と黄斑機能解析法の確立
近藤 峰生(名大・感覚器障害制御学)
●難治性習慣流産における原因遺伝子の探索
杉浦 真弓(名市大・産科婦人科学)
白寿会員
皆川 武夫(北海道)
他三十五名
米寿会員
土田 武正(北海道)
他七百七十名
|