日医ニュース
日医ニュース目次 第1209号(平成24年1月20日)

勤務医のページ

平成23年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
「震災における活動を通した医師の協働」をテーマに開催

勤務医のページ/平成23年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会/「震災における活動を通した医師の協働」をテーマに開催(写真) 平成二十三年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が昨年十一月三十日,日医会館小講堂で開催された.
 協議会は,三上裕司常任理事の司会で開会.冒頭,あいさつに立った原中勝征会長は,診療報酬・介護報酬同時改定について,医療費二千二百億円の自然増容認とネットによるプラス改定を求めて,精力的に活動していることを報告.勤務医の過酷な労働環境について理解を示した上で,勤務医と開業医を対比させる考え方に各方面で異議を唱えていることを強調し,「診療所と病院の連携によって患者さんの命を救うことが肝要である.互いが医師としての責任を果たすためにどういう医療制度をつくればよいか,考えていかなくてはならない」と述べた.

全国医師会勤務医部会連絡協議会の報告

 議事では,南里泰弘富山県医師会理事が,昨年十月二十九日に富山市で開催された平成二十三年度全国医師会勤務医部会連絡協議会の報告を行った.本協議会は,「勤務医の働き方と生きがい(よりよい就労環境を求めて)」をメインテーマに開催されたもので,講演や報告,パネルディスカッションの内容や,「富山宣言」が満場一致で採択されたことなどが紹介された.
 また,佐藤博彦愛媛県医師会常任理事から,平成二十四年度に同協議会を愛媛県にて開催するとの報告があった.
 続いて,今村聡常任理事が勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会の活動について報告.今年度は,「医師の職場環境改善ワークショップ研修会」を岐阜,徳島,山口,宮城,高知,奈良,佐賀,東京の八都県医師会で開催してもらう予定で,既に開催した県医師会のアンケートでは,研修会の満足度が非常に高かったことを紹介した.
 また,昨年から実施している「医師の労働時間の設定基準に関する現場実証調査研究」では,労働時間ガイド現場実証研究や「医師の労働時間の設定基準(案)」作成を進めており,今年度末には「勤務医の労働時間ガイドライン」を取りまとめる予定であるとした.
 三上常任理事は,勤務医委員会臨床研修医部会の活動として,平成二十二年度に同部会がまとめた「『医師臨床研修制度』に係る意見・提言」別記事参照や平成二十三年四月一日からサービスの提供を開始した「日本医師会臨床研修医支援ネットワーク」の内容を説明.更に,平成二十三年度全国医師会勤務医部会連絡協議会に合わせて,その前日に開催した「勤務医委員会臨床研修医部会in富山県」では,全体的に女性医師への配慮や臨床研修医の労働環境に配慮がなされていたとの印象であったこと,平成二十三年度の初回の勤務医委員会臨床研修医部会では,臨床研修におおむね満足であるとの意見が大勢であったことなどを報告した.

東京・石川・岐阜各都県医師会から活動報告

 都道府県医師会からの勤務医活動報告では,まず,弦間昭彦東京都医師会理事が,「勤務環境改善のための実態調査」の結果を紹介.医師の業務が事務的業務など非診療行為を中心に増加し,救急患者の増大,新医師臨床研修制度導入に伴う大学病院での変化等により負担が拡大しているとし,六項目の改善策を提言した.
 久保実石川県医師会理事は,勤務医支援総合対策として,初期臨床研修医の会費無料化などを行っているとした上で,入会メリットを充実させることの重要性を強調.また,「勤務医労働実態アンケート調査」の結果から,労働時間の長さや当直明け勤務の改善が不十分であることなどを報告した.
 臼井正明岐阜県医師会常務理事は,同県の勤務医部会の専門委員会として,総務・学術・学術選考・IT・男女共同参画の各委員会で検討を進めていることを紹介.今年度は,災害医療などをテーマとする二回の学術研修会,医師の職場環境改善ワークショップ研修会を開催した他,勤務医部会員を対象とする調査・研究の助成事業を行っているとした.

震災における活動の課題などを共有

 「震災における活動を通した医師の協働」をテーマとした協議では,都道府県医師会からあらかじめ寄せられていた意見・質問について意見交換が行われた.
 東日本大震災において,被災地に派遣される医療救護班の活動統制が難しかったことから,医師会と行政が中心となった統括システムが必要だとの要望が多く寄せられた.
 新潟県医師会からは,中越沖地震の経験を踏まえ,日頃から行政との協働を図っている様子が紹介された.
 京都府医師会からは,多職種連携のためのチーム医療の研修が役立ったことや,JMATの要請に,勤務医・開業医両方から多くの応募があったことが報告された.この他,被災地やJMATを派遣した各医師会から,当時や現在の状況について,多くの発言が寄せられた.
 最後に三上常任理事が,「JMATでは,勤務医と開業医全ての先生にご協力いただけたことに感謝する.検証して今後の災害に備えたい」と総括し,協議会は終了となった.

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