日医ニュース
日医ニュース目次 第1277号(平成26年11月20日)

第67回日本医師会設立記念医学大会
医学・医療の功労者を表彰

 第67回日本医師会設立記念医学大会が11月1日,日医会館大講堂で盛大に開催された.式典では,日本医師会最高優功賞,優功賞,医学賞,医学研究奨励賞の授与と,併せて長寿会員慶祝者の紹介が行われた.

第67回日本医師会設立記念医学大会/医学・医療の功労者を表彰(写真) 冒頭,あいさつに立った横倉義武会長は,「日医は,設立以来国民の健康と福祉の増進を目指して,会務遂行に努めてきたが,今日の国民医療の発展は諸先輩方が長年にわたり築いてきた質の高い地域医療によるところが大きい」として,感謝の意を表明.「本日は,長年にわたり地域における医療活動,並びに日医の事業の推進への尽力,医学の発展に功績のあった方々に,ささやかではあるが,顕彰をもって報いたい」とした.
 その上で,同会長は,これまでの活動を振り返り,医療界の大同団結を訴えながら,地域医療の再興を掲げ,昨年四月一日付けで公益社団法人となったことを契機に,『日本医師会綱領』を採択したこと等を報告.本綱領を旗印として,医療界の更なる団結を図りながら,公益的活動を深化させていくとするとともに,「今後も日医は,『国民と共に歩む専門家集団』としての医師会をより明確にしながら,『日本医師会綱領』の理念を守り,国民が安心できる最善の医療を目指して,会員の皆様と尽力する」との決意を示した.
 続いて来賓を代表してあいさつした,塩崎恭久厚生労働大臣(二川一男医政局長代読)は,「日本の医療は,医療関係者の長年にわたる努力によって世界最高レベルの健康寿命と医療水準を達成している」とした上で,二〇二五年に向けて,政府一体となって社会保障・税一体改革に取り組む姿勢を示すとともに,「世界に冠たる日本の医療制度を守るためにも日医と連携を密にしていきたいと考えている.日医会員のますますの発展と健勝を祈念する」と祝辞を述べた.その後,表彰式が行われ,受賞者が登壇.横倉会長から表彰状と記念品目録が授与された.
 なお,今回の受賞者は,別掲のとおり,日本医師会最高優功賞が十六名(「在任六年日本医師会役員」一名,「通算六年日本医師会役員及び都道府県医師会長」一名,「医学,医術の研究又は地域における医療活動により,医学,医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し,特に功績顕著なる功労者」十三名〔受賞者の功績紹介は,別記事参照〕,「日本医師会会長特別表彰者」一名),日本医師会優功賞が「在任十年日本医師会委員会委員」四名,日本医師会医学賞が三名,日本医師会医学研究奨励賞が十四名となっている.
 引き続き,受賞者を代表して,小西紀彦伊都医師会顧問が,「本日の受賞を契機として一層研鑽に努め,医学の振興,国民医療の向上に努力する決意を新たにした」と謝辞を述べた.
第67回日本医師会設立記念医学大会/医学・医療の功労者を表彰(写真) 表彰式終了後には,日本医師会医学賞受賞の三氏による講演,「ピロリ菌による胃癌発症の分子機構」(畠山昌則東京大学大学院医学系研究科教授),「癌の分子標的予防法の確立とその応用に向けての研究」(酒井敏行京都府立医科大学大学院医学研究科教授),「自己免疫疾患に対する分子生物学的解析」(山本一彦東京大学大学院医学系研究科教授)が行われた.
 なお,白寿会員四十六名,米寿会員千四百二十八名の慶祝者には,更なる長寿を祈念して銀盃が贈呈された.

受賞者一覧

日本医師会最高優功賞

◇在任6年日本医師会役員
 三上 裕司(大 阪)

◇通算6年日本医師会役員及び都道府県医師会長
 野中  博(東 京)

◇医学,医術の研究又は地域における医療活動により,医学,医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し,特に功績顕著なる功労者(都道府県医師会長推薦)
●学校保健及び救急・予防医療の推進に貢献した功労者
 移川 二郎(宮 城)
●学校保健の推進及び救急医療体制の構築に貢献した功労者
 門屋 桂太郎(福 島)
●医師会活動を通じて地域医療の復興に貢献した功労者
 齋藤  浩(茨 城)
●学校保健及び母子保健の向上に貢献した功労者
 長嶋 正實(愛 知)
●医療の質の向上及び医療安全の推進に貢献した功労者
 莊司 邦夫(三 重)
●医業経営の安定化及び医事紛争防止に貢献した功労者
 余  昌英(京 都)
●がん検診の普及・受診体制整備に貢献した功労者
 大道 準一(兵 庫)
●学校保健活動に著しく貢献した功労者
 門野 文彦(奈 良)
●ITを活用した地域医療体制の確立に貢献した功労者
 小西 紀彦(和歌山)
●地域医療の推進及び救急医療活動に貢献した功労者
 田  修(広 島)
●かかりつけ医推進事業及び糖尿病対策に貢献した功労者
 伊藤  肇(山 口)
●地域医療の充実・発展及び結核予防に貢献した功労者
 太原 春雄(鹿児島)
●医師会活動を通じて地域医療体制の構築に貢献した功労者
 新垣 善一(沖 縄)

◇日本医師会会長特別表彰者
●わが国の心臓血管外科手術における貢献著しい功労者

 天野  篤(東 京)

日本医師会優功賞

◇在任10年日本医師会委員会委員
 前田 義樹(石 川)
 川出 靖彦(岐 阜)
 有田 健一(広 島)
 牛尾 剛士(広 島)

日本医師会医学賞

●ピロリ菌による胃癌発症の分子機構
 畠山 昌則(東大・微生物学)
●癌の分子標的予防法の確立とその応用に向けての研究
 酒井 敏行(京府医大・分子標的癌予防医学)
●自己免疫疾患に対する分子生物学的解析
 山本 一彦(東大・アレルギー・リウマチ学)

日本医師会医学研究奨励賞

●中枢神経・肝臓クロストークの分子メカニズムの解明
 井上  啓(金沢大脳・肝インターフェースメディシン研究センター) 
●筋萎縮性側索硬化症の新規モデル動物作成による発症病態の解明
 河原 行郎(阪大・神経遺伝子学)
●癌細胞特異的なTGF-βシグナル伝達制御機構の統合的同定解析
 鯉沼 代造(東大・分子病理学)
●癌上皮間葉移行におけるmicroRNA転写機構の解明
 水口 義昭(日医大・消化器外科学)
●下部尿路機能障害における全身および局所血流障害からみた病態解明と臨床応用
 松本 成史(旭川医大・腎泌尿器外科学)
●滲出型加齢黄斑変性の発症,進展における全身的因子の解析
 柳  靖雄(東大・眼科学)
●超高齢化社会における失明予防のための緑内障ビックデータによるデータマイニング
 中澤  徹(東北大・眼科学)
●遺伝性不整脈の新たな原因遺伝子と機序の解明ならびに個別化療法の確立
 渡部  裕(新潟大・循環器内科学)
●心筋症の発症・進展における樹状細胞の意義
 安斉 俊久(国立循環器病研究センター)
●思春期特発性側弯症に対する次世代型3次元変形矯正固定術:アナトミカル・ロッドを用いたオーダーメイド外科治療への展開
 須藤 英毅(北大・脊椎・脊髄先端医学)
●内耳再生医療をめざした内耳薬物動態の解明
 神崎  晶(慶大・耳鼻咽喉科学)
●ヒト人工多機能幹細胞由来心筋細胞Extracellular matrix(ECM)グラフトを用いた心不全治療の開発
 宮城 泰雄(日医大・心臓血管外科学)
●増殖因子と細胞内シグナル制御による糖尿病網膜症の病的血管の再生治療
 鈴間  潔(長崎大・眼科学)
●ヒト無精子症の病態解明及び臨床医学への応用
 宮本 敏伸(旭川医大・産婦人科学)

白寿会員

 小野 一男(岩 手)

他45名

米寿会員

 岡田 守夫(北海道)

他1,427名

 

 

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