日医ニュース
日医ニュース目次 第1293号(平成27年7月20日)

外国人患者への対応
AMDA国際医療情報センター

 東京オリンピックを五年後に控え,訪日外国人の数も急速に増えることが予想されている.しかし,先の定例代議員会でも問題提起があったように(別記事参照),外国人患者に対する医療機関での対応は遅れており,早急な体制整備が求められている.
 そこで,今号では,小林米幸特定非営利活動法人AMDA国際医療情報センター理事長に,同センターを開設したきっかけや業務内容等について紹介してもらった.

横倉会長に外国人患者受け入れ体制の
整備に関する協力を要請するため
来館した小林理事長(中央)
 地域住民として,日本人も外国人も差別なく受け入れる通訳付きの小林国際クリニックを開設したのが,平成二年一月十六日.当日のNHK総合テレビ七時のニュースの中で放映されると,翌日から外国人または外国人を支援する日本人から医療で困っているという電話がひっきりなしにかかってきた.
 そんなに医療に困っている外国人がいるなら,彼らの母国語で医療・医事相談を受ける組織をつくって相談を受けることにより,彼らを救えるだけではなく,全国で多発していた外国人をめぐる医療機関でのトラブルも未然に防げるのではないかと考えた.
 そこでAMDAの仲間に相談して六人が一人百万円ずつ出し合って平成三年四月に東京に開設したのがAMDA国際医療情報センターである.
 外国人からの医療・医事相談を受けるはずであったが,開設直後から外国人患者受け入れに伴うトラブルに悩む医師,医療機関から電話通訳等の相談が寄せられた.私自身,現在郡市医師会長を務め,副理事長は当時東京都私立病院協会理事,監事は港区医師会理事を務めており,外国人患者診療で悩む先生方の手助けになるならと診療の際の電話通訳依頼にも積極的に応えることにした.
 年間相談件数は三千〜四千件,既に医師,医療機関からの電話通訳の依頼は毎日数件に上る.現在,英語,スペイン語,韓国語,北京語,タイ語は一年三百六十五日午前九時〜午後八時,ポルトガル語は月,水,金の午前九時〜午後五時,フィリピン語は水曜午後一時〜五時,延べ七十名を超える通訳相談員が対応している.電話相談,電話通訳は無料であり,ぜひご利用頂きたい(相談電話03-5285-8088,ホームページhttp://amda-imic.com/).
 今や日本に居住する外国人は二百二十万人を超え,旅行者など短期滞在者も著増している.日医には,ぜひ専門委員会を立ち上げて,適切な外国人患者受け入れのための対策を講じて頂きたい.

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