閉じる

平成27年(2015年)10月23日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース

日医かかりつけ医機能研修制度について

定例記者会見

定例記者会見

 鈴木邦彦常任理事は、10月21日の定例記者会見で、日医が平成28年4月より、「日医かかりつけ医機能研修制度」を実施することを明らかにした。

 初めに、同常任理事は、日医では、今後の更なる少子高齢社会を見据え、地域住民から信頼される「かかりつけ医機能」のあるべき姿を評価し、その能力を維持・向上することを目的に、新たな研修制度について検討を重ねてきたが、この度、「日医かかりつけ医機能研修制度」として、来年4月より実施することとなったとし、その概要について以下のとおり説明した。

 本研修制度では、「かかりつけ医機能」として、(1)患者中心の医療の実践、(2)継続性を重視した医療の実践、(3)チーム医療、多職種連携の実践、(4)社会的な保健・医療・介護・福祉活動の実践、(5)地域の特性に応じた医療の実践、(6)在宅医療の実践―の6つを挙げ、これらの機能に沿った形で研修内容が組まれており、「基本研修」「応用研修」「実地研修」の3段階に分類されている。

 まず、「基本研修」は、日医生涯教育認定証の取得、つまり日医生涯教育講座の3年間の単位数とカリキュラムコード数の合計で60以上を取得することを第一条件としている。

 次に、「応用研修」は、「講義要綱【シラバス】」を作成、項目として、1.かかりつけ医の倫理、質・医療安全、感染対策、2.健康増進・予防医学、生活習慣病、認知症、3.フレイル予防、高齢者総合機能評価(CGA)・老年症候群、4.かかりつけ医の栄養管理、リハビリテーション、摂食嚥下障害、5.かかりつけ医の在宅医療・緩和医療、6.症例検討―が挙げられている。日医では来年度より、本シラバスに基づくテキストを用いた座学の研修会を開催する予定で、こうした座学研修を本研修制度の応用研修と位置づけている。

 更に、「実地研修」は、「社会的な保健・医療・介護・福祉活動、在宅医療、地域連携活動等」を地域で実践することとされ、具体的な活動内容として、1.学校医・園医、警察業務への協力医、2.健康スポーツ医活動、3.感染症定点観測への協力、4.健康相談、保健指導、行政(保健所)と契約して行っている検診・定期予防接種の実施、5.早朝・休日・夜間・救急診療の実施・協力、6.産業医・地域産業保健センター活動の実施、7.訪問診療の実施、8.家族等のレスパイトケアの実施、9.主治医意見書の記載、10.介護認定審査会への参加、11.退院カンファレンスへの参加、12.地域ケア会議(会議の名称は地域により異なる)等への参加、13.医師会、専門医会、自治会、保健所関連の各種委員、14.看護学校等での講義・講演、15.市民を対象とした講座等での講演、16.地域行事(健康展、祭りなど)への医師としての出務―が挙げられており、同常任理事は、「いずれも地域のかかりつけ医に求められる活動であると考えている」と述べた。

 このように、基本研修(日医生涯教育認定証の取得)に加え、3年間で応用研修10単位以上(基本的に各講義1時間で1単位)と、実地研修10単位以上(1つの活動の実施で5単位)を取得した医師には、都道府県医師会より、修了証書あるいは認定証が交付されることになっている。

 最後に、鈴木常任理事は、「本研修制度の実施主体は都道府県医師会にお願いするものであるため、日医としては、本研修制度を全国に提供し、活用してもらうことによって、かかりつけ医の支援をしていきたい」とし、こうした取り組みこそが、ひいては地域包括ケアシステムの構築に資するものであるとの考えを示した。

 また、記者からの質問に答え、診療報酬上の地域包括診療加算等の要件にもなっていて、日医が行っている「地域包括診療加算・地域包括診療料に係るかかりつけ医研修会」との違いについては、「本研修制度は、日医が考える本来の『かかりつけ医』機能のあるべき姿を更に充実・強化することを目的に立ち上げたものである」として、その意義を強調した。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる