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平成27年(2015年)11月5日(木) / 日医ニュース

「ロコモティブシンドロームのすべて」をメインテーマに開催

「ロコモティブシンドロームのすべて」をメインテーマに開催

「ロコモティブシンドロームのすべて」をメインテーマに開催

 第59回社会保険指導者講習会(日医・厚生労働省共催)が、「ロコモティブシンドロームのすべて」をメインテーマとして、10月1、2の両日、日医会館大講堂で開催された。

 松本純一常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、超高齢社会に突入したわが国では、高齢者の生活の質の維持・増進や、健康寿命の延伸、医療費の低減のためにも、ロコモティブシンドロームの対策が喫緊の課題となっていると指摘。「患者さんの健康管理に携わっていくことは、かかりつけ医の役割として非常に重要であり、最新の知識と技術を吸収して頂き、日々の診療に役立てて欲しい」と述べた。

 また、「人口が減少していく中、世界に誇るべき国民皆保険を堅持していくためには、財政主導ではなく日医主導で、過不足ない医療を提供できるように提言していかなければならない。今後も国民の健康を守るために、安心で良質な医療が提供できる環境を築き上げられるよう、政府と協議していく」と述べ、理解と協力を求めた。

 唐澤剛厚労省保険局長のあいさつに続いて、2日間にわたって、ロコモティブシンドロームの概念・基礎、疫学、評価、ロコモ対策、ロコモ関連疾患等に関する講演と質疑応答が行われた。

 2日目の午後に行われた厚労省関係の講演では、まず、神田裕二厚労省医政局長が「『地域医療構想』の実現に向けた今後の対応」について講演を行った。

 神田局長は、地域医療構想は、昨年の通常国会で成立した医療介護総合確保推進法に基づき、都道府県が2025年に向けて機能分化・連携を進めるために策定されたものであり、病床数の削減を強制的に行うものではないと改めて強調。その上で、今後、都道府県が策定する地域医療構想の実現に向けての課題として、(1)回復期の充実(急性期からの病床転換)、(2)医療従事者の需給見通し、養成数の検討、(3)慢性期の医療ニーズに対応する医療・介護サービスの確保─の3点を挙げ、「これらの解決のためにも都道府県医師会の協力は不可欠だ」として、更なる協力を求めた。

 続いて、宮嵜雅則厚労省保険局医療課長が「次期診療報酬改定に向けて」と題して講演。次回診療報酬改定については、平成26年度診療報酬改定の基本方針に「平成26年度診療報酬改定以降も、引き続き2025年に向けて、質の高い医療が提供される診療報酬体系の在り方の検討も含め、医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に取り組んでいく必要がある」と明記されていることから、基本的な方針に変わりはないとした。

 更に宮嵜課長は、調剤報酬について、中医協では薬局で確認される重複投薬の実態や薬局での残薬確認による医療費削減効果に関するデータを基に議論を行っていると説明。本年6月30日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太の方針2015)」においても、調剤報酬については患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行うと明記されていることから、「外来の機能分化・連携の方策、主治医機能の強化などと共に、重複投薬や残薬を減らす方策についても、中医協において重点的に議論を行っていく」と述べた。

 講習会の最後には、中川俊男副会長が地域医療構想について、「なかなか正しい理解が進まず、混乱も残っている」として、「地域医療構想と医師会の取り組み」に対する日医の考えを改めて説明した。

 同副会長は、地域医療構想について、「不要な病床削減の基準とするものではなく、不足している機能の病床の手当てを検討するためのものである」と改めて強調。その上で、「病床数の増減は、医療機関の自主的な取り組みによって実現していくものであり、都道府県行政に病床削減の権限はない」として、正しい理解を求めるとともに、「地域の判断によって地域一体となって計画を策定することで、地域の実情に沿った医療を提供することが期待されている。全ての地域医療提供体制が、医療機関、住民・患者にとって望ましい姿になるよう、共に取り組んでいきたい」として、更なる協力を求めた。

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