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平成28年(2016年)5月5日(木) / 日医ニュース

「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症施策に関する地域支援事業」等について解説

「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症施策に関する地域支援事業」等について解説

「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症施策に関する地域支援事業」等について解説

 第17回都道府県医師会介護保険担当理事連絡協議会が3月30日、日医会館大講堂で開催された。
 冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、平成30年4月に全ての市区町村で実施されることになっている「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症施策に関する地域支援事業」について触れ、「地域の高齢者を支えるには医療と介護の両方が不可欠であり、日医としても、こうした事業を通じて多職種との連携を進め、地域包括ケアシステムの構築を推進していきたい」と述べるとともに、都道府県医師会に対して、本事業への積極的な取り組みと郡市区医師会への支援を要請した。
 続いて、鈴木邦彦・松本純一両常任理事の司会の下、4つの講演並びに指定発言が行われた。
 佐原康之厚生労働省老健局老人保健課長は、「在宅医療・介護連携推進事業について~実施状況及び今後の施策等~」と題して講演を行った。
 佐原課長は、まず、在宅医療・介護連携推進事業を開始することになった背景について、「これまで円滑とは言えなかった医療と介護の連携を、一体的に提供するために必要な支援として介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業として位置付け、平成27年度から市区町村が主体となり、郡市区医師会等と連携しながら全国的に取り組むこととなった」と説明。「取り組み状況にはばらつきがあるが、先進的な事例を参考として取り組んで欲しい」と述べ、更なる支援と協力を求めた。
 水谷忠由厚労省老健局総務課認知症施策推進室長は、「認知症初期集中支援チーム等について」と題して、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の7つの柱を中心に、その概要について解説した。
 水谷室長は、認知症高齢者等にやさしい地域の実現のためには、医療と介護の連携が重要であると強調。早期診断・早期対応のための体制整備としては、かかりつけ医の認知症対応力向上、認知症サポート医の養成、認知症疾患医療センター等の整備―が重要になると訴えた。
 「地域包括ケア構築に向けた医師会と地域支援事業との関わり」について説明を行った鈴木常任理事は、「地域支援事業には、都道府県・郡市区医師会の関与が不可欠であり、地域包括ケアシステムの構築には、行政・医師会による地域の実情に応じた体制の整備、更にはかかりつけ医と高齢者医療・介護との関わりが、それぞれ重要になる」と強調した。
 また、日医が4月から実施する「日医かかりつけ医機能研修制度」についても触れ、その概要を説明するとともに、改めて本制度への理解と協力を求めた。
 池端幸彦福井県医師会副会長は、「在宅医療・介護連携推進事業に関する福井県医師会等の取り組み」として、福井県医師会等が行政と共に実施している取り組みを紹介した。
 在宅医療の実践状況・課題把握のために行った調査では、在宅医療を行う上で大変なこととして「緊急時の対応」「自身の体力」「在宅での看取り」等が挙げられたことから、これらの不安を解消するために、①「在宅医療の実践研修」「かかりつけ医認知症実践研修」「認知症検診」などを行っていること②「ふくいメディカルネット」に在宅ケア機能を追加したこと―等を説明した。
 その他、平成22年から坂井地区で実施しているモデル事業の現状を報告し、在宅医療体制のポイントや今後の課題等について解説した。
 櫃本真聿四国医療産業研究所長(日医総研客員研究員)は、「指定発言:在宅医療ケアを全国で推進するための医師会の役割」で、自身が委員を務めた日医会内の介護保険委員会で取りまとめた答申「生活者を中心においた地域医師会と地域行政による『多機関・多職種連携「プラットホーム」』の構築」を紹介。
 地域包括ケアの構築には、かかりつけ医の役割が重要であり、地域医師会と地域行政の連携による基盤整備や多機関・多職種連携推進が不可欠であると指摘。地域医師会が主導して、「かかりつけ医」が患者や家族の生活支援に必要な地域のネットワーク構築に積極的に関与できるよう、日医は都道府県医師会と更に協力し、地域医師会を支援していく必要があるとした。
 最後に、松原謙二副会長が、参加者に対して、「国民のために、協力し合って地域包括ケアシステムの構築を進めていこう」と呼び掛け、協議会は閉会となった。

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