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平成28年(2016年)5月31日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース

国民生活安全対策委員会答申「生活上の様々な脅威から国民生活を守る医師会~食品安全を中心として~」について

 石川広己常任理事は、5月26日の定例記者会見で、国民生活安全対策委員会が会長諮問「生活上の様々な脅威から国民生活を守る医師会~食品安全を中心として~」を受けて取りまとめた報告書を、5月17日に尾崎治夫委員長(東京都医師会長)から横倉義武会長に提出したことを報告するとともに、その概要について説明した。

 内容は、(1)はじめに、(2)食品安全をめぐって、(3)「いわゆる健康食品」、特定保健用食品、機能性表示食品、(4)「健康食品」を巡る各視座、(5)国民生活安全対策全般及び今後の本委員会、(6)おわりに―を柱に構成されている。

 (3)では、2015年4月に食品表示法に加えられた「機能性表示食品」制度について、企業が自らの責任で食品の機能性を表示できるもので、届け出た資料のエビデンス等のさまざまな問題があるとして、複数の委員より制度廃止を求める意見が出されたことを明記。一方、現在氾濫している悪質な「健康食品」を排除できる仕組みとして期待する意見もみられたことから両論併記とされている。その上で、機能性表示食品のエビデンスに疑義が生じた場合に審議を行う、常設の審議会設置が必要であるとしている。

 (4)では、「ウコン」製品の日本薬剤師会調査を示し、成分の含有量が表示より少ない、あるいは超過しているなど、問題があるものが多数見つかったことを紹介。効能がEBMに基づかないままで謳われ販売される健康食品が多数あることを危惧し、消費者への食育教育や健康管理の正しい知識の周知、医師に対する栄養教育の重要性を記している。また、健康教育アプローチとして、産業保健での労働者、母子保健での母親、学校保健での生徒など、多方面の啓発にも言及している。

 (5)では、これまでの審議の積み重ねを踏まえて、かかりつけ医が困った時に情報取得できるよう「実地医家向け緊急時対応リーフレット」を作成し、日本医師会ホームページで公表したことを報告したほか、健康食品に頼らない適切な食生活習慣の啓発など、更なる広報活動が求められることを記述している。

 なお、巻末には、本委員会の小委員会の位置付けである「健康食品安全情報システム委員会」が取りまとめた報告書が添付されている。

 同常任理事は、今回の報告書について、現在の食品安全の問題が詳しく示されているとして、学校保健等の場で活用されることに期待感を示した。

 ※外字は代替文字で標記しております。

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