左から松本会長、池端委員長、長島常任理事
左から松本会長、池端委員長、長島常任理事
令和6・7年度社会保険診療報酬検討委員会(委員長:池端幸彦福井県医師会長)はこのほど、会長諮問「令和6年度診療報酬改定の評価」に対する答申並びに「次期(令和8年度)診療報酬改定に対する要望書」を取りまとめ、8月27日に池端委員長から松本吉郎会長に提出した。
答申は「1.はじめに」「2.各論」「3.おわりに」からなっている。
「1.はじめに」では物価高騰・賃金上昇、医療従事者の人材確保、制度の複雑化、中医協の役割の形骸化など、多方面から指摘された懸念や課題の概要を紹介。
「2.各論」では、「外来医療」「物価・人件費等の高騰への対応」「ポストコロナにおける感染症対策の推進」「医療におけるICTの利活用・デジタル化への対応」「入院医療」「同時報酬改定及び在宅医療における対応」「小児医療」「精神医療」「医療技術の評価」の項目ごとに、評価すべき点や問題点を指摘。問題点に関しては具体的な改善策を示して、その実現を求めている。
「3.おわりに」では、前回改定について「現時点での振り返りとしては、結果的には当初想定した以上に厳しい改定であったと言わざるを得ない」とした上で、そのような状況の中においてベースアップ評価料が設けられたことを評価。その一方、算定の煩雑さや当初の想像をはるかに超えた物価・賃金の上昇により、病院・診療所の区別なく厳しい経営状況に追い込まれていることは残念でならないとしている。
また、令和6年度改定の主なポイントである5項目(①賃上げのためのベースアップ評価料と初再診料・入院基本料等の引き上げ②医療DXの推進③外来医療の機能分化・強化④医療介護同時改定の対応⑤医療機能に応じた入院機能の評価)についても言及。次期改定に当たっては、病院・診療所を問わず、わが国の医療提供体制は、その経営面からもかなり危機的な状況になりつつあることを認識するとともに、世界に冠たる国民皆保険を死守するためにも、相当の覚悟をもって臨まなければならないと強調している。
一方、「次期(令和8年度)診療報酬改定に対する要望書」は同委員会において、各ブロック代表、病院団体、各種専門医会・学会等の代表委員から提出された要望事項を精査し、慎重に検討を重ねた上で、取りまとめたものとなっている。
最重点要望項目として14項目(①改定財源の確保②初再診料の引き上げ③医療DX推進体制整備加算④入院基本料の引き上げ⑤重症度、医療・看護必要度の見直し⑥有床診療所入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料⑦短期滞在手術等基本料の引き上げ⑧精神科地域包括ケア病棟入院料の見直し⑨特定疾患療養管理料⑩生活習慣病管理料⑪処方箋(せん)料⑫手術料点数の引き上げ⑬小児科外来診療料の引き上げ⑭ベースアップ評価料)を挙げ、別添の資料には、各項目に関する具体的な算定要件や点数の見直し案が示されている。