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令和2年(2020年)3月2日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース

有床診療所検討委員会答申について

 小玉弘之常任理事は、有床診療所委員会が会長諮問「中長期的に見た、地域における有床診療所のあり方について」に対して検討結果を取りまとめ、2月5日に齋藤義郎同委員会委員長(徳島県医師会長)より横倉義武会長宛てに提出したことを報告し、その概要を説明した。

 答申は、(1)はじめに、(2)地域包括ケアシステムにおける有床診療所の役割、(3)専門医療について、(4)有床診療所の承継について―で構成されている。

 同常任理事は、(1)では、一人医師で24時間地域医療を守ってきた有床診療所が消滅の危機に瀕していることから、同委員会が、若い世代がやりがいを感じるような魅力ある有床診療所の再構築を求めていることを紹介した上で、主に(2)と(3)について説明した。

 (2)では、①地域の人口構成、医療需要等を踏まえた対応、②地域包括ケアシステムにおける有床診療所の役割、③介護医療院への転換―について触れており、①では、各市町村の人口変動をタイプ別に4つに分類して検討し、2025年まで高齢者が急増する市町村では、高齢者の増加に対応することで有床診療所の意義を高めることができるとするとともに、総人口減少が著しい市町村では、患者減少が進む中、地域連携の推進に加え、どのように地域医療を維持していくのかを政策的にも求めていかなければならないとしている。

 ②では、地域包括ケアにおける診診連携の強化の重要性を指摘。開放型病床の推進を進めていくべきとして、例として無床診療所との共同診療を挙げている。また、病院のみが診療報酬上の対象となっている開放型病床について、有床診療所でも可能となるように制度を整えることで、地域の資源として病床を有効活用できる可能性があるとしている。

 更に、介護事業への参画については、地域では医療ニーズの高い利用者のショートステイが不足しているため、有床診療所が参画することは空床の活用になる他、地域にとっても有用であるとしている。

 ③では、他の施設とのバランスを考慮しつつ、その必要性を考える必要があるとした上で、今後、第8期介護保険事業計画など、移行の基準が見直される際には、有床診療所の一般病床からの移行についても、参入しやすい基準の検討などが望まれるとしている。

 (3)では、①整形外科有床診療所の現状と要望、②眼科診療における有床診療所の中長期的展望、③産婦人科―について検討されており、①では、整形外科診療所が近年大きく減少している中、手術を行う有床診療所は、病院勤務医の負担軽減にも寄与していると強調。急性期の病院では入院が難しい患者を、有床診療所で受け入れて介護保険が使えるようにする等の役割も非常に重要であるとしている。

 ②では、手術機器等のイノベーションにより入院の必要性がなくなってきてはいるものの、独居の高齢者などから入院加療の希望があるため、採算性を度外視して続けている有床診療所があると指摘している。

 ③では、現在、全国の分娩数の約半数を有床診療所が担っている一方、昨今は高次医療機関がローリスク分娩に進出するケースが増えており、その結果、新規開業が抑制され、既存の有床診療所が事業継続を断念する場合が少ないことを指摘。"ローリスク分娩は有床診療所を含めた一次施設、ハイリスク分娩は高次医療機関"という棲み分けの原則の維持が必要としている。

 また、働き方改革の影響にも言及。夜勤医師の確保が困難になる可能性を危惧するとともに、地域の産科医療体制を維持できるような形の医師の兼業の議論を求めている。

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