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令和2年(2020年)7月28日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース

健康食品安全対策委員会報告書について

 松本吉郎常任理事は7月22日の定例記者会見で、健康食品安全対策委員会(委員長:尾﨑治夫東京都医師会長)が会長からの「諮問1.健康食品安全情報システム事業の運営及び充実、諮問2.医療情報・健康情報との接し方を含めた、いわゆる健康食品や国民生活のあり方」について検討した結果を取りまとめた報告書の概要を説明した。

 報告書は、「はじめに」「第1章 食生活といわゆる『健康食品』」「第2章 新型コロナウイルス感染症の流行とヘルスリテラシー」「第3章 健康食品安全情報システム事業について」で構成されている。

 第1章では、3つの保健機能食品といわゆる「健康食品」との違いについて説明した上で、いわゆる「健康食品」の問題点を明示。その上で、本委員会で制作したかかりつけ医へ相談するための健康食品やサプリメントの使用メモを書くことを呼び掛ける待合室掲示用の患者啓発用ポスターの活用を提案している。

 保健機能食品についてはそれぞれの課題として、特定保健用食品(トクホ)のコマーシャルで、誤解を招くような表現で広告がなされていることなどを挙げ、その改善を求めている。

 また、まとめとして、かかりつけ医など患者や消費者と近い立場にいる医療者が、いわゆる「健康食品」による健康被害等に対する良き相談相手としての役割を担うことが期待されるとしている。

 第2章では、今回の新型コロナウイルス感染症におけるインフォデミックの問題が社会に混乱をもたらしたことを踏まえ、今後の感染症の流行に備えるためにもヘルスリテラシーの重要性が改めて浮き彫りになったと指摘。また、今回のインフォデミックの問題は、健康情報を理解するための「機能的ヘルスリテラシー」に大きく関わる課題であるとして、保健医療情報を吟味する方法が紹介されている。

 更にまとめでは、「ウィズコロナ」の時代に氾濫する情報について、本報告書で紹介した方法を活用することで、納得のいく自己決定を行い、新型コロナウイルスと向き合い(付き合い)、落ち着いた日常を取り戻す重要性について触れられている。

 第3章では、同委員会が判定を行っている「健康食品安全情報システム事業」を振り返り、報告件数を増やすことを一番の課題として挙げるとともに、入院中の健康食品の摂取や、契約トラブル、同種成分を大量に摂取してしまう問題についても言及している。

 最後に、松本常任理事は、「本報告書では、情報が氾濫するウィズコロナの時代に医療情報・健康情報との接し方について、改めてその重要性を明らかにするとともに、情報をどう捉え、どう自分達で考えていくべきかを問うものとなっている」と述べ、その価値を強調するとともに、同委員会に対しては、「引き続き、国民のヘルスリテラシーを高めるために医師と医師会はどうアクションできるのか、より一層議論を深めて欲しい」として、その役割に期待感を示した。

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