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令和2年(2020年)11月4日(水) / 「日医君」だより

第18回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会

 第18回都道府県医師会新型コロナウイルス感染症担当理事連絡協議会が10月30日、日本医師会館会議室でWEB会議により開催された。

 冒頭あいさつした中川俊男会長は、「全国各地でクラスターが発生している他、ハロウィンや年末年始により人の動きが活発化し、いつどこで感染拡大が起こっても不思議ではない状況が予想される」と危機感を示した上で、先日の菅義偉内閣総理大臣との会談において、新型コロナウイルス感染症を診ていない医療機関も含めた、現在の医療機関経営の厳しさを改めて説明したこと及び、今後も政府と医師会が協力して新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいくことなどを確認したことを報告した。

 また、日本医師会が発行している「みんなで安心マーク」について、10月30日までに15,063の医療機関が活用していることを紹介するとともに、新聞の意見広告やタレントの佐々木希氏を起用して作成したPR動画等で、患者に積極的な受診を呼び掛けているとした。

 中川会長は最後に、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症との臨床的鑑別が困難であること等を踏まえ、今後のインフルエンザ流行に備えた体制の迅速的な整備の重要性を強調。都道府県医師会の出席者に対し、「『発熱外来診療体制確保支援補助金』の活用等を通じて、より多くの医療機関で発熱患者に対応して頂きたい」と述べ、協力を呼び掛けた。

 当日の議事は、(1)新型コロナウイルス感染症の直近の発生状況、(2)発熱外来診療体制確保支援補助金(診療・検査医療機関)、(3)新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種、(4)新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度、(5)COVID19-JMATの登録及び損害保険、(6)その他―についてであった。

 (1)では、釜萢敏常任理事が、新型コロナウイルス感染症対策分科会の資料を用いて、直近の感染状況を報告。新規感染者数は、全国的に見ると8月第1週をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいであったが、10月以降は微増傾向が続いており、特に北海道や東北、北関東の一部、沖縄などを中心に増加が見られるした。その上で、欧州で顕著に感染が拡大していること等に触れ、「わが国でも同様の状況にならないとは限らない」として、警戒の必要性を強調した。

 また、現在は医療機関等によって料金が大きく異なる、「本人等の希望により自己負担で実施する検査(いわゆる自費検査)」にも言及し、検査機関情報のオープンデータ化等により、利用者が必要な情報を得た上で、検査機関の選択ができるような体制整備を行っていく方針であることを説明した。

 質疑では、沖縄県医師会から、新型コロナウイルス感染症患者を診療する際に疑義が生じたいくつかの状況について、法的な解釈の仕方や体制整備を要望。釜萢常任理事と松本吉郎常任理事が回答した他、北海道医師会から現況の報告があった。

 (2)では、釜萢常任理事が、「発熱外来診療体制確保支援補助金」の申請方法等について解説。同補助金は、インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来・検査体制確保事業として行われるものであるとした上で、申請の際の注意点等について、実際の記入例やさまざまケースにおける補助金の想定額を資料として示しながら説明を行った。

 更に、同常任理事は記入作業について、「実際に行うとそれほど難しいものではないと思われる。しかし、不明な点があれば問い合わせて欲しい」と述べるなど、診療・検査医療機関への参加の検討を要請した。

 質疑では、神奈川県医師会から、新型コロナウイルス感染症の"擬似症患者"の定義について質問があり、釜萢常任理事が、「明らかに新型コロナウイルスの感染も疑わなければならない発熱患者ということになる」と回答した他、同補助金の仕組みや運用について多くの質問が出された。

 (3)では、厚生労働省が、新型コロナウイルス感染症のワクチン実用化に向けた進捗状況を説明。現在、ウイルスの遺伝情報の一部を体内に注入する新しい手法によるワクチンの開発が先行しているとした他、海外の大手製薬企業に遅れをとっている国内の研究開発・生産体制整備に、国として支援を行っているとした。

 また、海外で開発されたワクチンをわが国で確保するための取り組みや臨床試験等の結果及び、新型コロナウイルス感染症対策分科会の有効性・安全性に関する考え方なども紹介するなど、有効性・安全性に十分留意しながら供給に向けた準備を進めている状況を報告した。

 ワクチンの接種体制の構築に向けては、予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案及び新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業の概要等を説明するとともに、接種実施会場の確保のため、現時点で想定している接種実施会場(医療機関等)での接種イメージなどを示した。

 質疑では、青森県医師会から新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に関して、主に副反応に関するマニュアルを整備しなければパニックが起こりかねないと指摘。厚生労働省は副反応等の情報を集めている状況だと回答した他、兵庫県医師会からは、ワクチンの保存方法についての質問がなされた。

 (4)では、今村聡副会長が、「新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度」について、前回説明時以降に詳細が決定した事項等を解説。11月9日から加入申し込みが開始されることや補助の対象者として看護補助者も含まれることになったこと等を紹介した上で、「本制度の趣旨は、医療機関で働く医療従事者が安心して医療を行えるよう支援することである。是非多くの医療機関に加入頂けるよう、(傘下の会員に)お勧め頂きたい」とその周知に対する協力を求めた。

 質疑では、青森県医師会と兵庫県医師会から労災保険の特別加入に関する要望があった。

 また、(5)では同副会長が、「COVID-19 JMAT」の登録及び損害保険について報告。同損害保険は11月より、リスク実態に応じた保険料水準の見直し並びに熱中症リスクを補償する新たな保険にリニューアルされ、保険料を約30%引き下げるなどの見直しが行われるとした。

 同副会長は、同損害保険には本年6~9月時点で5,566人が加入していることを紹介するとともに、「都道府県行政の3月会計年度に向けて本制度の保険料負担に伴う手続き依頼を再度都道府県行政担当部署へお願いしたい」と要請した。

 (6)では、同日付けで発出され、「診療・検査医療機関(仮称)」に関する疑義解釈が記載されている厚生労働省の事務連絡、「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その29)」について、松本常任理事が解説を行った。

 なお、次回の本協議会は11月27日(金)に行う予定となっている。

◆映像・資料はメンバーズルーム内よりご覧いただけます。
映像配信 新型コロナウイルス感染症関係

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