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令和2年(2020年)12月25日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース

「医師の働き方の推進に関する検討会」中間とりまとめを受けて

 日本医師会で医師の働き方を担当する松本吉郎常任理事は12月23日、厚生労働省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」(以下、推進検討会)が中間取りまとめを公表したことを受けて記者会見を行い、日本医師会としての考えを説明した。

 同常任理事はまず、検討会の構成員を始め、関係者の尽力に敬意と感謝の意を示した上で、中間取りまとめの内容に関しては、これまで日本医師会が主張してきた「医師の健康への配慮」と「地域医療の継続性の両立」という観点が更に具体的になったとの認識を示した。

 具体的には、懸案となっていた事項の(1)複数医療機関に勤務する医師に係る取扱い、(2)評価機能に係る枠組み―について言及。(1)に関しては、「地域医療提供体制の維持のため、大学や基幹病院からの医師派遣は極めて重要であり、コロナ禍の状況ではあるが、兼業・副業を妨げることのないよう、医師派遣機能はしっかりと維持する必要がある」と指摘。更に、「派遣については地域での役割に十分留意すべきと、報告書にも書かれているが、これは、大学病院に限らず一般病院でも同じである」として、労働時間短縮のための派遣の見直しは慎重にすることを改めて求めた。

 また、(2)に関しては、「医師の健康と地域医療提供体制の双方の状況を踏まえ、適切に都道府県が指定を行える枠組みが示された」とするとともに、評価機能及び、いわゆるC-2水準の医師を認定する審査組織の指定に関しては、条件が揃えば手を挙げることを前向きに検討することを、日本医師会として機関決定していることを明らかとした。

 今後については、「現状では推進検討会で決められた内容の実現に向けた準備を着実に進めなければならないが、当初の予定どおりに開始しようと拙速な議論になることだけは避けなくてはならない」と強調。加えて、今回の取りまとめで「地域医療提供体制が医師の複数医療機関に勤務することで成り立っていることから、派遣先の医療機関が医師派遣の縮小等により診療体制の維持が困難となるような場合、地域医療支援センターや医療勤務環境改善支援センター等に報告・相談し対策を講じる仕組みを設ける」とされていることにも触れ、「こうした仕組みで現場からの声をエビデンスとして集積・検証し、地域医療提供体制や医師の働き方に影響が出た場合は、柔軟に見直さなければならない」とするとともに、その議論に際しては、現場の勤務医の意見をくみ取るだけでなく、国民の理解を得ることも求められるとした。

 その上で、同常任理事は、全国どこでも必要な医療が提供されるように、医師の偏在の是正と地域の医師確保、公的責務を果たす医療現場への総合的な人的・財政的支援の拡充、その他必要な措置について、引き続き、適切に行政に働き掛けていく意向を表明。その実現に向けた理解と協力を求めた。

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