閉じる

令和3年(2021年)5月20日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響(2020年11月~2021年1月分)に関する調査結果等を報告

日医定例記者会見 4月21・28日

新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響(2020年11月~2021年1月分)に関する調査結果等を報告

 松本吉郎常任理事は、新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響に関する調査結果を公表。併せて、地域医療介護総合確保基金に関する現状も報告した。
 同調査は、都道府県医師会が連絡した任意の診療所(会員医療機関)が回答。昨年3月以降継続して調査を実施してきており、今回で7回目の調査となる。
 主な調査項目は、2019年及び2020年の11月、12月、2020年1月及び2021年の1月の、(1)レセプト件数・点数、(2)初診料、再診料、小児科外来診療料、小児かかりつけ診療料、乳幼児加算の特例の算定状況、(3)損益計算書(医業収入、介護収入、補助金収入、医業・介護費用、医業利益)―であり、4月1日までに849施設から回答を得た。
 結果の概要は以下のとおり。
 「入院外(外来と在宅医療)総件数の対前年同月比」では、総件数は2020年5月を底として6月以降改善傾向にあったが、11月に再び大きく落ち込んでおり、特に2021年1月の対前年同月比は、小児科でマイナス38・5%、耳鼻咽喉科でマイナス25・1%と深刻な受診控えがあることがうかがえる(図)
 「初・再診料」は、2021年1月の初・再診料算定回数の対前年同月比が、初診料が総数で約4割、小児科及び内科では6割近く減少。再診料は、総数で1割超、小児科で4割超減少していた。
 耳鼻咽喉科、小児科は初・再診料算定回数のうち、初診料算定回数の割合が高い診療科であり、減少の影響は大きいと考えられる。
 「診療報酬(乳幼児加算の特例他)」では、乳幼児加算の特例は、ほとんどの小児科や耳鼻咽喉科の約8割を始めとして、幅広い診療科で算定されている。
 また、小児科外来診療料は内科のマイナスが大きく、受診控えに加え、算定が届出制になったため届出をしなかったケースがあると推察される。
 「1施設当たり医業収入」は、対前年増減額が2020年5月を減額の底として徐々に回復しつつあったが、11月に再び落ち込み、特に無床診療所はその後2021年1月まで改善していない。
 なお、2020年4月~2021年1月の10カ月の1施設当たり医業収入の増減額の累計は、有床診療所でマイナス5738千円、無床診療所でマイナス10917千円であった。
 「医業利益率」は、直近3カ月では一部を除いて悪化している。更に、費用の対前年同月比が減少しており、患者数の減少に伴って変動費が減少した他、給与費等を削減した可能性が考えられる。
 「補助金」に関しては、2020年11月から2021年1月の間に、診療所総数の3分の1で補助金収入があった。内容を見ると1000千円の補助金収入が多いことから、感染拡大防止等支援事業補助金だと推察される。しかし、補助金収入があっても赤字の診療所が散見される。
 松本常任理事は、改めて結果の概要を説明した上で、「補助金等は一定の効果があったと思われるが、引き続き日本医師会として補助金や診療報酬による支援を国に対して求めていく」との意向を示した。
 その他、同常任理事は、地域医療介護総合確保基金について、日本医師会からの通知として、「『令和3年度地域医療介護総合確保基金(医療分)の配分方針及び調査票等の作成について』の提出期限の延長について」を都道府県医師会に発出したことを報告した。
 同基金の中の、事業区分6「勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備に関する事業」について、「昨年度の申請結果が芳しくなかったことから、今年度については、日本医師会から厚生労働省に対し基金の取り扱いの見直しや申請期限の期間延長を強く要請し、使い勝手が改善されている」と説明。その一方で、現時点の提出の実態については、「予算に対する執行率が低い状態であり、東京都を始めとした五つの都県からいまだに未提出であることが確認されている」として、各医療機関にその活用を求めるとともに、厚労省に対しても、都道府県への積極的な呼び掛けを要請した。

210520f2.jpg

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる