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令和3年(2021年)6月20日(日) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

小児在宅ケアの推進について

日医定例記者会見 5月26日・6月2日

中川会長に中間答申を手渡す田村委員長(中央)中川会長に中間答申を手渡す田村委員長(中央)

中川会長に中間答申を手渡す田村委員長(中央)中川会長に中間答申を手渡す田村委員長(中央)

 松本吉郎常任理事は、「小児在宅ケア検討委員会(田村正徳委員長/埼玉医科大学総合医療センター名誉教授)」が取りまとめ、5月21日に中川俊男会長に提出した中間答申の内容及び今後の小児在宅ケアの推進に向けた方策について説明した。
 わが国では、日常的に人工呼吸器や経管栄養などのケアを必要とする医療的ケア児が、令和元年時点で全国に約2万人いるとされており、日本医師会では、平成28年度から同委員会を設置し、医療的ケア児やその家族を支えるための方策、課題について検討を行っている。
 今回の中間答申について松本常任理事は、「各地域で小児の在宅医療体制を整備していくためには、診療報酬上の課題の改善も必要であることから、今般、令和4年度診療報酬改定に向けた要望を中間答申として取りまとめた」とした上で、「要望では、主に成人を対象とする在宅医の小児在宅への参画を促す観点や、小児独特の病態に対して適切な在宅医療が提供できるようにするために必要な改善点が挙げられている」と述べた。
 また、小児在宅ケアの推進に関して、ライフステージに応じた適切な医療・福祉サービスの提供という観点で見た場合、就学の問題が大きいことを指摘。特に人工呼吸器を付けている子どもは、保護者が送り迎えをしなければならない他、授業中の付き添いを求められることも多く、文部科学省も学校への看護師の配置は進めているものの、現実には依然として付き添いが必要な状況であることを説明した。
 併せて、就学の問題については、田村委員長が研究代表者を務めている厚生労働行政推進調査事業費補助金政策科学総合研究事業(政策科学推進研究事業)の結果から、訪問看護師を学校に派遣して、学校看護師と共に医療的ケアを行うことで、保護者の負担軽減や他の健常の子ども達への教育的効果が大きいなどの知見が得られたことを紹介。「現在は訪問看護師が訪問看護を行う場としての"居宅等"に学校が含まれていないため、診療報酬の算定ができないが、このような点も含め総合的に検討していく必要があるのではないか」と述べた。
 その他、同常任理事は、保育所での受け入れや障害福祉サービスの報酬改定などで、国による医療的ケア児や家族の支援に向けた動きが進んでいることを評価。その一方で、障害福祉計画において設定が求められている「協議の場」について、都道府県単位では全県で設置、市町村でも7割近くで設置されているものの、実際には開催頻度が少ないことを指摘し、「医師会としても積極的に関与していく必要がある」と述べた。更に、地域の医師会で行われている、小児の在宅医研修の実施や退院時の在宅医のマッチングなどの動きを広げていき、医療的ケア児の療養生活を支援していく考えを示した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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