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令和4年(2022年)9月20日(火) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の感染状況を受けて

日本医師会定例記者会見 8月31日

新型コロナウイルス感染症の感染状況を受けて

新型コロナウイルス感染症の感染状況を受けて

 松本吉郎会長は、第7波の感染状況や医療機関・保健所等の業務負担の増加に危機感を示すとともに、アセトアミノフェン製剤等の不足、発熱外来体制の拡充、全数把握の変更運用について、日本医師会の見解や働き掛けを説明した。
 松本会長は、まず、第7波の感染状況について、新規感染者数は依然として多く、病床使用率も全国的に高止まりの状況にあり、医療提供体制においては、救急搬送困難事案や医療従事者の欠勤などにより大きな負荷が生じていると報告。学校の新学期が始まること等の影響なども含めて、引き続き感染者の推移について注視が必要と強調した。
 また、各地域において医療提供体制が逼迫(ひっぱく)している状況を踏まえ、HER―SYSの入力項目の削減に続く対応方策の検討や、抗原定性検査キットの医療機関への優先供給等、今後の対応について、加藤勝信厚生労働大臣に要望書を提出したことを改めて説明した。

製薬団体に医薬品の安定供給を求める

 アセトアミノフェン製剤等の解熱鎮痛剤については、コロナ患者の増加によって需要が高まり、医療現場からその不足や対応に苦慮する声が日本医師会に届いていることを受け、厚労省に改善を求めている他、8月24日には、都道府県医師会、関係医療機関に対して、イブプロフェン製剤やロキソプロフェン製剤も同様に需要が増加しているため、解熱鎮痛剤を継続して供給できるよう、改めて、その購入に当たっては当面の必要量に見合う量のみ購入し、返品が生じないよう周知したことを説明。
 また、8月25日には、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会、日本ジェネリック製薬協会に対して、引き続き増産に努めてもらうなど、医薬品の安定供給に向けた対応を要望したことを明らかにするとともに、医療機関に対して、院外処方においても真に必要な量を処方するなどの配慮を求めた。
 発熱外来体制の拡充については、「医療提供体制が逼迫する状況の中で、有症状の高齢者や基礎疾患がある人など、重症化リスクがある人がしっかりと受診できる体制を整備することが重要」と強調した上で、都道府県並びに郡市区等医師会のリーダーシップの下、診療・検査医療機関数は約4万施設、最大確保病床数は約4・7万床、自宅療養者への健康観察・診療医療機関は約2・3万施設に達し、地域外来・検査センターや宿泊療養施設等への出務など、日々コロナ医療に従事している医療従事者の数も増えているとして、改めて感謝の意を示した。
 また、新規感染者については、「検査による診断と重症化リスクが高い人に対する必要な健康観察・診療がなされることが求められている」として、地域における役割分担や連携を更に推進し、診療・検査医療機関での診療体制が一層強化・拡充されるよう、地域の医師会や医療機関に引き続き協力を求めていく考えを示した。

政府と連携しコロナ医療に全力で取り組む

 全数把握の変更運用・省令改正については、(1)8月25日に厚労省が感染症法の省令改正と公布を行い、高齢者等重症化リスクの高い人への対応に集中できるよう、発熱外来や保健所業務が極めて切迫した地域における「緊急避難措置」として一定の要件の下、都道府県知事の届け出を受けて厚労大臣が当該都道府県名を公示することで、発生届の範囲を限定することが可能となった、(2)既に4県から届け出が出され(8月31日時点)、9月2日に運用が開始される他、8月26日には当該事務連絡に係るQ&Aが追加されるなど、運用についても現場の声を踏まえて随時改定がなされている―こと等を説明。「その前段としてHER―SYSの項目削減や更なる負担軽減策が提示されたこと等も含めて、迅速な検討と省令改正が行われたことに感謝したい」と述べるとともに、今回の緊急避難措置の運用において、医療提供体制が逼迫している地域の保健所や医療機関のHER―SYS入力に伴う負担軽減が混乱なく、少しでも促進されることに期待感を示した。
 その上で、今後については、各都道府県医師会等から寄せられる医療現場の声を届け、多くの患者に必要な医療が届く状況に戻せるよう、引き続き政府と緊密に連携を取りつつ、日本医師会としてもコロナ医療に全力で取り組んでいくとした。

コロナとインフルエンザの同時接種は可能

 会見に同席した釜萢敏常任理事は、まず、全数把握について、「行政と医療機関が情報を共有しておくべき患者の条件は日本医師会としても妥当な内容であると考えている」とした上で、医療機関が行政と確実に情報共有をし、行政から対象の患者に支援を行うことが重要であると強調。定点把握については、「年齢階級別の陽性者数を各医療機関が毎日報告するという仕組みを確実に運用することで、感染状況の把握を行うものであり、今後役に立つかどうかの検討が必要になる」と解説した。
 その他、厚労省の予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会において、季節性インフルエンザワクチンの確保がされているとの報告を受けたことなどを踏まえ、「対象者にコロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種が可能であることの周知を広く行うことが望まれる」と意見を述べた。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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