閉じる

令和7年(2025年)6月20日(金) / 南から北から / 日医ニュース

占いの信憑(しんぴょう)性

 私は占いを信じる方で、テレビや雑誌で「今日の運勢」「今月の運勢」を見るたび一喜一憂します。今日はツイてないから早く帰ろうとか、今月のラッキーカラーは青だから青い服着ようとか。なので、妻はウンザリしています。とは言え、世界最古の占いの記録は紀元前3000年頃のメソポタミア文明にさかのぼるそうで、人類はいつの世も占いを頼りに生活を送っているわけですから、ある意味正常だと自身を正当化しています。
 ところで、占いは「生年月日」「姓名」「生まれた時間」までも利用して行う詳細なものから、「生まれ月」「干支(えと)」「星座」で行う簡便なものもありますね。私がいつも見るのは後者なので、一般論として私の占い結果は、1977年11月生まれ、巳(へび)年、いて座、の方と同じことになります。
 ChatGPTさんによると、1977年に生まれた日本人男性は約90万8000人と推計され、いて座に該当する人数は、出生数を均等に日割りできると仮定した場合、約7万2000人だそうです。ここから、2024年の時点で生存していると推測される人数は、簡易生命表による年齢別生存率が98・3%であることから、約7万800人と算出されました。つまり、私の日々の運勢は約7万人の仲間と共有しているのだそうです。
 うーん、7万人も日々同じ出来事が起こるとは思えませんね。なので、あくまでも占いは参考程度にして日常生活を送ることが良いのでしょうね。と、この原稿が出る頃には、神社でおみくじを引いた私が一喜一憂している姿が容易に想像されます。
 占いが当たる確率を正確に出すことは難しいとされ、これは受け止める側の解釈で結果が変わるからだとされています。テレビや雑誌はさておき、熟練の占い師は相談者の表情やしぐさを見ながら結果を伝えるので、満足度が高くなる(当たる)傾向にあるそうです。自己暗示や心理効果により、誰にでも当てはまるようなあいまいな表現を個人的なメッセージと受け止めれば(バーナム効果と呼ぶそうです)、その人にとっては当たりなのです。
 何だか、医療行為も似ている気がします。熟練の先生は、一般論を述べながら処方や処置を行い、患者さんのリアクションを確かめつつ、次の手を打ちます。初手がずれても、二の手三の手がハマるとアウトカムが良くなりますね。同じ医療行為でも、医師の対応で結果が随分と変わります。私はどうでしょうか? 精進あるのみです。

北海道 北海道医報 第1276号より

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる