小児科の診察室に来る子ども達の多くは、不安を解消するためか、何かしら手に持ってきます。
女の子は大体お人形かぬいぐるみで、あまりこだわりは無さそうですが、男の子は恐竜など生物系のおもちゃ、車や新幹線などの乗り物、ロボットなどの機械系のおもちゃが好きな子に分かれてくるようです。
恐竜のおもちゃをつかんでくる子は、洋服、靴下、靴の柄まで恐竜で、トミカを握ってくる子は、働く車や新幹線、プラレールなどの乗り物、ロボットの柄の洋服、靴下、靴を身に付けていることが多いようです。決め付けはいけませんが、小さい頃から生物系、機械系と志向が決まってくるようですね。
ところで私の4歳になる男孫、恐竜には見向きもせず、動物園、水族館もあまり好きではなさそうです。定番のプラレール、トミカは大好きですが、それ以上にロボットに入れ込んでいます。
生まれた時から犬や猫の代わりに、お掃除ロボットと一緒に育っています。触りたいけど動くと怖い、でも気になるから寄っていっては泣かされる。YouTubeなどでいろいろなメーカーのお掃除ロボットを見てほとんどの名前を覚え、仕様も覚え、まだ片言の頃から「これはデュアルアクションブラシ、エッジクリーニングブラシ」と言葉を発していました。
お気に入りの絵本の中にはお掃除ロボットのカタログがあり、丸い空き缶を見付けてはブラシを付け、お掃除ロボット遊びをしていました。電気屋さんに行くと真っ先に掃除機の売り場に直行です。
お掃除ロボットだけでなく、ロボットは何でも大好き。最近は配膳ロボットのいるファミリーレストランがお気に入りで、食事を運んでくると大喜びです。
得意芸はYouTubeで配信されるボストン・ダイナミクスの人型ロボット「アトラス」の踊り、動きのまねです。
最近仙台に遊びに来ましたが、お決まりの家電量販店に行きました。ペットロボットの実演コーナーでは目を輝かせて触れ合っていました。声を掛け、頭をなでて、楽しそうにしているのを見るとほほ笑ましいのですが、少々不安になってきました。
ペットロボットは自我を持っているわけではありません。人の言う言葉に望まれるように反応するようプログラミングされていて、少しすねるような態度をとることはあっても、人の顔色を見て、感じて対応するわけではありません。反抗もせず、けんかもせず、人を和ませるように動くよう仕組まれています。
犬猫は飼い主に寄り添ってはくれますが、嫌なことをされれば抵抗するし、逃げてもいきます。子ども達もペットの痛みを感じるだろうし、思い通りにならず抵抗されることを学ぶでしょう。命がなくなれば生き返らないことを学ぶでしょう。
共働きで忙しい両親、日本の住宅事情ではペットを飼うのも難しい家庭がほとんどですが、わが孫にはロボットより人や犬や猫の気持ちを思いやって育っていってほしいと思うのでありました。