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令和8年(2026年)3月20日(金) / 日医ニュース

開始から10年を迎えた調査制度の現状を説明

開始から10年を迎えた調査制度の現状を説明

開始から10年を迎えた調査制度の現状を説明

 令和7年度都道府県医師会医療事故調査制度担当理事連絡協議会が2月20日、日本医師会館でWEB会議により開催された。
 本協議会は、医療事故調査制度を取り巻く現状について最新の情報を共有し、その内容が各地域における医師会、あるいは支援団体協議会としての活動の参考となるよう開催されたものである。
 冒頭あいさつした松本吉郎会長は、制度開始から10年を迎えた医療事故調査制度について、医療関係者の高い専門性と倫理性に支えられた世界的にもまれな制度であるとして、その意義を強調。参加者に対しては、「本制度の内容及び最新の動向を共有し、今後の更なる医療安全の向上、そして患者と医療提供者の信頼関係の醸成に尽力頂きたい」と協力を求めた。
 当日は、以下の四つの事項について説明が行われた。

(1)厚生労働科学研究「医療事故調査制度における医療事故調査等支援団体による支援の機能的運用および質向上に向けた研究」報告書

 藤原慶正常任理事が、厚生労働科学研究「医療事故調査制度における医療事故調査等支援団体による支援の機能的運用および質向上に向けた研究」報告書について詳説。
 医療事故調査制度の概要や、支援団体の役割(①制度全般に関する相談②医療事故の判断に関する相談③調査に関する支援等)について説明するとともに、平成30年度~令和元年度に実施された先行研究「医療事故調査制度における支援団体、連絡協議会の実態把握のための研究」についても触れ、議論の中では制度の周知、院内調査の手法に関する知見の共有、院内調査費用、中央協議会の活性化等が課題として示されていたと振り返った。
 今回の研究については、令和5~6年度に実施され、「支援は少人数で担われ人材不足が顕著である」「支援実績や質確保の取り組みに団体間でばらつきがある」「地方協議会による情報把握や紹介体制にも差がある」ことが明らかとなったと報告。
 また、課題としては、人材確保や紹介体制の整備、好事例の共有、中央協議会の活動の推進等が挙げられているとした他、支援団体自体の環境の変化なども踏まえ、支援を提供できる支援団体を改めて確認することも求められているとした。

(2)厚生労働省「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会」報告書及び同報告書を踏まえた今後の対応

 門野泉厚労省医政局地域医療計画課医療安全推進・医務指導室長補佐が、「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会」報告書及び同報告書を踏まえた今後の対応について説明した。
 門野室長補佐はまず、医療安全施策の制度整備に向けた経緯として、平成11年の患者取り違え手術を契機に医療安全対策が本格化し、平成14年に医療安全推進総合対策の策定、平成19年の医療法改正による全医療機関への医療安全管理体制確保義務の明記、平成27年の医療事故調査制度施行へと進展したことを紹介。
 検討会については令和7年6~10月に計5回開催され、これまでの医療安全に係る施策とその課題を整理し、対応策を検討。その中では、医療機関における医療安全管理体制に関する論点として、①重大事象把握の質向上②報告分析、改善策立案の質向上③重大事象への対応等の管理者によるガバナンス強化④改善策への取り組みの強化⑤外部からの支援の拡充―が、また、医療事故調査制度に関する論点としては、①医療事故判断の質向上②院内調査の質向上③再発防止による医療安全向上の促進④支援団体等による支援の充実⑤国民への制度に関する周知促進―がそれぞれ挙げられ、議論が進められたとした。
 また、その結果として取りまとめられた報告書においては、重大事象の明確化、医療安全管理者の制度上の位置付けの明確化及び資質向上、医療安全に関するネットワークの構築等が対応策として挙げられた他、医療事故調査制度については、報告が必要な「医療事故」への該当性判断の質の向上のために、医療事故判断を行うための院内プロセスを院内の指針へ明記することなどが盛り込まれたことを紹介。
 本報告書の内容を踏まえ、医療法施行規則が改正され、全病院等への医療安全管理者配置と、医療事故調査制度に関する記録整備、制度関係者への研修受講(令和11年4月施行)が明記された他、診療報酬上では医療安全対策加算が拡充され、医療安全施策の一層の推進を図ることになったことが報告された。

(3)日本医療安全調査機構「医療安全の更なる向上を目指す検討会」報告書

 田原克志日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)専務理事が、医療事故調査制度施行10年の節目に、機構内に「医療安全の更なる向上を目指す検討会」を設置し、医療法に基づき運営してきた医療事故調査・支援センターの業務を総括した上で、今後の対応については厚労省の報告書も踏まえ、現行制度を前提に第三者の視点から検討したことを説明。
 また、過去10年の実績として、センター調査報告書の交付が200件超、医療事故調査報告(院内調査結果)が3000件超、再発防止に向けた提言を21号まで公表し、管理者・実務者セミナー受講者が累計8500名を超えたことを紹介。主な課題として、「医療事故判断に関する支援の充実」「院内調査の進め方に関する支援の充実」「院内調査報告書の様式改訂」「病理解剖について理解を促進するための周知」などが挙げられており、その解決に向けて、①全院内調査報告書を対象とした分析課題を多角的に抽出する体制の構築②「提言」活用事例の共有などによる再発防止策の普及啓発③センター調査の期間短縮と透明性向上④医療事故調査の経験・習熟度別の研修体系整備⑤国民への制度周知強化―を進めていく考えを示すとともに、「医師会等とも連携をより深め、医療安全向上を図っていきたい」と述べた。

(4)令和7年度 支援団体統括者セミナー

 藤原常任理事が、3月1日に開催する「令和7年度 医療事故調査制度支援団体統括者セミナー」の概要を説明。最後に茂松茂人副会長が閉会のあいさつを行い、協議会は終了となった。

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