令和8年(2026年)6月5日(金) / 日医ニュース / 解説コーナー
医学の力で社会を守り、人類を救う道を開いていきたいとの思いを込めた医学会総会にぜひご参加を
第32回日本医学会総会 澤 会頭に聞く
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| 「医学のレジリエンス~みらいへの挑戦と貢献~人生100年時代をどう生きるか」をメインテーマとして、大阪市北区中之島エリアを中心に行われる第32回日本医学会総会の開催まで1年を切りました。 そこで、今号では今回の医学会総会の会頭を務める澤芳樹大阪府医師会副会長に、総会開催への思いやプログラム内容などについて、ご説明いただきました。 |
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Q 今回の総会の日程について、改めて教えてください。
A 第32回日本医学会総会は、学術講演会を2027年4月23日(金)~25日(日)に、その前日の4月22日(木)~25日(日)に情報交換スペース(学術展示)を大阪市北区中之島エリアの大阪国際会議場及びリーガロイヤルホテル大阪ヴィニェットコレクションを中心に開催いたします。
また、市民展示はお子様が家族と共にご参加いただけるように、春休み期間の3月20日(土)~28日(日)に大阪市北区うめきたエリアのグランフロント大阪、グラングリーン大阪、JR大阪駅(大阪ステーションシティ)、阪急梅田駅などのエキナカ・エキチカ施設にて開催を予定しており、100万人超の参加を目指しています。
Q 総会のメインテーマである「医学のレジリエンス~みらいへの挑戦と貢献~人生100年時代をどう生きるか」に込められた想いを教えてください。
A 「医学のレジリエンス」とは何か―今回の総会では、あえてこの問いを皆様に投げ掛けたいと思います。
京都大学元総長の山極壽一先生のお言葉にあるとおり、レジリエンスとは、危機に直面した時にもろさや限界を直視し、それを知恵と仕組みに転換して生き抜く力、すなわち「危機を生き抜く知」です。
弱さを強みに変えてきた人類の歴史を学び直し、ヒトを多角的・包括的に捉え、より良い未来の選択へつなげたい。コロナ禍でその重要性は明らかでした。
そのような状況を踏まえて、今回のメインテーマには、医学の力で社会を守り、人類を救う道を開いていきたいという想いを込めさせていただきました。
Q 総会のロゴマークでどんなことを表そうとされたのですか?
A ロゴマークは、越後新潟を代表する民芸品「三角だるま(起き上がり小法師)」をモチーフにして制作しました。
「七転八起」「無病息災」「家内安全」「厄除け」などの願いを託す縁起物で、倒れても起き上がる"しなやかさ"そのものが「医学のレジリエンス」を象徴しています。
さらに、人が和やかに集い、熱気あふれる議論を重ね、未来へ挑戦し、貢献していく総会の姿も表現しました。
また、真ん中にありますピンクと全体を優しく包み込むハート型は、私の専門分野でもある心臓を表現しています。
Q 学術講演会のプログラムについて詳しく教えてください。
A 学術講演会におきましては、テーマ「医学のレジリエンス〜みらいへの挑戦と貢献〜」の下、"危機を生き抜く知"を医学・社会の双方から掘り下げていくことを目的として、様々な企画をご用意しています。
別掲にもございますとおり、松本吉郎日本医師会長による日本医師会長講演、門脇孝日本医学会長による日本医学会長講演の他、特別講演では、山中伸弥先生、坂口志文先生といったノーベル賞受賞者を始め、岸本忠三先生、山極壽一先生らが登壇し、免疫・再生医療から人類史までを俯瞰します。
さらに、柳沢正史先生、中村祐輔先生、松尾豊先生、安藤忠雄先生、石黒浩先生らもお招きし、科学技術と社会の接点を議論します。
招請講演には、久坂部羊先生、仲野徹先生、吉森保先生らをお招きし、会頭特別企画では「医学のレジリエンス」「地球環境と感染症」「医学の歴史探訪」等を座談会形式で展開。さらに副会頭特別企画では、大学病院経営、研究者の使命、人生100年時代の医療、イノベーションと生命倫理などを扱うことにしています。
また、会頭特別企画の中で実施する座談会「医学のレジリエンス~絆~」では、北川雄光副会頭と私がモデレーターを務め、松本日本医師会長並びに門脇日本医学会長をパネリストにお迎えし、医学のレジリエンス力について語り合っていただくことで、未来を切り拓く協働の可能性を探ってまいりたいと考えています。
さらに、医師会関係では、副会頭を務めていただいている加納康至大阪府医師会長による特別企画として、「次世代を担う医師と医師会の役割について」「2040年を見据えた医療提供体制について―病診連携と医師会・医学会の関わりについて」という二つの大きなテーマでシンポジウムも行う予定ですので、ぜひ、ご注目いただければと思います。
その他、各会会長講演、学術委員企画、関連団体連携、U40企画、分科会連携シンポジウムなど、多数の企画を行う予定としています。
Q 学術展示を「情報交換スペース」と呼ばれている意味や展示内容も併せて教えてください。
A 従来の学術展示のように機器や製品を一方的に紹介する場ではなく、企業と医療者、参加者同士が自然に交流し、実践的な情報交換や新たな連携、ビジネス展開につながる場として位置付けたことから、名称を「情報交換スペース」とさせていただきました。
「情報交換スペース」では、医療機器・医薬品を始め、人生100年時代を踏まえてヘルスケアまで幅広く、多数の企業・団体に出展いただく予定です。
会場としては大阪国際会議場を考えており、各展示場内には企業プレゼンテーションやPR、また学術セッションを行えるステージを設置し、来場者が立ち止まりやすい構成としています。
さらに、3F展示会場には参加受付やコングレスバッグの配布所を設けたり、10F展示会場の両側には講演会場を配置したりすることにより、参加者が自然に集まる環境を整えることで、人の往来が多い動線を確保するようにしたいと考えています。
加えて、たこ焼きに代表される大阪名物の粉物やドリンクの提供、企画展示も組み合わせることにより、にぎわいがあり、参加しやすく、活発な交流が生まれる空間を目指してまいります。
Q 「うめきたエリア」で行われる市民展示では、どんなことが行われるのですか?
A 「うめきたエリア」では、市民の皆様に医学に身近に触れていただくことを目的として、様々な催しを用意させていただきます。
「いのち・健康・みらい博2027―いのち輝く、その先へ。―」と銘打ち、小さなお子様から高齢者の方まで、皆様に気軽に立ち寄っていただけるような魅力的な企画をご用意しています。グランフロント大阪、時空(とき)の広場(JR大阪駅)、グラングリーン大阪、阪急梅田駅/阪急デパートを主な会場としており、うめきたエリア全体で盛り上げたいと考えています。
会場はそれぞれメディカルゾーン、フューチャーゾーン、グリーンゾーン、ライフスタイルゾーンとテーマを名付け、そのテーマに沿った展示を提供いたします。
会場を訪れた方にはその中で、過去から未来へ向けた医学の歴史や現在行われている医療を体験していただき、これからの未来へつながる、人生100年時代に向けた我々の医療の取り組みを少しでも理解し、身近に感じていただけるような楽しいフェアにしていきたいと思います。
Q 最後に会員の皆さんにメッセージをお願いします。
A 日本医学会総会は、1902年(明治35年)以来、4年ごとに開催されてきた120年を超える伝統ある学術集会です。大阪での開催は、明治43年第3回が青山胤通会頭の下で開かれて以来7回目となります。
昭和5年第8回は佐多愛彦先生、昭和22年第12回は楠本長三郎先生、昭和38年第16回は今村荒男先生、昭和58年第21回は吉田常雄先生、平成19年第27回は岸本忠三先生という大阪大学のレジェンドの先生方が会頭をお務めになっておられます。
会頭というお役目は、私が歩んできた40年以上の医師としての道の想定をはるかに超えた大役であり、しかも、外科医として就任するのは初めてということで、先輩方が築いてこられた医学会総会の名に恥じぬように、全力投球で務めさせていただきたいと思っております。
さて、人類はコロナパンデミックを経験し、地球規模の危機、そして世界が一つの社会の証拠でもあると認識させられました。一方、この危機を乗り越え、日常生活を取り戻した今、改めて、この地球的経験を基に、未来に向けてより良い世界を築いていくことこそが現代人の使命でもあります。
振り返りますと、人類がなぜ地球上でこれほど進化してきたのか、決して地球上で強いわけではない人類が"弱さ"を"強み"に変えて、レジリエンス、すなわち「危機を生き抜く知」を蓄え築き上げてきたのか、これからの社会と生き方における「より良き未来の選択」のために、コロナパンデミックの経験は大きな視座を与えてくれたものと思っています。
mRNAワクチン等を中心とする地球規模の医学者・医療者の闘いが地球を救い、ようやく人類が未来に向かって歩み出した今こそ、今回の総会のメインテーマを医学のしなやかさや復元力、すなわち医学のレジリエンスとすべきと私は考えました。
さらにこの議論は、今後も常に人類を襲うパンデミックに対する医学の闘いでもあると考え、副題としては「~みらいへの挑戦と貢献~」を付けさせていただいています。
現在、日本医学会に加盟している学会は、計145学会を数えるに至っておりますが、今回の医学会総会はその全ての加盟学会、そして日本医師会の会員の先生方にご参加いただき、ご議論いただけるような総会にしたいと思っています。
具体的には、ポストコロナと少子超高齢社会という状況を踏まえ、多くの医療関係者が学術集会や学術展示を通じて、医学・医療の最先端を学ぶとともに、その全体像を俯瞰し、デジタル革命、すなわちAI、IoT、ICT、ロボティクスなどの技術革新がどのようなスピード感でどのように医学・医療を変えていくのか、「医学のレジリエンス~みらいへの挑戦と貢献~」という観点から認識を共有することができたらと考えています。
また、産業医セッションも従来以上に充実させるばかりではなく、市民の皆様にも、市民公開講座や市民イベント・博覧会等を通じて、医学の面白さやすばらしさ、それに加えて未来の医療について理解が深められ、100万人以上にご参加いただけるような企画をご用意いたします。
引き続き、医療職者、研究者、学生、一般市民の皆様から広くご意見、ご助言もいただきながら、意義があり、感動を与えられる、そして大阪関西らしく楽しんでいただける総会にしていきたいと思っておりますので、会員の先生方にはぜひ、引き続きのご支援、ご協力、そして、何より実際にご参加もいただけますよう、何卒よろしくお願いいたします。

日本医師会長講演
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松本 吉郎 先生 日本医師会 会長 |
日本医学会長講演
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門脇 孝 先生 日本医学会 会長 |
特別講演
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岸本 忠三 先生 大阪大学免疫学フロンティア研究センター 免疫機能統御学 特任教授 |
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山中 伸弥 先生 京都大学iPS細胞研究所 名誉所長・教授/ 公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団 理事長 |
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坂口 志文 先生 大阪大学免疫学フロンティア研究センター 実験免疫学 特任教授 |
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山極 壽一 先生 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所 所長 |
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柳沢 正史 先生 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 機構長 |
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中村 祐輔 先生 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 理事長 |
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松尾 豊 先生 東京大学大学院工学系研究科人工物工学研究センター/ 技術経営戦略学専攻 教授 |
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安藤 忠雄 先生 建築家 Photo by Kinji Kanno |
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石黒 浩 先生 大阪大学大学院 基礎工学研究科 石黒研究室 |














