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令和8年(2026年)7月29日(水) / 「日医君」だより / プレスリリース

令和8年熊本地震の発災を受けて

 松本吉郎会長と藤原慶正常任理事は7月29日の定例記者会見で、7月28日16時27分に発生した「令和8年熊本地震」に対する日本医師会の対応について説明した。

 まず松本会長は、今回の地震で被災された方々にお見舞いの言葉を述べるとともに、医療、消防、警察、自衛隊、県や市町村の行政等の防災関係者による早急な対応に謝意を表明。「政府においても、高市早苗内閣総理大臣が発災直後から赤間二郎防災担当大臣を官邸に招集し、災害対応の指揮をとられていると伺っている」と話した。

 日本医師会としても、28日16時30分に災害対策本部の設置を指示するとともに、関係の県医師会に対して、平時から構築している日本医師会と全国47都道府県医師会との災害時の情報システムを通じて情報共有を要請していることを説明。「熊本県医師会や、福岡・佐賀・長崎・鹿児島各県医師会を始めとする関係の県医師会長とも連絡を取り合い、情報収集に努めている」とした。

 さらに、29日13時30分より災害対策本部会議を開催し、熊本県医師会から報告を受けるとともに、福岡・鹿児島両県医師会とも協議し、今後の対応に向けた意見交換を行ったことを説明。「先遣JMATとして現地に出動し、既に郡市医師会との会議に参加した横倉義典福岡県医師会常任理事にも会議に参加いただいた」と述べた。

 また、近日中には日本医師会から担当役員を現地に派遣する他、当座の支援として、日本医師会の予算から1,000万円を熊本県医師会に送金することを決めたとした。

 他方、10年前の平成28年熊本地震では「前震」の2日後に「本震」が発生して大きな災害になったことに触れ、「今回はどうなるか分からないが、局所的な被害が目立つとの報告があるものの、停電の中で熱中症のリスクも心配される。予断を許さない状況であることは言うまでもない」と語った。

 その上で、熊本県医師会を支えるため、福岡県医師会に日本医師会災害医療チーム(JMAT)の先遣チームの派遣を28日に要請したとして、「医療支援ニーズの把握や、熊本県外からのJMAT派遣の要否といった評価・分析を依頼している」と述べた。また、本年の九州医師会連合に係る当番県を務める鹿児島県医師会には、九州各県医師会を束ねる立場での対応をお願いしているとした。

 その他、本年11月に設置される「防災庁」が所管を予定している中央防災会議にも言及。日本医師会長が平成27年以来、我が国の代表的な医療介護関係団体が参画する被災者健康支援連絡協議会の代表という立場で委員に就任してきたことを説明するとともに、前年7月1日の会議では「我が国の超高齢社会の下で、『福祉的支援等の充実』を図ることは非常に重要である。またJMATは、地域に根差し、平時から地域包括ケアや介護・福祉にも関わっている医師や看護職員等が基本であり、災害医療全般でも同様に、多様なニーズに対応するため、福祉など様々な職種の連携、また指揮系統に従った活動が必須である」と発言したことを紹介。「災害の被災地では多くの場合、医療と介護・福祉の連携による要配慮者への対策が重要であり、それが『避けられた死』、すなわち、災害関連死を防ぐことにつながる」と述べた。

 最後に松本会長は、「全国からJMATの派遣を行うかどうかはまだ分からないが、いずれにせよ、熊本県医師会、そして全国の医師会と力を合わせ、被災地を支援していく」と語った。

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 続いて、災害医療担当の藤原常任理事より、日本医師会の対応について説明を行った。

 まず藤原常任理事は、「令和8年熊本地震」で被災された方々にお見舞いの言葉を述べるとともに、28日の16時30分時点でJMATを編成・派遣出来る体制を整えた他、被災県医師会に対して情報共有を要請したことなどを説明。その後、県医師会との連絡調整や、厚生労働省の「広域災害救急医療情報システム」(EMIS)等での情報収集に努めているとした他、29日の13時30分から災害対策本部会議を、被災県の熊本県医師会と、隣県の福岡・鹿児島両県医師会、更には先遣JMATとして現地入りしている横倉義典福岡県医師会常任理事・日本医師会救急災害対策委員会委員と共に開催したことを報告。「現在、被害の大きい県南を中心に情報を収集中とのことであり、今後はその結果を踏まえて、日本医師会として可能な限り支援を行うこととした」と述べた。

 また、沖縄県を含む九州ブロックの医師会は県医師会同士の結びつきが非常に強く、災害時の応援協定を締結しているだけでなく、毎年、合同の災害医療研修を実施していることにも言及。「今回の災害に対しても、福岡県、鹿児島県を中心に既に支援の動きがあるとのことで、より広域的な支援が必要な場合には、日本医師会としても積極的に対応していく」とした。

 次に、JMATの概要を説明。「JMATの役割は、主に災害の急性期以降における避難所・救護所等での医療や健康管理、災害前からの医療の継続になるが、さらには、被災地の医療機関への円滑な引き継ぎに至るまでとなることから、その活動は多様かつ広範囲、そして長期間に及ぶ」と述べるとともに、令和6年能登半島地震では1月3日から5月末に掛けて、1,097チーム、延べ3,583人のJMATを派遣したことを報告。

 さらに、「JMATは、DMATのような機動力はないものの、全国の都道府県医師会に協力いただき、長期間にわたり、多くのチームを派遣することができる上、収束後は、地域医療の復旧を担う、被災地の医師会と密に連携をとることができる」と説明。また、「JMATに参加いただく方々は、普段は地域に根差して医療や公衆衛生に従事されている医師、看護職員などの医療従事者、また事務職員等で、被災地のため、災害に遭われた住民や患者さんのために力を尽くしたいという思いを強く持たれている」とした。

 その上で、我が国の災害では、災害急性期の重篤な外傷、熱傷患者の診療以降の、要配慮者を中心とした被災地の住民のケアのニーズが圧倒的に高くなり、そこにしっかり対応することが災害関連死を防止する大きな力になるとして、「平時には、かかりつけ医として地域医療にご尽力されている先生方に、なるべく多くJMATに参加いただきたい」と呼び掛けた。

 一方、毎年開催しているJMATの研修とは別に、災害医療活動に対する理解を深めてもらうことを目的に制作した『JMAT活動ガイドブック』を紹介。「今回の活動においても、必要に応じて活用いただきたい」とした。

 さらに藤原常任理事は、「医師会の災害対応の最終的な目標は、被災地に地域医療や、地域包括ケアシステムを取り戻すことにあり、JMATは、その目標の達成のために活動する医療チームである」と述べ、日本医師会として、JMATを含めた様々な医師会活動を通じて被災者の生命や健康を守り、被災地の公衆衛生を回復させるとともに、災害関連死ゼロを目指して、被災地の地域医療や地域包括ケアシステムの再生・復興を支援していくとした。

 最後に、令和8年熊本地震に係る医療保険等の対応について説明。災害救助法が適用される災害が発生した際、マイナ保険証又は資格確認書等を提示できなくても、保険診療を受けることが可能な取り扱いとすることを知らせる事務連絡が発出されているとして、「今回も厚労省より同様の事務連絡が発出されている。自宅等にマイナ保険証等を残したまま避難した場合であっても、安心して保険診療を受けることは可能である」と述べた。

 この取り扱いに併せて、令和8年度診療報酬改定において発出された厚労省保険局医療課長通知「災害発生時における保険診療関係等及び診療報酬の取扱いについて」では、一定の基準を満たした場合、個別の通知の発出を待たずとも災害時における診療報酬上の施設基準が緩和されるなど、一定のルールが自動的に適用される取り扱いになっていることに言及。「今回の地震は『DMAT自動待機基準』が適用される災害となるため、当該通知で規定される『対象となる地域』や『対象となる期間』に基づき、施設基準等が緩和される」と説明した。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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